笑顔でラストステージ …幕を下ろすバレエ教室 生徒たちが集大成の踊りを披露【岩手発】

社会

  • 年々生徒数が減少…岩手・釜石市のバレエ教室が決断
  • ラストステージに向けて生徒たちが合同練習
  • 「教室は締めても、子どもたちの成長を見守る」

ステージを舞う小さなバレリーナたち。

岩手・釜石市で15年続いたバレエスタジオの生徒。9月20日、釜石の象徴である釜石大観音でのステージを最後に、その歴史に幕を下ろした。


年々減少していく生徒数…教室を閉める決断

盛岡市と釜石市に教室がある平真美バレエスタジオ。

子どもたちを指導する平さんは、バレエを通して礼儀や諦めない心を伝え、教え子の数は1,000人以上にのぼる。


2011年の東日本大震災では、稽古場所に使っていたところが避難所となり、約3カ月休校。平さんは子どもたちの笑顔を取り戻そうと、すぐに再開した。


しかし全盛期に47人いた生徒は震災を機に徐々に数が減り、現在は6人に。
平さんはある決断をした。

平真美さん:
将来バレリーナにならなくても、目標に向けて努力するということを伝えたいと思って始めた教室なので、今が一歩踏み出す時かなと思って(教室を)閉めることを決めた


バレエ教室の最後は、生徒が市民に踊りを披露する形で締めくくりたいと平さんは考えた。

ラストステージへ…合同練習スタート

ラストステージまであと2週間となった9月6日、釜石と盛岡の教室の合同練習が行われた。


平真美さん:
みんなの妖精と一緒じゃなくて、リラさんは一番トップ。だから、威厳を持って目線を上へと広げないと


大槌町の中学1年生・芳賀日和さんは、小さい頃から踊ることが好きで、6歳から釜石教室に通い始めた


平さんからは、感謝の心を持って周りを思いやること、そして努力することの大切さを学んだ。

大槌町の中学1年生・芳賀日和さん:
先生が言ってくれた「頑張らないと何もできないよ」という教えを、これから生かしていきたい。みんなと良い踊りができるように頑張りたい


合同練習の途中、教室の片隅で平さんの指導を書き留めている生徒たちがいた。

生徒:
見てもらう人たちに素敵だなと思ってもらえるように、より良くなるようにと思って書いている


舞台に出演しない子もアドバイスし、仲間を信じて集大成の舞台に向けて完成度を高める。


笑顔で美しく…羽ばたくバレリーナたち

そして迎えた本番当日の9月20日。


大槌町の中学1年生・芳賀日和さん:
ワクワクする。頑張ってきたことを見せられたらいいなと思う


釜石教室6人のラストステージが幕をあけた。

今回の演目は「眠れる森の美女」。生まれたばかりのオーロラ姫を、6人の妖精がお祝いするシーン。


そして主役を務める芳賀さん。

体をめいっぱい使った踊りで、妖精のリーダーを演じる。


これまでバレエを通して娘の成長を見守り続けた母・良子さんは、最後の舞台を目に焼き付けた。

芳賀日和さんの母・良子さん:
すごく笑顔で踊っていたのが、見ていてとても嬉しかった。努力することの大切さをバレエだけではなく、いろんな面で生かしてほしい


大槌町の中学1年生・芳賀日和さん:
うれしかった。見てくれた人が多くて。(家族には)今まで送り迎えをしてくれたから、その感謝を伝えられるように頑張った。また踊れる機会があったらバレエをやりたい


平真美さん:
子どもたちの人生の1ページに、私が携われたことによって、その子の人生が大きく羽ばたければいいと思う。教室は閉めても今後も成長を見守りたい


平さんの教えを受け継いだ子どもたち。それぞれの新たなステージで、内面から美しく輝く。


【取材後記】
私自身バレエを3歳から15年間続けた経験があったので、今回バレエ経験がある自分だからこその視点で取材できるのではないかと考えた。
取材を通して決して自分だけがきれいに踊れば良いのではなく、仲間と一つの作品を共に作り上げるチームワーク、周りを思いやる大切さを改めて感じることができた。

このことを映像を通してどう表現するか悩んだ中で、出演しない仲間が感じたことや先生の言葉を書き留めアドバイスする姿を通し、生徒、そして先生との絆を表現できたのではないかと思う。

また中学1年生の芳賀日和さんがこの舞台を最後にバレエを辞める決意に迫った。自信が持てなかった芳賀さんが、これまで先生から教わった努力することの大切さを胸に、釜石大観音の前でラストダンスを披露。表情が凛々しく晴れやかに舞った芳賀さんの姿に成長を感じた。

今後、先生の教えが芳賀さんをはじめ生徒たちの人生の礎となり、新たな一歩を踏み出していく力になっていくのだと実感した。

三宅絹紗

(岩手めんこいテレビ)

(FNNプライムオンライン10月14日掲載。元記事はこちら

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