コロナ禍の中「フードバンク」が生活困窮者を支援 「みんな幸せに生きていく権利がある」【広島発】

社会

  • 「フードバンク」がコロナ禍の新支援策として注目
  • 生活困窮者のSOS受け、団体だけでなく個人への提供も開始
  • 大学と連携し一人暮らしの学生を支援する取り組みも

フードバンクがコロナ禍で注目

売れ残った食品、使わなかった食材など、食べられるけど捨てられてしまう食品。そんな食品ロスを削減しようという取り組みが、コロナ禍で新たな支援策として注目されている。

広島市南区にある倉庫型店舗のコストコ。ボリューム満点の商品が、お買い得価格で購入できると人気のお店だが、お邪魔したのは搬入口。
カートに乗っているのは、たくさんのパンのよう。
それを車に積み込んでいる男性、どこかへ運ぶようだが…、いったいどこに向かうのか?

車を走らせること40分。やって来たのは、広島市安佐北区の可部。
流れるようなチームワークで、次々とパンが運び込まれていくが、こちらは、いったい何の施設なのか?


あいあいねっと代表・原田佳子さん:
「あいあいねっと」と申しまして、フードバンクという活動を行っております。賞味期限が迫っていて、店頭に置いておくことができないようなものや、まだ十分食べられるのに売り物にならない、そういう食品がたくさんあります。それを企業さんや農家の方から無償で寄贈していただいて、必要としているところへ無償で分配する。そういう活動をフードバンクというふうに言います


食品を寄付している企業は、約30社。お土産品から調味料、カット野菜まで、商品はさまざま。

あいあいねっと代表・原田佳子さん:
ちょっと印刷がうまくいかなかったものや、中身は変わらない、賞味期限は十分にあるんだけれどもパッケージが新しくなった。そういうものは、もう売り物になりませんので、店頭に並べておくことができないんですね

ハロウィーンやクリスマスなど、季節に合わせてパッケージが変わるお菓子は、イベントが終わると次の商品に入れ替わるため、販売できなくなる。


あいあいねっと代表・原田佳子さん:
食品を提供してくれる企業は、広島市内、県内が非常に大きいんですけれども、結構、全国からいろんなものが寄せられます

大きな災害を契機に活動が活発に

こうしたフードバンクの取り組みは、1967年にアメリカで始まったのが最初といわれ、日本では、2000年に東京で最初のフードバンクが設立された。

あいあいねっと代表・原田佳子さん:
そのあと、2003年に兵庫県の芦屋市で市民団体が活動を始めて、「あいあいねっと」は、国内3番目のフードバンクとして2007年から活動を始めました。その後、どんどんフードバンクは増えていったんですけれども、特に大きな災害を契機に、やはりフードバンクの活動が活発になることが多いですね


あいあいねっと社員:
お料理を提供するようなところに、フードバンクにある調味料とかを渡しています。その団体の用途が広がるように、無駄にならないように商品を選別しています

寄付された食品は、パートナー契約を結ぶ福祉施設や就労支援施設、母子支援施設など、約40の団体へ無償提供される。

あいあいねっと代表・原田佳子さん:
近年はやはり、特に子ども食堂さんとのお付き合いが多くなりました

2019年の7月から、月に一度の割合で子ども食堂を開催している施設「プラザHot One」。

ふかわ子ども食堂・渡邊恭子さん:
去年の7月から始めたんですけれども、そのころは食事をみんなで作って、それを来てくださった方に安い金額で提供する。さらに、来てくださる子どもさんが楽しめるような企画もちょっと用意して…


こちらでは大人が200円、小・中学生が100円、幼児は無料で料理が提供されている。

ふかわ子ども食堂・渡邊恭子さん:
(1回で何人分つくる?)1回に50~70食くらい作っていて。月にもよるんですけれども、だいたいそのぐらい提供していましたね

こうした料理に使われているのが、「あいあいねっと」をはじめ、さまざまな団体から提供される食品。

ふかわ子ども食堂・渡邊恭子さん:
本当に食材のお金がかからなくて、ある程度の金額で買おうと思ったら、作るメニューも限られてきて。食品提供をしていただき始めてから、いろんなものが作れるので、来てくださる方にもいろんなものが提供できるし、本当にありがたいです


