アプリを使った漁業の流通改革 鮮度抜群の魚が手に入り漁師から消費者まで笑顔に

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  • 若者の漁業離れなどが進む中、アプリを使った流通改革が登場
  • 流通の流れをIT技術を使うことで簡略化し水産物をそのまま店舗に届ける
  • 「1人でも多くのお客様にオイシイと感じていただきたい」

アプリを使った漁業の流通改革

若者の漁業離れや消費者の魚離れなど水産業を取り巻く環境が著しく変化する中、新たな風を吹かせようと奮闘する人たちがいる。カギを握るのはアプリを使った流通改革。その舞台裏に密着した。

日本海に面した鳥取県網代港。建物の中では、早朝からズラリと並んだ鮮魚を確認する男たちの姿。
よく見ると、手に握りしめたスマホで次から次へと写真を撮っています。彼らは、広島に本社を置く水産IT企業「ウーオ」の専属バイヤーだ。


加藤雅也アナウンサー:
午前8時前、鳥取県網代港です。セリを前に多くの人が集まってきています。日本海で獲れた魚やタコ、ひときわ目を引くのが今が旬、赤い甘えびです。綺麗です


この日セリの場に立った澤田剛さんは、つい数か月前まで地方銀行で働いていた元銀行マンだ。

ウーオ水産物バイヤー 澤田剛さん:
なかなかお客様に目に見えたものを提供するということが今までできていなかったので。力になると言ったら語弊があるかもしれないが盛り上げていきたい


釣りも食べるのも好きで日本の水産業の将来を担うウーオに共感。”金利いくら”の世界から”モノ”を売りたい一心でこのコロナ禍に転職し、早くもセリを任されている。

ーープレッシャーも大きいのでは?

ウーオ水産物バイヤー 澤田剛さん:
そうですね、入社1か月でセリに立たせていただいているので、すごいプレッシャーは感じますね

ウーオは新たな流通方法を提案し、まさに今、水産業界に新たな風を吹かせている。

ウーオ 板倉一智社長:
産地には魚がたくさん余っていて、安いにも関わらず、一方で買い手の消費地市場では欲しい魚が少なくて買えていないという現状を知った

一般的に漁師が獲った魚などの水産物は、まず水揚げされた産地の市場でセリにかけられ、仲買人にセリ落とされます。その後、広島中央卸売市場のような消費地にある市場に並べられ、今度は仲卸業者がセリ落とし、そこからスーパーなどの店舗が仕入れる仕組みだ。

しかし、ウーオはこの流通の流れをIT技術を使うことで簡略化。産地に常駐する自社のバイヤーなどがセリ落とした水産物をそのまま店舗に届ける仕組みを作った。


ウーオ 板倉一智社長:
まず産地と消費地をマッチングすれば流通が活性化して産地の魚余ってて安い問題を解決できるんじゃないかなと

まさに”日本の漁師と水産業を守る”ための大きなチャレンジ。新たな流通には、独自開発したスマホアプリが大きなカギを握っていた。

ウーオが開発した鮮魚仕入れアプリ

朝の慌ただしさが一段落した午前7時の広島中央卸売市場。市場にある万惣の事務所では今バイヤーがスマートフォンをチェックして、何か作業をしている。

広島県内を中心にスーパーを展開するalzo・万惣の水産担当バイヤーの石井翼さん。

ーーいまどういう作業をしている?

alzo・万惣の水産担当バイヤー 石井翼さん:
ウーオというアプリで山陰の魚を発注しているところです

これが、ウーオが開発した鮮魚仕入れアプリ。産地の漁港に水揚げされた水産物を遠隔から直接、仲買人に買い付け要望することができるもので、魚の写真や水揚げ量、サイズなどの相場をリアルタイムで確認できる。


さらに、これまでスーパーのバイヤーなどにとっては不透明な部分も多かった、直近の取引相場も公開されデータで参照することができる。

alzo・万惣の水産担当バイヤー 石井翼さん:
やっぱり隙間時間にできるっていうところは結構メリットではありますね。従来であれば電話でのやりとりが3~5往復あるものがアプリで注文することで10分~15分で完結できる

水産業界の流通構造をデジタル化、オープン化することで買いやすい状況を作り出し、買い手の負担も軽減しているアプリ。石井さんはこの日、旬の甘えびやカレイ、スルメイカなどを注文した。そして、ウーオ側は毎朝セリの前に入る、各地のバイヤーからの買い付けオーダーを基にセリに参加する。

この日は、新たに加わった元銀行マンの澤田さんが、ベテラン仲買人と競り合い、アプリで発注を受けたものを次々とセリ落としていく。


また”漁師ファースト”を掲げるウーオは、こうしたセリで良い魚にはその価値に見合った価格をつけ、漁師に還元する流れも作り出している。
そして、セリ落とされた魚は石井さんが待つ広島へ。

ーー鮮度はどうですか?

alzo・万惣の水産担当バイヤー 石井翼さん:
鮮度は抜群です

この鮮度の良さもウーオだからこそ。通常仲卸業者から買うと、水揚げ日が分からないことも多く、鮮度に幅があるというが、ウーオのアプリでは情報が全て目で見えるため、鮮度のいい魚が安定的に手に入るという。


加藤雅也アナウンサー:
開店前、いま鮮魚コーナーにズラリと並べられたのですが、こちらが朝見たウスバハギですね。見ただけで身の弾力感も伝わってくるのですが、色も新鮮だとこんなに綺麗なんだというのがもう視覚で伝わってきます

真っ白なウスバハギの刺身に、プリップリの甘えび。さらには鍋の定番タラ。どれも手に取りたくなるような”輝き”を放っている。


魚離れが進む中、生産者から消費者までを笑顔に変えるITと水産の融合。
今週からは広島の消費者向けに新鮮な魚の流通先を毎日情報配信する新たな取り組みもスタートさせた。

ウーオ 板倉一智社長:
1人でも多くのお客様にウーオの魚はオイシイと感じていただきたいので、一つそのあたりを認知していただく機会にしていきたい


消費者と、海で格闘する漁師たち。その間に立つ、彼らの一途な思いこそが新たな水産業のあるべき姿を切り開いていくのかもしれない。

(テレビ新広島)

(FNNプライムオンライン11月1日掲載。元記事はこちら

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