避難所で出会った警察官に憧れ…“鉄のごとし”署訓を胸に被災地で奮闘する女性警察官【岩手発】

社会

  • 震災のとき避難所で出会った“イーハトーブ隊”に憧れ警察官に
  • 釜石署の署訓「鉄のごとし」が署員の使命や誇りを支える
  • 警察官として地域の安全を守り イーハトーブ隊として被災者の力に

避難所で出会った“イーハトーブ隊”に憧れ警察官に

鉄の町、岩手・釜石市。
街の玄関口JR釜石駅の側の交番。

釜石警察署 釜石駅前交番・松下友香巡査:
髪の毛わかりますか。黒色の短髪...。無銭飲食の認知です。ホテルですね

市内で発生した無銭飲食の対応をする女性警察官・松下友香巡査(24)。
管内で発生する事件や事故の現場にいち早く駆け付ける街のお巡りさんだ。


松下さんは警察官になって6年目。
2020年4月に念願の釜石警察署に配属された。

釜石警察署 釜石駅前交番・松下友香巡査:
この辺ががれきになっているのを見ているので、復興してそこで勤務できるんだなっていう思いはある


松下さんがどうしても釜石警察署で働きたい理由、それは警察官を志したある出来事があった。
釜石市平田地区出身の松下さんは東日本大震災が発生したとき、中学生だった。
家族は無事だったが、自宅は津波で半壊し避難所暮らしを余儀なくされた。


釜石警察署 釜石駅前交番・松下友香巡査:
避難所回って声掛けして、不便なことないですかって話を聞くとか、かっこいいなって思いました


中学生だった松下さんが見た警察官は「イーハトーブ隊」と呼ばれる女性警察官で構成される見回り隊で、当時は被災者の心のケアなどにあたっていた。


釜石警察署 釜石駅前交番・松下友香巡査:
警察官というと、体力とかが必要でがたいがよくてとか、そういうのを考えてしまっていたんですけど、こういう場面でも活躍できる警察官にはなれるなって。そこが最初の憧れ


“鉄のごとし”署訓を胸に奮闘

松下さんが配属された釜石警察署は津波で庁舎が全壊。署員も3人殉職した。
2019年に完成した庁舎で毎朝行われる朝礼。
松下さんが座る後方の壁には、3人の遺影が並んでいる。
住民を避難誘導している最中に津波で殉職した若い警察官など、それぞれが熱い「魂」を持っていたという。


それを象徴する釜石署の署訓「鉄のごとし」。
この署訓は、1997年に大槌町で行われた「豊かな海づくり大会」を署員一丸となって成功させようと作られた。


釜石警察署・仲谷千春署長:
鉄の特徴、例えば強い、硬い、そして、熱すれば熱い、柔軟だ。強い人間、柔軟な人間、熱い人間になろうという趣旨で作られたものと聞いている


この署訓が署員の使命や誇りを支えているという。
松下さんもそんな釜石警察署の魂を先輩から受け継いでいる。

釜石警察署 釜石駅前交番・松下友香巡査:
小さいころからなじみの場所なので、何か1つでも手がかりを見つけたい

岩手県警では被災地域での集中捜索を継続して行っている。
松下さんも捜索に加わり、遺族の心の支えになろうと行方不明者の手掛かりとなるものを探している。


“イーハトーブ隊”としても被災者の力に

念願の警察官として地域の安全を守る松下さん。
一方で、災害時などには自身が警察官を目指すきっかけとなった「イーハトーブ隊」としても出動している。
いつ起こるわからない災害に備え、いつかは自分が被災者の力になろうと心に誓っている。


釜石警察署 釜石駅前交番・松下友香巡査:
住民の方々がより安心して暮らせるような地域づくりと、災害が起きた時の対応とか、日頃から訓練しながらやっていきたいなと思います


熱く、強く、しなやかに。
震災から10年を迎える被災地で奮闘する若手警察官の胸にも「鉄のごとし」の精神が息づいている。

(岩手めんこいテレビ)

(FNNプライムオンライン10月24日掲載。元記事はこちら

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