銀行なのに現金を扱わない?あおぞら銀行が窓口業務を“キャッシュレス”にする理由を聞いた

経済・ビジネス

  • 「あおぞら銀行」が窓口業務の“キャッシュレス化”に乗り出す
  • 窓口を相談業務、現金の扱いはATMとすみ分け
  • 担当者「顧客が現金に求めるニーズが少なくなっている」

私たちのお金を管理してくれる「銀行」の在り方が、変わりつつある。窓口業務で現金の取り扱いをやめる動きが、一部で進んでいるというのだ。

その先駆けが、全国に20の本支店を展開する「あおぞら銀行」。2020年11月24日から、仙台支店など一部店舗で現金の取り扱いを終えることを発表していて、早ければ2020年度中にも、個人向け業務を手掛ける19店舗を同様の“キャッシュレス店舗”にする予定という。

現金の入出金はATMの利用を推奨

あおぞら銀行によると、窓口での取り扱いを終了するのは、(1)窓口での現金による入出金・振込、(2)両替(新券への交換も含む)のサービス。現金の入出金を希望するときは、ATM(現金自動預け払い機)または、他の銀行への振込を利用するように勧めている。

あおぞら銀行のリリースより
あおぞら銀行のリリースより

キャッシュレス化が進んでいるとはいえ、お金を扱う銀行が、このような試みをするとは驚きだ。ATMは至るところに設置されているため、利用自体は問題なさそうだが、シニア層などにはATMの操作に不慣れな人もいるはず。顧客の利便性に、問題はないのだろうか。あおぞら銀行の担当者に聞いてみた。

シニア層には不慣れな人もいそうだが…(画像はイメージ)
シニア層には不慣れな人もいそうだが…(画像はイメージ)

なぜ、窓口での現金取り扱いをやめる?

ーーなぜ、窓口での現金取り扱いをやめる?

あおぞら銀行は他の銀行のように、生活資金の出し入れや公共料金の支払い用途などに使われることが少なく、窓口業務は資産運用の相談が中心です。こうした状況もあり、窓口での現金の取り扱いをやめてみてはどうかという話が出ていました。

そこで、2019年4月に出張所の「フィナンシャルオアシス自由が丘」、2020年2月に支店の「大阪支店」の窓口で現金の取り扱いをやめたところ、厳しい反応も予想していたのですが、お客さまから予想以上にご理解をいただけたので、他の店舗にも広めることになりました。

ーー具体的に何ができなくなる?窓口はどんな場所になる?

窓口で現金による入出金、両替ができなくなりますが、その他は変わりありません。普通預金の資金を定期預金に振り替えたり、投資信託などはいままで通り、受け付けます。当行の窓口はもともと、資産運用の相談やコンサルティングが中心でした。現金の取り扱いがなくなる分、より一層、こうした分野に力を入れていくと考えています。

資産運用などの相談業務に力を入れるという(画像はイメージ)
資産運用などの相談業務に力を入れるという(画像はイメージ)

ーー店舗で現金の入出金はできなくなるの?

店舗にはATMを設置してあるので、現金の入出金はそこで行えます。当行はゆうちょ銀行やセブン銀行などと提携していて、ゆうちょ銀行のATMは入出金の手数料無料、セブン銀行のATMは入金の手数料が無料です。また、他行の本人名義の口座への振込手数料も無料です。現金の入出金については、これらのサービスにより代替できると考えております。

ーーATMは利用金額に上限があるが、多額のお金を扱いたいときは?

確かにATMには、1日あたりの引き出し限度額に上限があり、当行の場合は初期設定だと、1日50万円(200万円までの範囲内で増減可)までとなります。ただ、振込であれば、この上限以上の金額も扱えるので、そこで対応していただければと思います。

店舗だけではく顧客にもメリットがある

ーー窓口での現金の取り扱いをやめると、どんな変化がある?

一つは窓口での入出金の事務処理がなくなるので、お客様の待ち時間が短縮されたり、相談内容により丁寧に応じられることにつながると思います。

また、銀行では、入出金した現金と帳簿上のお金の動きを照合する作業を行いますが、ATMだ入出金を機械が記録しているので、ここの省力化も期待できるでしょう。また、店舗自体が保有する現金が少なくなるので、巨大な金庫を導入しなくてもよくなり、現金輸送の回数も減らすことができます。ここでも効率化、省力化が期待できると思います。

入出金の記録を照合する業務などの省力化につながるという(画像はイメージ)
入出金の記録を照合する業務などの省力化につながるという(画像はイメージ)

ーー顧客には具体的に、どんな影響が出てくる?

お客様にとっては、窓口での入出金はできなくなりますので、ATMの利用や他行の振り込みなどの代替手段を利用していただければと思います。資産運用の面ですと、まとまった現金を持ち運ぶ必要がなくなりますので、安全性を確保できると思います。

資産運用の商品は多額のお金を扱うこともありますが、特殊詐欺などのリスクを避けつつ、落ち着いて資産運用の相談ができる時間を作れると思います。

ーーシニア層など、ATMに不慣れな人の対応は?

全国のゆうちょ銀行のATMが使えることもあり、当行の場合は既にご利用いただいている人も多くいらっしゃいます。その点の利便性などはご理解いただいていると思います。また、ATMの入出金を利用しなくてもいいように、使った分だけだけ口座から引き落とされる「デビットカード」などの案内、利用も薦めていきたいと考えております。

デビットカードなどの利用も薦めていくという(画像はイメージ)
デビットカードなどの利用も薦めていくという(画像はイメージ)

ーー顧客からはどんな反応がある?

フィナンシャルオアシス自由が丘と大阪支店では、試験期間以降も継続して、窓口での現金の取り扱いをやめていますが、大きな苦情はございません。「多額の現金を持ち歩くリスクが軽減している」「新型コロナで現金を触りたくない」という声が多いですね。他行への振込手数料などを無料にしているので、ご理解はいただいていると思います。

顧客が現金に求めるニーズが少なくなっている

ーーキャッシュレス化の今後の予定は?

残りの店舗で現金の取り扱いをやめることで、ひと段落となります。今回の取材の趣旨とは違うかもしれませんが、当行はペーパーレスや印鑑レスも並行して進めていて、そうした利便性を高める取り組みは継続していきたいと思います。

ーーこうした動きは他の銀行にも広がると思う?

金融機関だけというよりは、世の中の流れではないでしょうか。キャッシュレス決済が増えているのは事実で、お客さまが現金に求めるニーズが少なくなっているように思います。新型コロナウイルスの影響もあり、他人との接触を避けたいところもあるかもしれません。

現金に求めるニーズが少なくなっているという(画像はイメージ)
現金に求めるニーズが少なくなっているという(画像はイメージ)

ーー顧客に呼びかけたいことはある?

窓口で現金を取り扱わないことは、お客さまにとっても、大金を持ち歩くリスクや特殊詐欺のリスクを軽減することにもつながります。現金の入出金自体はATMでできますので、今までと同様に当行のサービスを使っていただければと思います。
 

あおぞら銀行は窓口での現金取り扱いをやめることで、業務の負担軽減や顧客対応の充実などにつなげたい狙いがあるようだ。日常生活のキャッシュレス化が加速する流れを考えると、現金の取り扱いはATM、相談は窓口とすみ分けする銀行も増えていくかもしれない。
 

(FNNプライムオンライン10月30日掲載。元記事はこちら

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