常温保存できる「紙パック豆腐」が国内初の店頭販売へ…なぜなかった?味は?メーカーに聞いた

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常温で120日間保存できる「紙パック豆腐」

冷蔵で保存するイメージの豆腐だが、さとの雪食品(徳島県)が5月1日から、常温で120日間保存可能な「ずっとおいしい豆腐」を全国の食品スーパーなどで発売する。

紙パック入りで価格は171円(税込)。同社によると国内の量販店で豆腐が常温の状態で流通するのは初めてとのことだ。

ずっとおいしい豆腐(提供:さとの雪豆腐)
ずっとおいしい豆腐(提供:さとの雪豆腐)

これまで豆腐は、スーパーなどでは冷蔵コーナーに並ぶのが当たり前だった。家では、冷蔵庫に入れていたことだろう。

それがなぜ「ずっとおいしい豆腐」では、“常温保存”が可能なのだろうか? また、どのような需要を見込んでいるのか?

さとの雪食品の担当者に話を聞いた。

法律上の販売解禁は2018年9月

――常温保存の豆腐の販売が解禁されたのはいつ?

2018年7月に厚生労働省が豆腐の規格基準を改正、2018年9月には消費者庁が豆腐の表示基準を改正し、国内で豆腐の常温流通・販売が可能となりました。


――解禁されたのはなぜ?

海外ではすでに常温販売されており、食中毒の事故はございません。東日本大震災にて、特例で無菌充てん豆腐が常温で配布された実績があります。常温保存での安全性を証明するデータを揃え、流通への解禁につながりました。


――それまで解禁されていなかったのはなぜ?

製造・流通時における衛生面の課題があったため、1974年に規格基準が制定されました。技術の進歩に伴い、無菌充てん豆腐が製造・海外流通されるようになりましたが、メーカーも少なく、国への提言に踏み込めずにいたというのが理由です。

常温で120日間保存可能な理由

――「ずっとおいしい豆腐」。常温で120日間保存可能なのはなぜ?

主に3つの理由があります。

<1>無菌充てん技術
豆乳と紙容器を別々に殺菌し、無菌環境で、豆乳とにがりを入れて密封する、無菌充てん技術を採用しました。従来の豆腐は、製品中に菌が存在するため、常温保存すると細菌が増殖して腐敗してしまいます。

一方、無菌充てん豆腐は製品中に菌が存在しないため、常温で保存しても腐敗しません。

無菌充てん技術(提供:さとの雪食品)
無菌充てん技術(提供:さとの雪食品)

<2>豆乳無菌化技術
大豆由来の耐熱性菌や高温細菌の存在が、豆腐を常温流通させる上で障壁となっていました。さとの雪食品では、食品製造で培った技術を活かして、豆腐作りに最適かつ、これらの菌を死滅させる殺菌条件を導き出し、豆乳の無菌化に成功しました。

豆乳無菌化技術(提供:さとの雪食品)
豆乳無菌化技術(提供:さとの雪食品)

<3>特殊紙容器
紙、ポリエチレン、アルミ箔を5層に重ねた特殊な紙包材を開発。豆腐の風味を損なう原因である、「酸素」と「光」をブロックして、豆腐のおいしさを守っています。

特殊紙容器(提供:さとの雪食品)
特殊紙容器(提供:さとの雪食品)

固形分の高い濃厚な豆乳を使用

――常温保存できる豆腐を作る難しさを、もう少し詳しく教えて

常温で長期間、保存するためには、製品および製品の接触面を無菌化することがポイントになります。例えば、レトルトカレーや缶詰などをイメージしていただくと良いかもしれません。それらは密封後に高温で加熱し、殺菌することで、無菌性を実現しております。

通常の豆腐の製造工程では、豆乳に残る大豆由来の菌に加え、どうしてもオープンスペースを通過するため、容器や豆腐への落下菌(=浮遊する菌)の付着も避けられません。

この問題を解決するため、無菌充てん豆腐は特殊な設備を使用しています。無菌空間の中で、無菌処理した容器(特殊紙容器)へ、無菌化した豆乳とにがりを充てんし、密封されます。このため、中身が無菌です。

この後、ボイル加熱されて、容器の中で豆乳が固まり、豆腐となります。


――冷蔵保存の豆腐と比べると、豆腐自体に違いはある?

豆乳をにがりで固めているという点では、違いはございません。ただし、「ずっとおいしい豆腐」は固形分の高い濃厚な豆乳を使用しているため、大豆の甘み・風味をしっかりと感じられます。

固形分の高い濃厚な豆乳を使用(提供:さとの雪食品)
固形分の高い濃厚な豆乳を使用(提供:さとの雪食品)

まとめ買いやローリングストックに役立つ

――5月1日に発売されたら、どこで買える?

全国の量販店、さとの雪食品オンラインストアにて購入可能です。


――171円(税込)という価格は、さとの雪食品さんが製造している豆腐の中では高い方?

価格は比較的高いです。大きな要因は、無菌充てん豆腐を製品化するための設備や紙容器のコストです。


――常温保存が可能ということは、スーパーで置かれる場所は冷蔵保存の豆腐とは異なるの?

流通の判断によって、従来の豆腐売場(冷蔵)に置かれる場合もありますが、当社は常温売場での販売も積極的に提案しております。例えば、レトルトの麻婆豆腐や鍋つゆとの関連販売などです。

常温保存可能という特長を生かし、ドラッグストアやホームセンターといった、食品スーパー以外のチャネル(=集客するための媒体や経路)でも、展開を考えております。


――最後に、どのような需要を見込んでいる?

まとめ買いやローリングストック(お買い物に行けない時の家庭内備蓄食材)、買い物難民の方などのお役に立てると考えております。また、アウトドアや行楽・旅行など、今までにない“食シーン”が創出できると考えます。

こんなときに便利(提供:さとの雪食品)
こんなときに便利(提供:さとの雪食品)

コロナ禍で、できるだけ外出を避けるため、食品を一度にまとめ買いをする人が増えていることだろう。冷蔵保存の豆腐は賞味期間が短いことから、これまでまとめ買いに向かない食品だったが、常温で長期保存可能な「ずっとおいしい豆腐」であれば、これが可能となる。

豆腐は冷奴や味噌汁の具材など、日本の食卓に並ぶことが多い。気になる方は一度、手に取ってみてはいかがだろうか。

(FNNプライムオンライン4月25日掲載。元記事はこちら

https://www.fnn.jp/

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