廃棄されるクッキーをビールに 大学生が考案した“ロスZEROビール” ビジネス成功の秘訣は

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甘い香りにメッセージ

大学生が会社を興したきっかけは飲食店のアルバイトで知った食品ロスだった。

甘い匂いが漂うビール。
この甘い香りにはあるメッセージが込められていた。


SDGsを推進するコンサルティング会社、ネクストエージがお披露目した新たなビール「ENA cookie malt」。

株式会社ネクストエージ・一柳翠取締役社長:
今日は弊社の新商品である「ENA cookie malt」のビール試飲会ということで集まっていただきました。


試飲に参加した人は・・・

男性:
結構、色濃いですね。僕ビール好きなんですけど美味しく飲めます。

女性:
めちゃくちゃすっきりして爽やかで飲みやすいです。


通常より濃い色にほんのりと甘い香りが特徴的なこのビール。
実はクッキーが使われている。


ネクストエージは、破損などで通常の値段では販売できなかったり、廃棄されるクッキーなどを正規の価格で買い取っている。そして、そのクッキーを細かく砕き、麦芽やホップなどと混ぜることで、糖分が酵母によって分解されアルコールとなり、新しいビールへと生まれ変わっているのだ。


宮本製菓・宮本勝広代表:
いままで廃棄していたものが普通に買っていただける。新しい商品に生まれ変わってそれがまたお客さまの口に入って喜ばれるのであれば、すごくいいことやなと思う。


コンセプトは"ロスZERO"

ビールを醸造する際に出た絞りカスは牧場へ運ばれ仔牛たちへの飼料として生まれ変わり、飲み終わった後もビール瓶を花瓶やディフューザーなどとして使えるように、ラベルにもこだわっている。


考案したのは、大学生で社長を務める一柳翠さん。
きっかけは飲食店のアルバイト経験だった。


株式会社ネクストエージ・一柳翠社長:
自分の手で商品を捨てるという経験をしたときにすごく違和感を覚えて、フードロスという問題が解決に向かうにはもっともっといろんな人に知ってもらうべきだなと思って、みんなが大好きでいろんな人に手に取ってもらいやすいというものを考えたときにクッキーがいいのかなと。

普段その身近にあるビールをきっかけに、食品ロスだったりSDGsというものに関心を持つ人を増やしたい。


ロスZEROビールが運ぶサステイナブルなメッセージ。
クッキーの甘い香りには、 "地球への優しさ"も込められていた。

成功のカギは「大手町×渋谷」

三田友梨佳キャスター:
経済アナリストの馬渕磨理子さんに聞きます。
スタートアップ企業から日本を代表する大企業まで、様々なステージにある企業の取材や分析を行ってきた馬渕さんの目に今回の試みはどう映りましたか?

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
廃棄されるクッキーがビールになるということで非常に面白い取り組みだと思っています。

この事業を手掛けているネクストエージは、ビジネスにおいて難しいと言われているコストダウンとSDGsの両立を実現しています。

この背景には、大学生と経験豊富な大人が役員を務めていることが影響していると思います。
学生ならではの柔軟な発想をしっかりとビジネスの形に落とし込むには、様々な経験から生まれる大人の知識が必要になります。

若者だけで走ってしまうわけでもなく、大人の組織で若者が手足となって働くでもない、 「大手町と渋谷のかけ算」が出来る企業は成長が期待できます。


三田キャスター:
「大手町と渋谷のかけ算」からはどんなことが生まれるのでしょうか?

馬渕磨理子さん:
大手町はビジネスにおける経験と信用の象徴で、一方、渋谷は新しい文化を生み出す若い力を表します。
価値観も強みも異なる組み合わせがビジネスで実現できると、革新性がありながら夢を夢で終わらせない堅実さを全うすることが出来ます。

「大手町と渋谷」が融合している企業が日本の未来をサステイナブルなカタチで牽引すると信じています。

三田キャスター:
社会の課題解決にあたる志のある企業が伸びていくために、何が必要なんでしょうか?

馬渕磨理子さん:
志を支えるお金です。
つまり資金調達が高いハードルになっていて、これをクリアできないと事業は続けられません。

いま、上場していない企業の資金調達規模は拡大傾向にあり、1年あたり5000億円の資金が未上場企業へ流れています。
しかし、投資へのリターンが見込まれる株式公開を控えた企業にばかり資金が集まる傾向があり、今後は創業間もない企業であっても社会的に価値のある事業に資金が振り分けられる必要があります。

三田キャスター:
社会的価値という点においては、今回のようにSDGsの達成度や持続可能性の追求は企業にとって欠かせない課題だと思います。
今回ご紹介したのはビールでしたが、普段口にしているものが実はSDGsだったということになれば社会は大きく変わるのかもしれません。
こうした試みが広がっていくことが期待されます。

(「Live News α」10月20日放送分) 

(FNNプライムオンライン10月21日掲載。元記事はこちら

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