あちこちにひな人形 町おこしへ 職人技“世界に一つ”に再生
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3月3日は「ひな祭り」。
すでに「ひな人形」を飾っている家庭も多いのではないだろうか。
埼玉・所沢市では、タンスに眠っていた思い出の品からひな人形を仕立てる作業がピークを迎えている。
その職人技に迫った。
お茶の葉を入れる箱の上に飾られたのは、ひな人形。
青果店では、冷蔵庫の中に、ひな人形。
ほかの商品と一緒に並べられている、ひな人形も。
ユニークな、ひな飾りが見られる埼玉・所沢市。
江戸時代から人形作りが盛んなこの町では、町おこしのイベントとして、あちこちの商店にひな人形を飾り、行き交う人の目を楽しませている。
天皇皇后両陛下のご成婚を記念した手作りの人形。
江戸時代後期の、貴重なひな人形もあった。
来場者「かわいい」、「こんなご時世というのもあるんですけど、すごく癒やされる」
2020年は、感染症の影響で一時中止となったが、2021年は対策を十分にしたうえで、イベントを復活した。
野老澤町造商店店長・榊原美和さん「ぜひ『密』にならずに、ゆっくりお越しいただければと思います」
このひな人形の里で、長年、人形作りに情熱を傾ける小寺香さん(69)。
県の伝統工芸士である小寺さんは、通常のひな人形を製作するかたわら、依頼主から預かった思い出の詰まった着物を、世界でただ1つのひな人形に再生させる技の持ち主。
小寺さんの作品では、思い出の着物の帯が、ひな人形の着物にリメイクされているのがわかる。
その工程はまず、預かった着物から、ひな人形用に利用する柄を切り出すことから始まる。
小寺香さん「お持ちになる帯が、すべて柄も色も違いますから、どうやって生かしたらきれいに取れるか、それを考える時間が楽しいし、一番つらい時間」
こうして切り出された布を、妻の広子さんがミシンで縫い合わせる。
襟や裾などに分かれた、ひな人形の着物。
これを人形の胴体に着せていく。
小寺香さん「ちょっとの差なんだけど、どこに一番ポイントを持っていくか。これなんかの場合は、この線が一番目立っちゃうでしょ。(柄を)この線で合わせれば」
例えば、蝶の柄もつながっているように見えるのが、小寺さんの技。
そして、頭をつけると、思いの詰まった着物で作られた、ひな人形が完成。
2代目の人形職人として、半世紀以上、作り続けてきた小寺さん。
しかし、小寺さんの技を受け継ぐ人はいない。
小寺香さん「わたしの代で終わりになるけど、技術をすべてつぎ込んでいいものを届けたい」
依頼主が喜ぶ作品を元気なうちは作り続けたいと、きょうも小寺さんは、ひな人形作りを続ける。
(FNNプライムオンライン2月20日掲載。元記事はこちら)
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