2019年の3月から「あいあいねっと」に商品を寄付しているスーパー「マルナカ可部店」。

マルナカ可部店店長・今中浩揮さん:
まず、うちの会社の方で食品ロス・フードロスの観点から、会社的にも環境問題の1つとして食品ロスを削減というところで、フードバンクの利用をさせていただいております。お客さまには販売できない期限があって、カレーのルーやジュースなどは1カ月前で、もう少し期間が短いものだと2週間前、賞味期限が1週間前くらいのものまでを全てフードバンクに入れさせてもらっています

マルナカ可部店店長・今中浩揮さん:
捨てるものは必ず減っておりますね。うちとしては、すごく助かっております。僕たちにできる範囲で協力させてもらえることが、地域の住民の方のお役に立っていると思うと、非常にうれしく思っておりますので、これからもこの活動は続けていきたいと思っております


あいあいねっと代表・原田佳子さん:
この活動に就いて思ったのは、やっぱり企業さんも、一生懸命皆さんお金かけて、一生懸命食材をつくっているんですよね。みんなで汗水たらしてね。しかも食べ物じゃないですか。それを廃棄するとなると、非常に内心、胸が痛むというかね。企業さんも、どこかそういう役に立てるところはないだろうかと探してらっしゃった、そういうところがあると思いますよね

新型コロナの影響か 寄付の量と提供先が増加

「あいあいねっと」が取り扱った食品量を2019年と2020年で比較したグラフ。この半年間は、全体的に2019年よりも多くの量を寄付されていることがわかる。
7月に取り扱った量は、なんと4トン。こうした背景には、新型コロナウイルスの影響があるとみられている。


あいあいねっと代表・原田佳子さん:
3月、4月くらいから、まず食品メーカーさんあたりが、物が売れない、余って困るというので、いろんなものがどっと来ましたね

寄付される食品の量が増えると同時に、提供先も増えている。
広島市社会福祉協議会を通じて、生活困窮者へ一時的に食品を提供する支援事業の利用状況。
2019年は、4月から7月の4カ月間で29件だったが、2020年は333件と大幅に増加している。


あいあいねっと代表・原田佳子さん:
4月くらいからは、やはり休業になった、解雇されたという理由で、ひとり親家庭の方を中心に非常に困窮している、食べ物の支援を受けたい、そういう依頼がどっと今度は来るようになりました

「あいあいねっと」では、これまで個人への食品提供については直接やりとりせず、社会福祉協議会などを通じて行ってきたが、こうした状況を受けて方針を転換した。

あいあいねっと代表・原田佳子さん:
3月に入ってですね、社協さんにしても行政の相談窓口にしても、非常に大変なことになっていると。そういうところを通して食料の受け渡しをしていたのでは、もうとても間に合わないと。もう個人の方から直に教えてください、SNSへ連絡ください、食料をお渡ししますということを、SNSを通じてお伝えしておりまして。結構やっぱり頻繁にSOSを寄せられますね、メールとか電話でね


8月からは大学とも連携して、一人暮らしの学生を支援する取り組みを始めた。

あいあいねっと代表・原田佳子さん:
「バイトがない」、「仕送りを頼みたいんですけど、親も収入が減って大変だ」、「親にもなかなか頼みずらい」と。中には本当に困っているのに、「僕のようなものが本当にもらっていいんでしょうか」なんて電話もかかってくるんですよ。かわいそうにね。だから、「みんな元気に幸せに生きていく権利があるんですよ」ってね、「遠慮せずに言ってくださいよ」って言ったんですけどね


あいあいねっと代表・原田佳子さん:
われわれは当分の間は、個人の支援というのを続けていこうと。もちろん団体さんに対しても、今まで通りやるし、個人さんに対しても、ずっと支援活動は続けていこうと。食品はロスにせずに、それを何か有効活用して地域を元気にするっていうのが、われわれのミッションですので、それに向けてまい進していこうと思っております

新型コロナウイルスを受けて、個人への無償提供も行われている。
学生支援も積極的に行っているということで、興味を持った人は、ぜひ気兼ねなく連絡を。

問い合わせは、「あいあいねっと(082-819-3023)」まで。


(テレビ新広島)

(FNNプライムオンライン11月1日掲載。元記事はこちら

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