スマホひとつで“遺言書”が作れるアプリが登場…法的効力はどう担保する?開発者に聞いた

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  • スマホで遺言を作成・保管できるアプリが登場
  • タップ・クリック・音声入力で最短約15分で作成可能
  • 担当者「遺言作成への最初の一歩になれば」

自分の死後、相続トラブルなどを避けるために、財産などの処分に関して残す“遺言書”。しかし、いざ作成しようと思ってもさまざまな手間がかかることから、なかなか書けない人も多いかもしれない。

そんな問題を解決しようと、データの管理・マネジメントなどを手掛けるAOSデータ株式会社(東京・港区)が、スマホで遺言書を作成・保管できるアプリ「Husime.com(フシメドットコム)」を開発した。


これは必要項目を入力するだけで、誰でも簡単に“デジタル遺言書”を作成できるアプリ。ガイドにしたがって、家族構成や所有不動産、遺言執行者などの記載をタップ・クリック・音声入力をするだけで、AIが作成してくれる。

個人差はあるが、最短約15分でアプリが自動でデジタル遺言書を作成してくれるという。

なお、作成されたデジタル遺言書はブロックチェーンで管理されるため、改ざんや毀損、紛失などのリスクなく保管することができるとのことだ。加えて、簡単に自分史や人生の記録を残すことができる「ライフストーリー」機能もあるという。

このように簡単に遺言が残せるのであれば、紙で作成するより手間が省かれて、作ってみようと前向きに考える人もいるかもしれない。

一方で、2019年に施行された改正相続法でも、財産目録など遺言書の一部をパソコンで作成することは認めているが、基本的には自筆が原則のため、デジタル遺言書は法的効力を持たないという問題もある。

では、法的効力を持たないデジタル遺言書を作成するアプリをなぜ開発したのだろうか?どういうメリットがあるのか? 開発元のAOSグループ・リーガルテック株式会社のHusime.com事業担当・小嶺和子さんに聞いてみた。

簡単手軽に遺言書のデジタル化

ーーなぜ、デジタルで遺言書を作れるよう考えた?

政府は国全体として、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」というDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく方針をとっており、その一例として現状は紙で手続きしている婚姻届・離婚届などのデジタル化が検討されています。コロナ禍の今、遺言についてもデジタル化が必要であると考えられます。

また、現在の日本の遺言は複雑で手間・費用がかかりすぎることなどから、日本では遺言をするのは亡くなる方の約1割にとどまっており、約9割の大多数の方々が遺言をしないまま亡くなっているという問題があります。このような問題を受けて遺言の方式を見直す必要性が高いと言えます。

AOSデータ社は「Husime.com」を手軽に使うことで、最先端のAIやブロックチェーンが身近に感じられ、シニア世代でも簡単に扱えるように。また、実際に触っているうちに最先端技術へのハードルがなくなっていくようにと開発しました。


ーーなぜ、音声認識による入力がある?

シニア世代の方々には、お身体が弱ってきているなどして、手書きで文書を作成するのは難しい方も多いと考えられます。また、デジタル機器の操作に不慣れな方も多い世代であるため、「スマホに話しかけるだけで遺言ができる」という簡単さ・手軽さ・便利さを提供していきたいと考えています。


ーー法的効力は持たないデジタル遺言だが、「Husime.com」を使うメリットは何?

「Husime.com」では、デジタルでの保存と法的な効力を持つ手書きでの遺言書作成との連携を図っています。作成したデジタルでの遺言書は、メールやメモ帳に転送することができます。これを後から自筆で手書きして書き写し、法的効力をもたせることが容易にできるようになります。

最初から紙で遺言を残すことや手続きは煩雑で手間が多いですが、「Husime.com」であればスマホに話しかけるだけで、まずは簡単・手軽に生前の意思や想いを遺すことができます。この最初の一歩を踏み出す手助けとなることも大きなことだと考えています。

また、紙のノートなどに記録・情報の保管をしておく方法もありますが、本人の死亡後、遺族がノートを見つけられなかったり、ノートが汚損して読めなくなったり、改ざんされたりするリスクがあります。デジタル遺言であれば、情報の改ざんや滅失などの恐れがありません。


遺言を残さずに亡くなることで、遺族が本人の保有資産を把握することが困難というケースが散見されるという。このような遺族の苦労を避けるため、アプリに保有資産について記載・整理・情報の保管をしておくことが有用なのだそうだ。

なお「Husime.com」では、亡くなった後、事前に登録していた人に向けてデジタル遺言を送信する設定にしておくことで、遺族が確実に情報を受け取ることが可能だという。

思い立ったときにいつでも使ってもらいたい

ーーどのようなタイミングで、どのように使ってほしい?

自身の保有資産を整理・記録したい。ご自分の意思や想いを整理・記録したい。という場面で、ぜひアプリを開いていただきたいです。また「ライフストーリー」(自分史)機能についても、自分の人生の軌跡を記録したいと思い立ったときにいつでもご使用いただきたいです。

加えて、遺言や終活に関する情報コンテンツも今後充実させていく予定ですので、セカンドライフに突入した方々が情報を収集したいと思ったタイミングで、いつでもアプリを開いていただきたいです。


ーー現在の反響はどう?

リリースを打ったばかりですが、すでに複数のメディア様からお問い合わせをいただいており、またTwitterなどのSNSでも話題にしてくださっている方がいらっしゃるようです。その反響に対しては、大変うれしくありがたく感じています。ぜひ多くの方々に知っていただき、広めていただきたいと考えています。

(画像はイメージ)
(画像はイメージ)

「Husime.com」に「遺言のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する存在になってほしい」と語っており、現在は「Husime.com」1.0をリリースし、今後ユーザーをはじめとした多くの人の意見などを聞いて、随時アップデートしていく予定だという。

遺言やライフストーリー(自分史)は、金銭などの問題解決だけでなく、残された人たちにとっては亡くなった人を忘れないでいられる、思い出の品の1つともなる。まずは、このようなデジタル遺言書を活用し、その後に実際の遺言書を作成するという流れも今後はありそうだ。

(FNNプライムオンライン11月10日掲載。元記事はこちら

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