53年ぶりに全国ワースト?都内で交通事故による死者が増加 その理由とは

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都内の交通事故による死者が増加

最近、警視庁幹部と会話をすると、必ず、次のような話が出る。「交通事故の件数は減っているんだけど、死者が増えているんだよね」と。

2020年12月21日時点で、都内の交通事故による死者数は151人。2019年1年間の死者数133人を大きく上回っている。

交通事故の件数が減っているのは事実。新型コロナウイルスの影響で、多くの人が外出を控え、交通量も減った。その結果、交通事故も減った。にもかかわらず、死者だけは増えている。

なぜか?

要因の1つに挙げられているのが「スピード」。
交通量が減ったことで、逆に、車のスピードが出しやすくなり、大事故、死傷事故につながるケースが増えているということ。

年が明けると、事故件数と死者数の関連について検証が進むだろう。

53年ぶりに全国ワーストも

さらに、警視庁幹部と話を進めると、必ず、次のような悩みも聞かれる。「このままだと、53年ぶりに、全国でワーストなんだよ」と。

交通事故の死者数が多いことで知られているのは、北海道、愛知県。東京都は、人口の割に、交通事故の死者数が多くないことは周知の事実。

ところが、12月21日時点では、以下の順位。
➀東京都 151人
②愛知県 150人
③北海道 142人

東京都が、暫定ながらも全国ワーストに位置している。

交通事故の死者が「増えた」「減った」は、交通担当の警察官にとって、最大の関心事。人の生死に関わることではあるが、警視庁交通部内では「全国ワースト阻止」に向けた大号令が掛けられているとのこと。

都内の交通安全キャンペーン 12月3日
都内の交通安全キャンペーン 12月3日

前回ワーストは「交通戦争」時代

では、前回ワーストだった53年前(1967年)には、いったい何人が交通事故で命を落としていたのか?

答えは「749人」。現在(12月21日時点)のおよそ5倍。

「え?交通事故の死者って、そんなに多かったの?」と驚かれる方も多いはず。自動車が一気に普及始めた当時は、交通事故の死者数も、1000人前後で推移、その多さから「交通戦争」という言葉まで存在した時代だった。

その後、死者数は、多少増える時期はあったものの、基本的には減り続け、2019年には、過去最少の131人にまで減少した。

死者が、ここまで減った理由には、「医療体制の進歩」「車の性能の向上」などが挙げられるが、「交通行政の成功」も、かなり貢献していると言える。

個人的には、路上駐車をここまで減らしたことが、死者数の減少に、かなり寄与していると思っている。

とは言え、「全国ワースト」は不名誉な事態。警視庁の交通担当者は、除夜の鐘が鳴るまで、
死者数の増減に、ヤキモキしていることだろう。

執筆:平松秀敏

(FNNプライムオンライン12月26日掲載。元記事はこちら

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