米軍基地が原因とみられる汚染水問題 「命を大切に」母たちの声に呼応する若者 託す一票の行方は

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10月31日に投開票される衆議院選挙に向けて、暮らしの現場から見つめる。
沖縄県で米軍基地が原因とみられる水の汚染問題。やむにやまれず声をあげた母親と、その声をきっかけにこの問題を学び始めた若者たちが、一票に託す想いをお伝えする。

PFAS含む水…胎児や子どもの成長に悪影響

水の安全を求めるママたちの会 仲宗根由美さん:
どうか私たちの声をきいてください


8月末、米軍が人体に有害な有機フッ素化合物「PFAS」を含む汚染水を、公共の下水道に放出した。そのことをうけて、母親のひとりとして仲宗根由美さんは9月2日  沖縄防衛局に直接、声を届けた。


水の安全を求めるママたちの会 仲宗根由美さん: 
普通にお水を飲んだり、何のためらいもなく川や海で遊んだり、心配なく食べ物を食べさせられる…そんな当たり前の状態で、私は子どもを育てたいと思っています

北谷町で3人の子どもを育てる仲宗根由美さんは、2020年自分や子どもたちが飲んできた北谷浄水場から供給される水にPFASが含まれていた事を知った。
必死になって情報をかき集めたところ、その汚染物質が胎児や子どもの成長に悪影響を及ぼすという事実に直面した。


水の安全を求めるママたちの会 仲宗根由美さん:
沖縄防衛局への抗議は初めての事だったので、とても緊張していたんですけれども、全ては子どもたちのためにっていう強い想いで臨みました。抗議は不安が払拭されないまま、終わってしまったという気持ちでした

税金は「幸せな暮らしのために使われるもの」

母親たちの抗議から15日後の9月17日、防衛省は、普天間基地に保管されていた残りの汚染水を日本側で引き取ると発表。投じられる税金は、約9200万円に上る。


水の安全を求めるママたちの会 仲宗根由美さん: 
私たちの税金は、私たちの暮らしをもっと幸せなものにするために使われるものであって、米軍の行った事の後始末をするために使われるものではないと私は思っています


税金の使い道を決める政治家を選ぶのが選挙、今回、仲宗根由美さんが一票に託す想いとは…

水の安全を求めるママたちの会 仲宗根由美さん:
命を大切にする、そういう社会になってほしい。そういう想いを込めて、私の一票を託したいというふうに思っています


母親たちの声に若者が賛同

こうした母親たちの声に賛同し、オンラインでの勉強会を企画した若者たちがいる。沖縄で起きていることを知りたい…その想いを込めて団体名を「習知(ならしゅん)琉球」と名づけて、2020年からの1年で7回のオンライン勉強会を開いてきた。


活動のきっかけは、沖縄市で生まれ育ち、進学のため東京で暮らしていた伊波万里さんが、沖縄から遠く離れた街で名護市辺野古の埋立てに抗議の声をあげる人々の姿を目にした2019年に遡る。


習知琉球 伊波万里さん:
私は見て見ぬふりをしていたんです。基地問題で沖縄の人達が分断されている部分もあるからこそ、私は、県民は賛成とも反対とも言えない状態にあるっていうのがすごく悲しくて


伊波さんは、澱のように溜まった想いをツイッターで発信。それに呼応したのが、東京の大学に通う蓑田道さん。

習知琉球 蓑田道さん:
一緒の市民のはずなのに分断させられてしまって、そういう風な思いにさせてしまっているっていうのは、全然沖縄に向き合ってきていなかったなって


そんな二人が最初に開催したのは、「沖縄観光の視点から見た首里城」と題した勉強会だった。


習知琉球 蓑田道さん:
やっぱり基地問題とか、堅苦しい問題になっちゃうとなかなか入りにくい

水の汚染問題は沖縄だけのものじゃない

二人の想いに共感し、県内外に仲間ができた。2020年に活動をはじめて1年。今回、基地由来とされる水の汚染問題を取り上げた訳は…

習知琉球 蓑田道さん:
全国の問題なのに沖縄の中だけの問題にされてしまっているっていうのが、すごく納得いかなくて。知る事によって本当に大きい石を動かすように、社会を一歩ずつ変えていく力になるのかなって


基地の島・沖縄で生まれ育ち、葛藤を抱えてきた伊波万里さんは将来、母となった自分の姿を思い描き、選挙で一票を投じたいと話す。

習知琉球 伊波万理さん: 
私はこういう想いで、基地の問題について賛成にしたよ、反対にしたよっていう事を意思表示して、誇りを持って子どもに、あなたには必要だと思ったから私は一票を投票したんだよって、子どもに伝えたいなって


社会に横たわる問題と若者の距離を縮めたいと奔走するふたりは、一票に未来を託す。

(沖縄テレビ)

(FNNプライムオンライン10月28日掲載。元記事はこちら

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