ことしは誰が競り落とした? 「一番マグロ」にかける漁師
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東京の台所「豊洲市場」で、初競りが開かれた。
外食産業が新型コロナの影響を大きく受ける中、2021年一番のマグロをめぐる、さまざまな思いを取材した。
きめ細かく「さし」が入り、鮮やかに輝く、青森・大間産、本マグロの大トロ。
切りつけた身をシャリと握れば、濃厚なうまさがとろける、大トロずしの完成。
また、脂と赤身のバランスが絶妙の中トロ。
赤身の握りは、生の本マグロならではのほどよい酸味を味わうことができる。
5日の昼、東京・銀座にある寿司店「銀座おのでら」では、このぜいたくな味わいを堪能する客の姿があった。
客「初競りで落としたマグロなんですけれども」
正真正銘、このマグロこそ、5日朝に豊洲市場の初競りで競り落とされた、「一番マグロ」。
毎年、新年ならではのご祝儀価格がつけられ、2019年は、3億3,360万円の過去最高額を記録した。
2021年の初競りは、コロナ禍での開催となった。
3日、取材班がやってきたのは、マグロの町、青森・大間。
まさにこの時、豊洲の初競りに向け、漁に出る地元漁師たちの姿があった。
漁師・竹内正弘さん「ことしマグロ少ないから、津軽海峡はマグロ少なくて」
2021年は、年末にやってきた年越し寒波の影響で海が荒れ、マグロの水揚げ量が例年より少なくなっている。
さらに、コロナの影響で、初競りの値が例年より下がるのではと、漁師たちも懸念を抱いていた。
初競りに向けて、最後の漁を終えた4日。
豊洲市場に向け、マグロの出荷作業に追われていた。
大間漁協組合・坂三男組合長「業者がどのくらいの値段つけるかわからないが、明るいニュースになってほしい」
そして、初競りの5日。
2021年は、マスクを着用するなど、コロナ対策の中、開かれた。
現場には、毎年のように破格の値段で一番マグロを競り落としてきた、すしざんまい・木村社長の姿も。
注目の中、落とされた一番マグロは...。
姿を現したのは、台から頭がはみ出るほどの巨大なマグロ。
208.4kgの青森・大間産のクロマグロが2,084万円で競り落とされ、2021年の一番マグロとなった。
2020年の1億9,320万円より大幅に下落したが、身をさばけば、鮮やかな赤色をした身がぎっしりと詰まった赤身が。
そんな2021年の一番マグロでいただくのは、シャリが隠れてしまうほどの肉厚な握り。
今回、一番マグロを競り落としたのは、仲卸業者「やま幸」と銀座をはじめ、海外にも店を構える寿司店「銀座おのでら」。
共同で競り落とした。
やま幸グループ会社・山口幸隆代表取締役「ほんとに満足できた初競りだったと。38年やってるんだけども、その中でも最高の競りができたと思います」
銀座おのでら・坂上暁史世界統括総料理長「いいマグロということですので、ちょっと暗いニュースが続いている中、少しでもお客さまに縁起のいいものを、1人でも多く召し上がっていただきたいなと」
店では、5日からランチタイムやディナータイムのコース料理の中で、一番マグロを提供する。
早速、一番マグロを口にしたお客さんは、「すごくおいしかった。今まで食べたことない味でした。トロなんかもう、ほんと溶けちゃうような、ほんとに新鮮で」と話していた。
今回で3度目の一番マグロを釣った漁師となった、青森・大間の田中さんは。
“一番マグロ”を釣った漁師・田中稔さん「まあ値段は仕方ないと思って、ことしはコロナ。まあある程度ことしで一番、ことし一番大きいマグロだったんだよな。やっぱりあの200あったら、脂あってちょうどいいんで」
また2019年に、過去最高額の3億3,360万円で競り落とした、この人は。
“すしざんまい”喜代村・木村社長「あまり派手にやるというのは、ちょっといかがなものかということで、ちょっと自粛しながら、いいマグロを10本用意しましたので。でも一番マグロに匹敵するマグロを、もう十分用意してますから」
コロナ禍で初めて行われた、豊洲市場の初競り。
年が明けても、外食産業がコロナの影響を受ける中、おいしいマグロを食べてもらいたいという、飲食店や漁師たちのマグロにかけるこだわりは変わらない。
(FNNプライムオンライン1月5日掲載。元記事はこちら)
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