書店員の本気に脱帽…画集の建物を再現した“立体POP”がスゴい! 著者にも感想を聞いた

文化

  • 書店員が本気で作った精巧なPOPが話題
  • 画集に出てくる建物をミニチュアで再現
  • 書店員「トータルで150時間くらいです」

書店などで販売促進のために見かけるPOP。

多くは手書きで文章や色などにこだわっている印象があるが、そんな中、書店員が“本気”で作った驚きのPOPが、話題となっている。

それがこちらだ。

『ものがたりの家』住宅展示場が中万々店にできました!!!
吉田誠治さんの描く素晴らしい建物の絵を、1ヶ月かけてミニチュア模型にしました。3つの物件を実際にご覧いただけます!
現地に来られない方のためにこれからご案内しますね。いいねの準備はいいですか…?
では参りましょう。

コメントとともにTwitterに投稿された画像にあるのは、住んでみたくなるような架空の家のイラストと設定画を収録した画集「ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集-」を紹介するPOP。

中央には、黄色の紙に赤字で「これはきっとあなたが大好きな本」と大きく書かれ、その下にも本に対する熱い想いが綴られている普通のPOPがある。


しかし、このPOPは通常と大きく異なる点がある。なんと本に登場する建物のイラストのうち3点を実際にミニチュアの模型で再現しているのだ。

「階段堂書店」という設定の建物では、本棚や扉、並ぶ本などが細部まで作り込まれており、並々ならぬこだわりと愛が伝わってくる。

「階段堂書店」のミニチュア
「階段堂書店」のミニチュア

続いては「カカオの木のツリーハウス」という家で、本来なら巨大なカカオの木をミニチュアで表現。

居住部分は、竹ひごで骨組みをして、本物の葉っぱを使った外壁を糸で縫い合わせて作ったという。

「カカオの木のツリーハウス」のミニチュア
「カカオの木のツリーハウス」のミニチュア

最後は「悪戯好きな橋塔守」という建物。石の外壁をはじめ、人が生活しているであろう食料やキッチン、ベッドなど、とてもリアルに作り込まれている。

「悪戯好きな橋塔守」のミニチュア
「悪戯好きな橋塔守」のミニチュア

Twitterに投稿したのは、このミニチュア模型を製作した書店員の「なかましんぶん編集長」(@NAKAMAshinbun)さんで、POPは高知市にある「TSUTAYA 中万々店」に設置されているという。

Twitterでは「隅から隅まで愛情がいっぱいだね」「優しく強く、五感に伝わる素晴らしい作品です」などの声があり、話題となっている。

書店でPOPはよく見かけるが、このようなミニチュアの模型まで製作する熱意はすごすぎる。
なぜ作ろうと思ったのか? そして本に対する想いとは? 「なかましんぶん編集長」さんにお話を伺った。

ミニチュアの元となった「悪戯好きな橋塔守」のイラスト
ミニチュアの元となった「悪戯好きな橋塔守」のイラスト

『ものがたりの家』に出てくる個性的な家が大好きだから

ーーなぜ作ろうと思った?

『ものがたりの家』に出てくる個性的な家が大好きだからです。間取りが見えるように描かれた立体的な断面図をそのまま立体として実際にお客さんに見ていただけたら、この本の楽しさが伝わると考えました。


ーー作り方の手順を教えて

知識もなく面倒くさいので設計図は書かず、とりあえず土台や外壁をいちばんはじめに作って、なんとなく作りながらその他の家具の大きさを決めていく感じです。


ーー作るのにどのくらい時間かかった?

1カ月くらいです。仕事がある日は帰ってから夜中2時くらいまで、休みの日は朝から10時間くらいは平気でやっていました。トータルで150時間くらいだと思います。

「階段堂書店」
「階段堂書店」

原画のかなり細かい部分まで忠実に再現

ーー難しかったところは?

一つ一つのパーツの長さなどを測っているはずなのに組み立ててみると隙間ができる。ちゃんと嵌まらない。「カカオの木のツリーハウス」の竹ひごの骨組み、本物の葉っぱを使った外壁を糸で縫い合わせるという作業が難しかったです。

ーーこだわりは?

吉田誠治さんの原画に描かれたかなり細かい部分まで忠実に再現することです。描かれていない部分を自分のオリジナルで補完しているのも見てほしいポイントです。密かに小箱に貯められたお金、和式トイレのレトロなタイルなどです。


ーーこうした模型づくりは普段からやっている?

2019年も同じように『岸辺のヤービ』という童話の作品に登場する家の模型を作りました。

『岸辺のヤービ』の立体POP
『岸辺のヤービ』の立体POP

店に飾るという名目で好きなことしているだけ

ーー他にも立体的なPOPを作ったことがある?

「junaida」さんの『の』というヨーロッパの風景が描かれている絵本の表紙にある帽子を作りました。他には回せる、引っ張ったりして遊べる仕掛けつきPOPはよく作ります。


ーー他の書店員の反応は?

とても驚かれます。みなさん「すごい」と褒めてくれるので、モチベーションが上がります。


ーーお客さんの反応は?

今回は売場を作っているときから声をかけていただくことが多かったです。びっくりした顔で「これあなたが作ったの!?」とよく聞かれました。


ーー反響についてどう思う?

まさかこんなふうにネットニュースに載ったりするとは思ってもみなかったです。店に飾るという名目で好きなことして遊んでいるだけです。

これからも工作に磨きをかけて、テレビにも取り上げられる変な書店、変な書店員になりたいです。

絵本『の』の立体POP
絵本『の』の立体POP

本の著者にも感想を聞いた

書店員さんの立体POPに対する思いやこだわりを聞くことができたが、この立体POPの元となった「ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集-」の著者である吉田誠治さんは、実際に現地に足を運んだという。立体POPについてどう思ったのか? お話を伺った。

ーーPOPを見てどう思った?

書店員さまの熱意を感じました。それだけこの本を気に入っていただけたということで、本当に嬉しいです。


ーーこのクオリティについてどう思う?

細部まで作り込まれていて、POPやディスプレイというよりもひとつの芸術作品だなと思いました。特に並んでいる本の種類や、梱包資材などに書店員ならではのこだわりが感じられ、元の絵にはないところまで作り込んであるのが嬉しかったです。


ーー現地を訪れたということだが、書店員とどんな話をした?

どうやって作ったのか、どのあたりに苦労したか、どこが気に入っているかなど様々な思い入れを聞くことができました。また、併売されている本のラインナップが『はてしない物語』など私の好きな作品ばかりで、そこからどういう作品に影響を受けたかなどもお話できました。

書店員さんが、過去に作った仕掛け付きPOP
書店員さんが、過去に作った仕掛け付きPOP

なお、この立体POPは現在も店頭に設置されており、撤去する時期は決まっていないという。

書店員として通常の業務をこなしながら、これだけ精巧な立体POPを作り上げたことにとても驚く。同時に「ものがたりの家-吉田誠治 美術設定集-」という本に対する強い思いが伝わってきた。

(FNNプライムオンライン11月1日掲載。元記事はこちら

https://www.fnn.jp/

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