災害時、障害者とその家族のために…“移動型”避難所が岩手で誕生 震災から10年目の歩み

社会

  • 電力・水道・トイレも 全生活インフラを搭載した“移動型避難所”
  • 防災は“重い障害がある人の目線で”震災経験で学んだ課題
  • 障害者と家族の避難生活…大切なことは“日ごろからの人の支え合い”

岩手で誕生した移動型避難所「レスキューブ」

車両に乗せられ、公道を移動するコンテナ。
動く避難所。次世代の仮設住宅としての活用が期待されている。

このほど、岩手で誕生した移動型住宅コンテナ「レスキューブ」は、電力・水道・トイレなど全ての生活インフラを搭載。
人工呼吸器を利用する患者らの避難生活を支えようと、医療用ガスを製造・販売する北上市の北良が東京の会社と共同で開発した。


北良 笠井健社長:
7坪くらいの居住スペースになると思います。避難所や仮設住宅を作るのは非常に時間もかかるので、移動が可能でインフラが必要ない、こういったものが普及してくると避難所の作り方や仮設住宅のあり方が大きく変わってくると思います


重度障害者の目線での防災 みんなに役立つものに

10月25日、一関市での防災の研修会。
笠井さんが交流している、障害がある人の家族らが企画した。

講師を務めた笠井さんは、生活を守るための電源の確保などを指導。会社の発電機を使い、稼働訓練も行った。


常に重い障害がある人の目線で防災に取り組む笠井さん。その胸にあるのは、あの震災への思いだった。

北良 笠井健社長:
被害がどんどんと明らかになってくるにつれて、何をしなければいけないか、一気に色んなことが同時に頭にわいてきて、かなり切羽詰まった感じにはなりました

患者の安否確認、病院への酸素ボンベの搬入。社員総出で県内外を駆け回った。


北良 笠井健社長:
家族や親や子どもを亡くされた方が、普通にその空間の中にいて、災害というものの理不尽さというか、色んなものが入り交じった感情になりました


震災後、笠井さんは防災への取り組みを強化。熊本、岡山、千葉など、全国各地の被災地に足を運んだ。
水を浄化し再利用する技術を使ってシャワーを提供するなど、支援にあたった。


北良 笠井健社長:
家族がいて初めてケアが成り立っているということも、色んな災害を通じて学んだ

加えて、障害がある人たちと心通わす日々を送ってきた。
そこには、大きな発見もあった。


北良 笠井健社長:
その病気が10万人に1人の病気とか、この地域で1人しかいない病気ということがあるんですけど、そういう子どもや家族に向けて色んなものを作ったり、その課題を解決したりしていくと、不思議と誰にとっても役に立つものが出来上がるんですよ

大切なことは“日ごろからの人の支え合い”

10月24日、レスキューブの実証試験。
千葉一歩さん(30)とその家族が1泊する。

重い障害を抱えて生まれた一歩さん。
19歳の時に脳出血を患い、日々医療的ケアが必要。

今回のレスキューブ体験では、専門のスタッフ(臨床工学技士)がセッティングなどをサポートした。


一歩さんの母 淑子さん:
(一歩さんは)リラックスしてる感じでしたね

北良 笠井健社長:
電気や水だけがあればいいわけではなくて、家族がそばにいること、家族同士が優しい気持ちでいられることが、何よりもこの子たちには必要なんだなっていうのを、そばで見せていただいた

一家は特段の問題なく一晩を過ごした。

一歩さんの母 淑子さん:
(事前に)一歩の様子を細々見たうえで色々と準備をしてくださったので、一歩も大丈夫だったし、良かったです


災害時にも安心して過ごすためには、ハードの充実もさることながら、日ごろからの人の支え合いが欠かせない。

誰一人取り残さない社会を目指している笠井さんも、その思いを新たにしている。

北良 笠井健社長:
モノを作るだけではなくて、こういう家族がいることをもっとたくさんの人に知ってもらって、普段から家族全体を応援してくれるような仲間づくり、パートナーを作っていくことが、これからは必要

あの日を忘れずに、共に生きる。
震災から10年目の歩み。


(岩手めんこいテレビ)

(FNNプライムオンライン11月15日掲載。元記事はこちら

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