運動会も修学旅行も中止で写真不足・・・コロナ禍で注目される「動く卒業アルバム」の新たな価値

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なぜ動く卒業アルバム?

新型コロナウイルスの影響で学校行事が次々と中止になってしまったこの春卒業を迎える小学6年生。

千葉県松戸市の北部小学校では、卒業アルバムの作成に向けてある取り組みが行われていた。新年、体育館で行われた習字の授業の様子を見てみると…


指導する先生の手元には、写真用のカメラではなく動画を撮影するビデオカメラが…


松戸市北部小学校・大久保美沙先生
卒業アルバム用の動画を撮影していました…

卒業アルバムなのに動画?一体どういうことなのか?

実はコロナ禍で運動会や修学旅行などといった学校行事が相次いで中止となり、3月に卒業する6年生は卒業アルバム用の写真が足りない状態に…


そこで、導入を決めたのが動画が見られる卒業アルバム。先生が撮影していた日常の授業の動画はどのようにして卒業アルバムで見られるのだろうか?

卒業アルバムにスマホをかざすと…

去年に作られた他の小学校の「動く卒業アルバム」を見せてもらうと…


一見、普通の卒業アルバムと変わりないように見えるが、例えば運動会の写真にスマートフォンをかざしてみると、スマホの中で写真の組体操のシーンが動画となって動き出した。


これは、AR(拡張現実)技術を活用した「卒ARu」というサービス。


アルバムに印刷された写真を「卒ARu」のアプリ上で画像認識すると、スマートフォンに動画が流れる仕組みになっている。



動画を見るには、学校ごとのIDが必要なため、画像の誤認識を防いでいる。


この春卒業する6年生の児童たちは・・・

小学6年生の女子児童:
いろんなことがあって、学校になかなか来られなくて、修学旅行とかもなくなっちゃったけど、動画として思い出を味わえるのがすごくうれしいです…


小学6年生の男子児童:
(撮影されてどうでしたか?)僕は放送委員だから緊張はしなかったけど、(習字の)作品を映せて思い出に残って良かったなと思います。動画じゃないと伝わらないものがあると思うので、僕はすごくいいなと思いました

学校行事が中止になる中でも、これまでとは違った形の卒業アルバムを楽しみにしていた。

松戸市北部小学校・大久保美沙先生:
この状況の中で、できないことが増えていると思うんですけど、できない中でも、子どもたちはいろんなことを考えて学校生活では笑顔でいるので、その笑顔の瞬間を残してあげたいなというのが一番の思いです


この動く卒業アルバム。将来的にも価値があるサービスだという。

株式会社Ms・武田政揮代表取締役:
いま見て、動いてすごいというのもいいんですけど、5年後、10年後、自分が何か社会で悩んだときに、恩師の言葉や友達との思い出を振り返って、何か頑張れる源になっていただければと思っています。先生のメッセージは、大人になってから初めてわかる大事な部分がいっぱいあるので、その点を動画で伝えられたならなあと思っています


スマホ普及で既存技術に再チャンス

三田友梨佳キャスター:
経営コンサルタントで経営戦略やマーケティングに詳しいStrategy Partners代表の西口一希さんに聞きます。「動く卒業アルバム」のサービス、どうご覧になりますか?

Strategy Partners代表・西口一希さん:
コロナの影響でかなり生活に制限がかかった生徒さんにとって、昔ながらの写真だけでなく動画も残すというのは素晴らしいサービスだと思います。今回、コロナがきっかけということでしたが、技術的にはこのサービスはそんなに新しいものではなくて、昔からあるものなんですね。むしろスマホの普及率がこのサービスを支えるようになってきたと考えています


三田友梨佳キャスター:
スマートフォンの普及ですか?

Strategy Partners代表・西口一希さん:
これは、動画をQRコードではなくて、写真やポスターから直接読み取るサービスですが、登場は2011年、10年前なんです。それ以来、サービスが拡充してきましたが、当時のスマートフォンの普及率は20%程度でした。結局スマホを使う人が少なかったのでなかなか普及しなかったのが、今年は80%を超えているといった状況でかなり広がってきたと考えています

三田友梨佳キャスター:
確かにこの10年でスマホは一気に浸透しましたよね?

Strategy Partners代表・西口一希さん:
そうですね。AR技術だけでなくて、最近急激に流行しているクラブハウスという音声版SNSも実はこれも新しい技術ではなくて、2011年に日本で誕生していたんです。ボイスリンクといったサービスで、世界初の音声のSNSということで登場しましたが、やはりスマホの浸透率がまだ低かったということで、なかなか広まらずにサービスは途中で停止してしまいました。今から思うと少々早かったのかなと思います

クラブハウス
クラブハウス

三田友梨佳キャスター:
10年前にそういった技術が日本で誕生していたというのは驚きですね?

Strategy Partners代表・西口一希さん:
そうですね。特に2010年代前半は、スマホの浸透率も上がってきた時代ですが、様々な技術やサービスがかなり世の中に出ています。ただ、鳴かず飛ばずで終わっていた技術もありますが、今の80%の普及率を前提にまた考え直すと、新しい今回のようなチャンスが生まれてくるんじゃないかなと考えます

三田友梨佳キャスター:
すでにあるものをもう一度見直すことも大切なのかもしれませんね。「動く卒アル」とても素敵ですし、何よりも先生方の大切な思い出をどうにか形に残してあげたいという思いこそ、児童の皆さんの一生の宝物になると思います

(「Live News α」 2月11日放送分)

(FNNプライムオンライン2月12日掲載。元記事はこちら

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