池袋暴走事故 90歳被告 本当に収監される?


記者のイチ押しネタを集めた「取材部ネタプレ」。

月曜日から木曜日まで、毎日4人の記者が、VTRでネタをプレゼンテーション。
そのうち1つを、くわしくお伝えしてきましたが、深掘りできなかった12本の中にも、もっと知りたいネタがありました。

3日は、“ネタプレMORE”として、加藤綾子キャスターが一番気になったネタをお伝えします。

加藤キャスターが選んだ、「90歳でも刑務所に入れられるのか」について、フジテレビ社会部・平松秀敏解説委員がお伝えします。

2年前、東京・池袋で起きた自動車暴走事故の裁判。
きのう、この番組でもお伝えしたとおり、旧通産省幹部の飯塚幸三被告に、禁錮5年の実刑判決が言い渡されました。

気になるのが、飯塚被告の今後です。
特に、控訴するかどうかに注目が集まりますが、実は、飯塚被告は、遺族の松永さんによる被告人質問で、次のように話していました。

松永さん「私は、あなたに刑務所に入ってほしいと思っています。刑務所に入る覚悟はありますか?」
飯塚被告「はい、あります」
松永さん「有罪になったら控訴しますか?」
飯塚被告「わかりませんが、なるべくしないようにしたいと思っております」

裁判でのやりとりを見ると、飯塚被告は控訴せず、5年の実刑判決が確定し、そのまま刑務所に収容される可能性が高いのでは? という気がします。
なお、今後の手続きを整理すると、禁錮5年の判決が確定するのは、判決の翌日から2週間後の今月16日です。
この日までに、控訴すれば、審理は、高裁に移されることになり、裁判は、今後も続けられます。
最高裁まで行くことになれば、あと数年間はかかることになります。
被告本人ではなく、弁護士が控訴することもあります。
一方、控訴せずに、16日に判決が確定した場合、飯塚被告は、近く収監されることになります。

とはいえ、飯塚被告は90歳の高齢ということもあり、本当に刑務所に収監されるのかがちょっと疑問ですよね。
答えは簡単、「90歳でも刑務所に入れられます」
受刑者の状況を調べてみたところ、おととし1年間だと、男性受刑者は、あわせて1万5,746人。
このうち、70歳以上は1,056人で、全体の6.7%。
かなり多い印象です。
高齢化社会にともない、受刑者の高齢化も問題になっています。
70歳以上の細かい内訳はわかりませんでしたが、90代の受刑者もいるとのことです。

では、年齢を理由に、服役をしない可能性はあるのか?
実は、刑事訴訟法には、こういう規定があります。
それが「刑の執行停止」です。
以下の条件の場合は、検察官の判断で、刑の執行停止(=刑務所に入らないこと)もあり得るとのことです。

どういう場合が、それにあたるかというと、「病気など著しく健康を害する時」、「年齢が70歳以上」、「妊娠150日以上」、「出産後60日以内」、「高齢の両親などの介護」、「幼い子どもなどの面倒」などです。

確かに、過去のケースでも、服役中に妊娠が判明したり、病気の手術のために、刑の執行停止が認められたりしたことはありました。

それでは、70歳以上という年齢だけで、刑務所に入らずにすむのでしょうか?
法務省、検察庁を取材したところ、『健康上の問題がないと、年齢だけで刑の執行停止は考えにくい』との意見が多かったです。
飯塚被告は、車いすを利用していて、歩行は困難。
裁判の中でも、「パーキンソン症候群」の疑いがあることが明らかになっています。
「パーキンソン症候群」とは、脳の老化、脳血管障害などの原因で、震えや動作が遅くなるなどの運動障害が起こる症状です。
ただ、パーキンソン症候群の疑いがあるとはいえ、裁判では、しっかりと受け答えはしていました。

そもそも刑務所には、介護が必要な高齢の受刑者も、車いすで移動している受刑者もいます。
余談ですが、刑務所を取材した際に聞いた話ですと、風呂・トイレの介助が必要な高齢の受刑者も少なくないとのことです。

いずれにしろ、飯塚被告は、懲役ではなく、刑務所の中で、刑務作業をしなくてもいい「禁固」が言い渡されていますので、90歳で刑務所に入っても問題ないという見方が強いです。

自分の罪を償いという意味では、服役はやむを得ないと思います。
今後、飯塚被告が控訴するかどうかが注目されます。

(FNNプライムオンライン9月3日掲載。元記事はこちら

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