避難所のコロナ対策 段ボールベッドの“防ウイルス”効果 「10年」あの日から
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東日本大震災の発生から、まもなく10年。
「Live News days」では、「『10年』あの日から」と題して、震災を検証していきます。
第1回の18日は、「コロナ禍での震災」。
東日本大震災では、死者は1万5,000人を超え、今も2,500人以上が行方不明。
また、多くの人が避難生活を強いられた。
そして先週、再び東北を襲った地震。
避難所には、仕切りの高いテントが並んだ。
避難所での感染リスクと対策を考える。
2020年7月の「令和2年7月豪雨」。
新型コロナウイルスの脅威にさらされた、初めての大きな災害。
熊本・人吉市の避難所では、当初、高さ75cmの卓球用のパーティションで仕切りを作り、避難した人たちは、柔道用の畳の上で過ごしていた。
このような仕切りを作った場合の感染防止には、どのような効果があるのか。
実際に避難所として使われる体育館をモデルに、シミュレーションしてみる。
300人以上が入る体育館の家族の間に、高さ75cmのパーティションを置く。
パーティション同士の間に5cm、床との隙間が2cm空いている場合、パーティションから少し離れたところを2人が歩くと、通り過ぎたあとから、ウイルスを表す粒子が、ほこりと一緒に舞い上がり、パーティションの隙間や上から、寝ている人のスペースへ侵入していく。
避難者が、飛沫(ひまつ)を直接浴びるのを防ぐことに対しては、一定の効果があるが、床から舞い上がる目に見えないウイルスは防ぎきれない。
2020年7月の熊本の避難所。
開設から、およそ1週間後、景色が一変。
段ボールベッドがずらりと並んだ。
生活が床から高さのあるベッドに変わると、どのような効果があるのか。
避難所・避難生活学会の水谷嘉浩理事は、「ベッド(の高さ)が35cmあると、ほこりの吸引が一気になくなって、せきが止まる。環境を整えることで、感染症に対しても有効である」と話した。
では、35cmの高さの段ボールベッドを入れた場合の感染防止効果を検証してみる。
よく見ると、高さがあるベッドでは、ウイルスが顔の周辺まであまり届いていないことがわかる。
床から35cm、この段ボールベッドの高さによって、ウイルスを吸い込むリスクを低減することができる。
この段ボールベッド、誕生のきっかけは、10年前の東日本大震災だった。
当時、避難所の環境は整っておらず、体調を崩す人が相次いだ。
その報道を見た、段ボール製造会社の社長でもある水谷さんが、段ボールベッドを考案した。
避難所・避難生活学会の水谷理事「避難所で人が亡くなることに疑問を感じた」
水谷さんによると、ベッドを導入すると、暖かさを保てるほか、床の掃除がしやすくなり、これも感染対策につながるのだという。
ただ、日本でようやく認知され始めた段ボールベッド。
課題の1つが、設営に必要な人手と運営の仕組み。
実際に組み立ててみると、1つ組み立てるのにかかった時間は、7分。
限られた人数で、たくさんのベッドを組み立て、避難所にスムーズに導入するのは簡単ではない。
避難所・避難生活学会の水谷理事「日本から雑魚寝は一刻も早くなくしたい。バラバラに市町村がやるのではなく、国で標準化をすることが非常に重要かなと思う」
(FNNプライムオンライン2月18日掲載。元記事はこちら)
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