多発する市街地へのクマ出没…人間とクマの共生に向けた取り組みとは? 人身被害ゼロの自治体に密着

社会 環境・自然

  • 今年のクマによる人身被害は80件 捕殺は3000頭超
  • 麻酔銃でクマを眠らせ徹底的に個体調査をする団体も
  • 「同じ自然を共に享受できる」人間とクマの共生を目指して

市街地へ迷い込んでしまうクマ その悲しい結末

今年、やけに目にする市街地へのクマ出没のニュース。

大きなニュースとなった石川県加賀市でのクマによる「ショッピングセンター立て籠もり」では、人はどうすることもできず、ただクマを撃ち殺すしかなかった。

こうして年間捕殺されるツキノワグマの数は、2019年度だけで5283頭。2020年度もすでに3729頭のツキノワグマが捕殺されているという(9月末まで)。

無理もないだろう。2020年のクマによる人身被害は80件を超え、10月はついに2人が死亡した。クマと人間の共生は、難しいのだろうか?

“捕殺”ではなく“麻酔銃” クマを眠らせ徹底的な個体調査

クマの出没が激増しているこの5年間で、市街地での人身被害が出ていない自治体もある。

長野県軽井沢町。町から委託され、クマによる人身被害ゼロを支えているNPO「ピッキオ」の取り組みに密着した。

するといきなり入ってきたのが、シカ駆除のための罠に誤ってクマがかかったという情報。

現場へ向かうと、罠から逃れようとするクマの姿があった。興奮状態にあるため、いつ罠を引きちぎり飛びかかってくるかもわからない。


すると、ピッキオのスタッフが銃を用意し発砲した。

撃ったのは麻酔銃。しかし、その効果が現れるまでじっくり様子を見る。合計3発の麻酔を打ち込み、ようやくクマは眠り込んだ。


すぐさま、ありとあらゆる個体調査が始められた。DNA分析のため体毛を採取。歯並びで健康状態をチェック、さらには血液検査の採血も行われた。

捕まったクマをよく見ると、耳元に個体識別のためのラベルと電波の発信器が付けられていた。実はこのクマ、捕まったのは初めてではなかったのだ。

軽井沢では、人の住む市街地ゾーン、クマの住む山奥ゾーン、両方が混在する中間ゾーンが明確に分けられている。市街地に近い場所には罠が仕掛けられ、迷い出そうになったクマは名前と発信器を付けられ、再び森に帰されるのだ。

この日捕まったクマの「シャカ」にも、新たに発信器を付け監視を再開する。


ピッキオのメンバーは毎日、クマに取り付けた発信器を用いてクマの所在を確認する。

その情報をクマの「追い払い」チームに共有。特別な訓練を受けたクマ対策犬「ベアドッグ」を連れ、街に近づかないように警告を与えるのだ。

「同じ自然を共に享受」人間とクマの共生を目指して

NPO法人「ピッキオ」クマ保護管理チーム 田中純平さん:
クマが近くに暮らしていても、人と棲み分けながらであれば、同じ地域の豊かな自然を共に享受することができると思っています。


クマに人里の「怖さ」を教え続けることで、殺さず住民との共生を図っているのだ。

捕獲から約3時間後。麻酔から覚めたシャカは、ドラム缶の檻に入れられ山奥に移動させられた。そして、もう二度と人里に近づかないよう、犬や人の大声に脅かされ、その記憶を刻みつけられて再び山へ帰って行った。

そこには、ただ捕殺するだけではない、クマとの共生方法があるような気がした。

(「Mr.サンデー」11月1日放送分より)

(FNNプライムオンライン11月2日掲載。元記事はこちら

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