「3位決定戦勝ちたい!」ゴールボール20歳萩原紀佳選手の武器は”針の穴を通すスローイング”

スポーツ 東京2020

視覚障害を持つ選手たちが、鈴の入ったボールの音を頼りに得点を奪い合う競技
「ゴールボール」 今大会最も注目されている日本選手は、準々決勝でチームの全得点である
4ゴールをあげた最年少20歳の萩原紀佳(はぎわら・のりか)選手。

萩原選手は網膜芽細胞腫で右目は見えず、左目は文字が少し読めるほどの視力。競技を始めたのは2017年。メキメキ頭角を現し初の代表入りを果たした。攻撃型選手である彼女がその特徴をいかんなく発揮している大会となっている。

2日に行われた準決勝でも獅子奮迅の活躍を見せた萩原選手。相手は前回のリオ大会で金メダルを獲得したトルコ。予選リーグで1-7と完敗した強豪トルコが準々決勝の相手に決まると
『予選の初戦ですごくボコボコにやられた相手なのでリベンジしたい。勝って決勝の舞台に立ちたい』と語っていた。

試合は序盤から一進一退を繰り返す。苦しい展開の中で迎えた後半。
それでも、厳しい状況を萩原選手が打破する。得意とするのは相手が反応しにくい“鈴の音がほとんど鳴らない”スローイング。ボールに回転をかけたり、バウンドさせたりする選手が多い中、現場で感じたのは、彼女のボールが静かに、それでも確実に、相手ゴールに突き刺さる感覚だった。まるで針に穴を通すように、相手ディフェンスの間を抜き幾度となくトルコのゴールネットを揺らした。 

強豪との大一番は、終盤まで激しい競り合いが続く展開となった。後半、萩原選手がこの日5点目となるペナルティスローを確実に決め5-6と1点差につめよると、この日1番のガッツポーズを見せ、会場を沸かせた。

ディフェンスする日本チーム 左が萩原紀佳選手
ディフェンスする日本チーム 左が萩原紀佳選手

攻撃型の選手である萩原はでディフェンスでも意地を見せ、猛烈な勢いでスライディングし、
カバーに入る場面もあった。止めることはできずとも、“絶対に諦めない”という思いのこもった、気迫のディフェンスだった。しかしながら結果は5-8で敗れた。
萩原選手は準々決勝と同じく日本の全得点を挙げる活躍だった。

『攻撃面では貢献できたかな。ミスをしっかり分析、修正して3位決定戦に勝ってメダルを持って帰りたい』

初出場ながら今大会ここまで日本の全27得点のうち22得点を叩き出し、エースの座を不動のものにした萩原選手の声はすでに次戦に向けられていた。

試合後 涙する萩原紀佳選手(右上)
試合後 涙する萩原紀佳選手(右上)

ゴールボールの試合は静寂の中行われる。

敗れはしたが、準決勝の試合中この静寂を打ち破る監督のひときわ大きな声が会場に響いたのがとても印象的だった。

『メダルとりたいだろ!ここからは気持ちの問題だ!我慢しろ!!』

その言葉に『はい!はい!』と大声で返事する選手たちの声は確かに目標に向けてひとつになっていた。メダルを懸けたブラジルとの3位決定戦は3日行われる。

画像:時事

【フジテレビパラリンピック取材班 村山尊弘】

(FNNプライムオンライン9月3日掲載。元記事はこちら

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