なぜ? 「占い根絶のための全面闘争」 北朝鮮では「社会秩序を乱す」

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北朝鮮では、社会秩序を乱すとして占いが禁じられているが、最近、北朝鮮当局は、占い根絶のための全面闘争を宣言した。

根絶しようとする背景には、社会にある根深い占いの浸透があった。

FNN記者のイチオシのネタを集めた「ネタプレ」。

30日は、FNNソウル支局・仲村健太郎記者が「北朝鮮の幹部もハマる超高額占い」を伝える。

入手した北朝鮮の内部資料には、人びとを思想精神的に変質・堕落させる迷信行為(=占い)を徹底的になくそうと書かれている。

北朝鮮当局は、この夏から、占い根絶のための全面闘争を宣言した。
こうした文書を使っての思想教育や取り締まりの強化に乗り出した。

そもそも北朝鮮で占いは違法行為となり、内部資料によると、最長で10年の懲役刑が科される。

しかし、占いがなくならないために、今回、全面闘争に乗り出したもよう。

今回、実際に、北朝鮮で15年にわたり占い師をしていた、脱北者のイ・イェジュさんに話を聞いた。

北朝鮮で15年占い師をした脱北者 イ・イェジュさん「(占い師が)監獄に連れていかれるのをたくさん見た。(占いを)間違えると通報される、裏で詐欺を働いてお金を受け取ってると。それがとても怖くて脱北しようと思い、33歳の時に逃げた」

イさんは、生年月日と生まれた時間をもとに占う。

日本で「四柱推命」と呼ばれる占いとよく似ていて、これが北朝鮮でポピュラーなんだそう。

北朝鮮ではほかにも、手相、タロット、霊媒師による占いもある。

ただ、これは違法行為なので、全て占い師の自宅などで占う。

イさんの場合は、占い師だった叔父から譲り受けたという占いの本を使っていたそうだが、その本が当局に見つからないよう、普段から朝鮮半島ならではのある場所に隠していたという。

それが、キムチを漬け込むつぼの中。

占いの本を袋に包んだうえで、キムチの中に紛れ込ませていたということで、それだけ当局の摘発を恐れていたという。

加藤綾子キャスター「そこまでしないといけなかったっていうことなんですね。北朝鮮のお客さんって、どんなことを占ってもらうことが多いんですか?」

占いの内容について、まず、新たに始める商売の相手が信用できるかだったり、結婚に関する相談も多かったそう。

こうした内容は日本の占いでも多いかと思うが、北朝鮮の結婚の占いは、皆さんがこぞって縁起の良い日「吉日」を占ってもらった結果、実に数万人が同じ日の同じ時刻に結婚式を挙げたというエピソードもある。

北朝鮮では厄よけに関する相談も多く、下着とニワトリの足を風呂敷に包んで道端に置けば「拾った人に悪運が移る」というちょっと怖い占いもあったそう。

イさんがストーカー被害に悩む女性から相談を受けたときには、「相手の靴を屋根の上にばらまけば離れていく」とアドバイスしたという。

さらに北朝鮮ならではの内容として、「いつ脱北するのが良いですか?」という、脱北の日程をたずねる命がけの切実な相談もあったそう。

こうした占いへの依存は、一般市民に限ったことではない。

取り締まる側である当局の幹部もハマっていたことがわかった。

イさんをよく訪ねた幹部の奥さんは「夫はいつまで今の役職で働けますか?」、「子どもが不倫したことを隠し通せますか?」といったことを、かなり切迫した様子で聞いてきたそう。

幹部すら粛清されるリスクにさらされているので、占いにすがりつく人も多い。

次に紹介したいのが、占いの料金。

北朝鮮の相場は、2019年時点では、100円~500円程度だったという。

イさんの場合は、現金の代わりにトウモロコシなどの食糧を対価として受け取ることも多かったそうだが、お客さんが幹部になるとまったく異なる。

なんと、最高で約100万円相当の現金を一度で受け取ることもあったという。
幹部の“口止め料”としての意味合いも込めて、これだけ超高額な報酬を支払う。

最後に、禁じられている占いが北朝鮮で浸透している背景。

韓国政府系のシンクタンクは、「北朝鮮は宗教を実質的に禁じているため」と分析している。

1990年代に「苦難の行軍」と呼ばれる大飢饉が発生した際、餓死者が相次ぐなど社会不安が広がったのだが、不安の受け皿となる宗教がなかったために、人びとが占いにすがるようになったという。

もともと禁止されていた占いについて、北朝鮮があらためて全面闘争宣言を出したということは、制裁やコロナによる社会経済情勢が非常に厳しくなっていることの表れであって、社会不安を一掃できない金正恩(キム・ジョンウン)総書記の焦りが透けてみえる。

加藤綾子キャスター「経済が厳しくなってくるとその不安が占いにも流れてくるということなんですかね」

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏「先行きへの不安があるから占ってもらいたいということだと思うんですよ。それが広がっているということは、北朝鮮の社会の中に相当不安が広がっている。占い師が占った通りに行動しようとすれば、リポートにあった通り、同じ日の同じ時刻に結婚式を挙げる。もし占い師が『今の体制を倒した方が幸せになりますよ』なんてことを占ったらどうなっちゃいます?」

加藤綾子キャスター「大変なことになる...」

ジャーナリスト 柳澤秀夫氏「歯止めがかけられない。体制側にしてみれば、社会不安が体制批判につながらないようにっていう、そこの歯止めをかけたいという思いが、浮き彫りになってあぶりだされてきているようにみえますね」

(FNNプライムオンライン9月30日掲載。元記事はこちら

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