ファミリマートが「VR研修」で社員教育の効率化を実現…実際は何をやる?導入の狙いを聞いた

経済・ビジネス 技術 仕事・労働

  • ファミマが新入社員に「VR研修」を試験導入
  • 教える側・教わる側の合計で1人当たりの教育時間を約60時間削減
  • 今後はフランチャイズ店舗に広がる可能性も

ファミマが「VR研修」を導入

新しい職場で働くとき、大切にしたいことの一つが「研修」だろう。業務に関する知識や技術を学べる最初の機会であり、その後の成長や働きぶりなどにも影響してくる。

ただ、多忙な職場では指導側も忙しかったりすることもある。企業にとっても労働者にとっても悩ましい問題だが、近い将来、思わぬ形で解決するかもしれない。

研修は業務について学べる機会だが…(画像はイメージ)
研修は業務について学べる機会だが…(画像はイメージ)

大手コンビニチェーンの「ファミリーマート」が10月12日、新入社員の研修にVR(仮装現実)を導入する実証実験を行ったところ、教育の効率化につながったと発表したのだ。

ファミリーマートによると、VR研修は2020年度の新入社員90人のうち、ファミリーマートでの業務経験がない14人を2グループに分けて5月~8月に実施。学習には、VRソリューション企業「InstaVR」と製作した、コンビニ業務に関するVRコンテンツを活用したという。

そうしたところ、VR研修を活用したグループは、通常研修のグループと比べて、社員1人当たりの教育時間を約60時間(指導側:約30時間、新入社員側:約30時間)削減。日数でいうと、数日間は短くできると思われるとのことだ。

時間が少しでも削減できれば、空いた時間で異なることを学んだり、学習しきれなかったところを学び直すこともできるだろう。その一方で、VRだけの学習と実際の業務経験では、感覚などが違ってくるのではないかと不安に思うところもある。

実際のVR研修はどのようなものなのだろうか。また、実際に導入する予定は?ファミリーマートの担当者に伺った。

VR研修…実際はどう行われる?

ーーなぜ、社員研修にVRを活用しようと考えた?

店舗での社員教育に関する負担を減らせるかどうか、業務の作業手順の習得を早め、新入社員の店舗勤務期間を短くすることができるかどうかを検証するとともに、実際の育成効果の向上にもつなげたいという狙いがあります。


ーーVR研修はどんな流れで行われる?

現時点では、店舗にVR機器(ヘッドセットやコントローラー)を貸与し、VR映像のコンテンツを見て学んでもらいます。その後、学んだことを実際の店舗空間でもできるように、実際にできるまでの確認を対面で指導するという流れになっています。


ーー実際はどんなものを見せる?

基本的には、レジでの接客方法・操作、各種サービスの対応方法、店舗内外の清掃、商品の発注方法などを、VR映像で見てもらいます。一部の作業についてはコントローラーを使い、実際に手を動かしてもらう、実践に近い練習もしていただきます。簡単なクイズなども出題し、復習もできるようになっています。

コンビニの各種業務をVR映像で学ぶという(画像はイメージ)
コンビニの各種業務をVR映像で学ぶという(画像はイメージ)

サービスの質の均一化にもつながる

ーーVR研修の導入で期待することは?

業務の習熟度、理解度の向上のほか、教える側の時間も減るので、教育にかかるコストの低減にもつながると思います。これらを合わせた、生産性の向上に期待しています。また、VR映像だと教える人によってのばらつきが生まれないので、サービスや接客の質の均一化、ファミリーマートとしての「あるべき姿」の目線の統一にもつながると思います。


ーーVRならではの魅力はある?

教える人の拘束時間が減るので、学ぶ時間や場所は問わずに自己学習を進めることもできると言えます。また、今後の話ですが、新しい商品の販売やサービスが始まった場合、それをVR上で事前に体験するようなこともできますので、習熟度を補助することもできると思います。

新商品・サービスを事前に学ぶこともできる(画像はイメージ)
新商品・サービスを事前に学ぶこともできる(画像はイメージ)

ーー実務経験の少なさでギャップは生まれない?

VR研修の流れとして、最後は現実の現場でできるように、店長やトレーナーが確認します。VRが担うのは、学ぶことの前準備であったり、どのような手順で行うのか実演する部分なので、「VR見ているから、きょうからお店で一人でやって」とはなりません。最後は確認の意味も込めて、学んだことが現実でできるまで対面で指導します。そこで補完はしています。

最後は対面での指導も行う(画像はイメージ)
最後は対面での指導も行う(画像はイメージ)

体験した新入社員からは好評の声も

ーー効率化された時間はどのように活用する?

時間が減ることで、教える側の人件費の削減になりますので、店舗収益の改善は期待できるのではないかと思います。また、効率化によって空いた時間を、品揃えや店内清掃の充実、接客などに活用することで、顧客満足度の向上につながると考えております。


ーーVR研修に社内からはどんな反応が出ている?

VR研修を経験した新入社員からは、VRで学習した後、実際のレジ業務で同じような問い合わせのケースがあったが、VRで見ているのでスムーズに対応できたという声があります。

また、通常の研修だと内容によっては、紙のマニュアルで流れが分からないことがあったり、口頭で指導するのみとなってしまいがちですが、VRだと手順などを実際のように確認できます。何度も復習してみることができる、自分のペースで進められるので理解しやすいという反応もありました。

接客対応などに効果が出たという反応も(画像はイメージ)
接客対応などに効果が出たという反応も(画像はイメージ)

ーーVR研修について、今後の予定はある?

まだ検討段階ではありますが、フランチャイズ加盟店での活用も視野に入れております。まずは直営店での活用の拡大、VR映像などプログラムの充実を図っていければと思います。


VR研修は教育時間の削減だけではなく、店舗での業務で必要な応対を仮想空間で経験したり、サービスや接客の質を均一化できたりすることも期待できるようだ。

ファミリーマートが試験的に導入したVR研修は、多言語にも対応しているとのことなので、コンビニで働く外国籍の人たちにとっても、有益な教育方法になるかもしれない。

(FNNプライムオンライン11月5日掲載。元記事はこちら

https://www.fnn.jp/

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