【独自】幼保無償化対象外「森のようちえん」「朝鮮幼稚園」幼児らにも2万円給付 すべての子ども支援へ最後のピース

政治・外交


 

政府が2021度予算のもとで、幼児教育・保育無償化の対象となっていない子どもに対しても、幼保施設の利用料として幼児1人あたり月2万円を給付することがわかった。幼児教育無償化をめぐっては、対象外とされていた「森のようちえん」や朝鮮幼稚園など外国人幼稚園の事業者等から、適用を強く求める声が上がっていた。少子化が加速するなか、待機児童解消のために多様化する幼児教育・保育をめぐる動きを取材した。

無償化対象は「すべての子どもたち」ではなかった

2019年10月の幼児教育・保育の無償化のスタートから1年。2019年5月に改正された「子ども・子育て支援法」には「すべての子どもが健やかに成長するように支援するもの」という基本理念が追加された。

政府はこの原則に照らし、幼稚園や認可保育施設などに加え、共働き世帯など「保育の必要性」が認められる場合を前提に、条件を満たした認可外保育施設も無償化の対象とし、ベビーシッターや一時預かりも無償化の対象に含まれることになった。

一方で、幼少期の子どもたちに自然とのふれあいを提供する形の幼児教育「森のようちえん」や、朝鮮幼稚園をはじめとする外国人幼稚園などは無償化の対象から除外された。

政府関係者によると除外された理由として「森のようちえんはそもそも施設を持っていないものもあり、面積基準などの認定基準を満たさなかった」としつつ「幼稚園類似施設は法案ができた際に残された課題になっていた」と話す。また外国人学校についても「質の確認が難しい」とする。

これに対し、朝鮮学校の幼稚園の教員らが無償化の適用を求め「日本に住んでいる我々を仲間外れにしないでほしい」と声をあげてきた。また同様に対象外となっていた森のようちえんからも、入園を希望する児童が認可された幼稚園などに流れ、減少したといった悲鳴が上がった。

文部科学省によるとこれまで実態が把握されていなかったものの、今年度改めて調査した結果、対象外となっている施設は全国で約200程度あるという。

「森のようちえん」「朝鮮幼稚園」でも一律2万円給付へ

そうした中、政府関係者によると、12月21日に閣議決定した子ども・子育て支援新制度の予算案で、幼児教育・保育無償化から除外されていた施設の子どもに対しても、要件を満たした場合、幼児1人当たり一律に月額2万円が給付されることがわかった。

要件としては、現在無償化の対象となっている幼稚園等と同じ設備や開所時間、さらに適切な会計処理が確認できることなどが定められている。そして今回の政策のポイントはこれら国の一定基準を設けるものの、地方自治体の判断で認められれば対象になるところだ。

しかも「幼稚園教諭や保育士などの有資格者が3分の1以上いること」や「1日4時間以上8時間未満、週5日以上、年間39週以上」などの必須条件さえ満たしていれば、面積基準を満たしていなくても自治体の判断により給付対象になるなどむしろ要件は緩和された。つまりこの制度で、これまで施設がないなどの理由で対象外となっていた「森のようちえん」なども一律2万円の給付を受けることができる。

また無償化ではなく月2万円給付(利用料が月額2万円以下の場合は当該平均額)となったことについて、政府関係者は「無償化の幼稚園とのバランスを見たうえで、おおむね利用料の平均」としている。幼稚園も受験の必要な私立の場合は上限2.57万円が設定されているところから、それほど遜色のない制度となりそうだ。

子どもを持たない理由トップ「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」

国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、理想の子供数を持たない理由について、30歳未満では76.5%、30~34歳は81.1%が「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と答えている。2人目以降を希望しても教育費を理由にあきらめる―これが現在の少子化の実態だ。

厚生労働省によると、2019年度の出生数は86万5239人で合計特殊出生率は前年度の1.42から1.36に減少している。また今年は新型コロナの影響で1~10月の妊娠届の件数が前年同期に比べてマイナス5.1%となった。このことから政府の会議でも有識者から、多子世帯への教育支援の拡大を急ぐべきだとの指摘が出ている。

政府が全力をあげる多様な幼児教育・保育

菅内閣が掲げる「待機児童解消」をめぐって政府は、仕事と育児の両立を図るため、従来の幼稚園や保育園だけでない多様な幼児教育・保育の支援に力を入れている。

たとえば、2021年度予算から企業主導型ベビーシッター利用者支援事業を拡大し、ベビーシッターの割引券を現行の児童一人あたり1日1枚(2200円分)から1日あたり2枚(4400円分)に倍増することを決めた。政府関係者は「朝と夕方2回のベビーシッター利用ができると、働きながら育児をする世帯にとっては大きなことだと思う」と期待を寄せる。

幼児教育の現場はこの動きを率直にどのように見ているのだろうか。東京都内の認可外スクール事業者に聞くと、次のように語った。

「来年度から認定申請する。政府が待機児童を解消するためと言っているのに我々が基準を寄せていかないのも怠慢だと思う」

さらに「保育の必要性=共働き」という基準について「専業主婦の仕事量にももっと目を向けたほうがいい。なぜ働いていないからといって無償化の対象外になるのか」と疑問を呈した。

幼児教育無償化のスタートから1年、内閣府関係者は「無償化の課題であった最後のピースがはまった。これですべての子どもが対象になったと言えるのではないか」と話す。小さなピースかもしれないが、少子化対策のパズルを完成させるには、なくしてはいけない大事な1ピースだ。一方で教育・保育の質や適切な運営を保たなければならないのは大前提だ。保育士の待遇改善など課題はまだ残る中、政府が次に手にすべきピースは何なのか、注目していきたい。

(フジテレビ政治部 池田百花)

(FNNプライムオンライン12月31日掲載。元記事はこちら

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