「CO2ぶっ倒す!」百獣の王や慶大生モデル投入で「脱・意識高い系」なるか?“菅印”脱炭素の機運醸成へ

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12月17日、菅首相は、自らが宣言した2050年脱炭素社会の実現に向け各界と意見交換をする場として、「2050年カーボンニュートラル・全国フォーラム」という会議を官邸で開いた。

出席したのは首相と環境・経産・外務の各大臣のほか、ノーベル賞受賞者の吉野彰さんら気候変動問題に意欲的に取り組んでいる企業関係者や民間人だ。その中には、“百獣の王”の異名をとるアスリートタレントで環境省サステナビリティ広報大使を務める武井壮さん、慶応大学在学中のモデルで環境省プラごみゼロアンバサダーを務めるトラウデン直美さんの姿もあった。年代や業界を問わず、国民全体・社会全体で、脱炭素など環境問題に取り組む機運を醸成するための人選だ。


会議の中で菅首相は「日本の新たな成長戦略として経済と環境の好循環を生み出していく、世界最先端のイノベーションをおこし、カーボンニュートラルの実現に貢献をしていく」と力を込めた。その上で、「世代や分野を超えてあらゆる主体が会話や発信を継続し、取り組みの裾野を広げていくことが重要」だとして、出席者にカーボンニュートラル挑戦への取り組みの先頭にたってもらうよう呼びかけた。

トラウデンさんが唱えた店への一言「この商品は環境に配慮してる?」

トラウデン直美さんは会議の中で「日本が他国に比べて足りていないのは、個人間の情報共有」だと訴えた。トラウデンさんが会議に提出した資料では、「今後も東京ガールズコレクションや、そのほかのメディア、 SNSを通じて環境問題について発信し、そして問題意識を共有している人たちとのつながりを大事にしていく」と宣言している。

さらに「すぐ始められる!私の一歩」としてマイボトルに続くマイカトラリー(フォークや箸など)の携帯、 何かを買う前に自分に「これは本当に必要?」と相談すること、 お店の人に「この商品は環境に配慮してる?」と尋ねることなどを提案した。

トラウデンさんは会議終了後、記者団に対し、「(環境問題の話をすると)意識高い系と言われちゃうことが未だにあるんじゃないかと思ったので、もっと一般の人がふつうの会話、普段の会話で知ってる?これ環境にいいんだって!というような発言ができるよう、そういった発信を私含め様々な影響力のある人がしていければいいんじゃないかと提言した」と語った。


また、「1人の100歩よりも100人の1歩」、「早く行きたいなら一人で行けばいいけど、遠くまで行きたいならみんなで行こう」という環境問題を考える上で大切だと思う二つの言葉を紹介し、「一人一人、一歩一歩頑張っていけたらいいと感じた」と述べた。

“百獣の王”武井壮さんは「CO2をぶっ倒す!」とガッツポーズ

武井壮さんは会議で、「スポーツと気候変動」という観点から、スポーツイベントでのプラスチック不使用・リサイクル品使用促進などの脱炭素の取り組みや、マラソンやスキーなど気温上昇の影響を受けるスポーツを通じた環境意識の向上について提案した。

そして終了後の取材で、自身の持ちネタになぞらえて“二酸化炭素の倒し方”を問われると「我々が進化することだと思っている」と答えた。その上で「自分が購入したものが環境に配慮したものなのかリサイクルできるものなのか知って消費していくことで、みんなの一歩が踏めていく。我々が生活様式を変えていき、行動変化を起こせるようにメッセージをしていきたい」と力強く話した。最後にはカメラに向かい「CO2をぶっ倒す!」とガッツポーズを決めた。

菅首相とノーベル賞の吉野彰さんが共に訴える「イノベーション」の主導

会議を終えて、政府関係者は「環境問題への取り組みは草の根の活動の部分からやっていくことが必要。カーボンニュートラルの実現に向けてのスタート位置に付いた感じだ」と振り返った。各界の著名人の発信力による国民や社会全体の機運の醸成への期待を込めた形だ。

菅首相は2050年カーボンニュートラル実現のために「鍵となるのは革新的なイノベーションだ」として、2兆円の基金を新たに創設し、イノベーションに挑戦する企業を今後10年間、継続して支援することを決めている。

今回の会議に出席したノーベル賞受賞者の吉野彰さんは、「総理が打ち出した目標は正しい」と評価した上で、「カーボンニュートラルを実現するためにいろんなイノベーションが必要。だからそれを日本から発信しなきゃいけない」と、目標を掲げたからには脱炭素に向けて日本が世界をリードしていく重要性を指摘した。


政府は2030年代半ばに新車販売のすべてを水素で走る燃料電池車や、ガソリンと電気の両方を使うハイブリッド車などを含む「電動自動車」に切り替える方向で調整しているほか、企業などに対してCO2の排出量に応じて費用の負担を求める「カーボンプライシング(炭素価格付け)」の導入の検討を始めるなどの政策を着々と進めている。


しかし、菅首相が打ち出した目標には様々な異論もあり、関連する業界の理解と納得、そして協力を首相のリーダーシップのもとで取り付けて行くことが今後必要になる。

菅首相が「政府として今後、様々な場を活用し、広く理解と機運を高めて行きたい」と話すように、2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、官民を挙げての協力と社会全体の機運の醸成がカギとなってきそうだ。今回の会議を皮切りに、地方自治体、経済界、学会、それに文化・芸能の世界など、分野や世代を問わない環境への取り組みが広がるかどうか、政府の政策の先行きと共に注目したい。

(フジテレビ政治部・亀岡晃伸)

(FNNプライムオンライン12月23日掲載。元記事はこちら

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