米FRB 量的緩和11月から縮小 インフレ加速の懸念から

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アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)は3日、量的金融緩和政策を11月から縮小すると発表した。

FRBは、景気を下支えするために国債と住宅ローン関連の証券をあわせて毎月1,200億ドル、日本円で14兆円規模を買い入れ、市場に大量の資金を供給してきたが、11月から徐々に減らしていくと発表した。

ポスト・コロナで経済活動が再開し需要が急増する一方で、世界的な供給網の混乱による品不足などで物価が上昇していて、景気刺激策の「量的緩和」を継続すればインフレが加速するとの懸念が高まっていた。

コロナ対策で異例の金融緩和を始めた2020年3月からおよそ1年8カ月を経て、アメリカの金融政策は大きな節目を迎えた。

このニュースについて、経済アナリストの馬渕磨理子氏に聞く。

三田友梨佳キャスター「市場の分析にくわしい馬渕さんはこのニュースどうご覧になりますか?」

馬渕氏「テーパリングと呼ばれる量的緩和の縮小というと、金融の緩和を急に終わらせてしまうことなのかと心配の声を聞きますが、そうではないです。FRBはアメリカの国債など資産を購入し、市場に出回るお金を増やして景気を下支えすることは継続されます。ただ、これまでよりも購入する金額を少なくするということです」

三田キャスター「今回のテーパリング、量的緩和の縮小は金融の正常化に向けてということですが、今の状態は正常ではないということでしょうか?」

馬渕氏「おっしゃる通りで、景気対策とはいえ、さすがに無限に使えるお金があるわけではありません。仮に大規模な金融緩和を行っていた状態を異常な酔っぱらい状態だとして考えてみましょう。毎月浴びるほどお酒を飲んでいれば体にいいわけがありませんよね。そこで、FRBというドクターはテーパリングという月ごとに飲むお酒の量を段階的に減らす判断をしました。少しずつ酔いを醒ましていき、健康的な体、つまり通常の経済に戻していくということです」

三田キャスター「徐々にということなんですね。景気を下支えしてきたもう1つの主役であるゼロ金利についてはいかがですか?」

馬渕氏「こちらについては、景気が悪くなると金利を下げる緩和というアクセルを踏みます。そして、景気が過熱すれば金利を引き上げる、引き締めというブレーキを踏むわけです。アメリカではワクチン接種が普及していて、これまで抑えられていた消費が盛り上がっています。その結果、食料品や住宅の値上がりにアメリカ国民の雇用の回復や賃上げが追いついていないんです。つまり、インフレという悪い病気が心配されています。ここでもアメリカ経済の主治医であるFRBの判断が問われてきます。つまり、アメリカ経済を健康な状態に戻すための利上げという薬をどのタイミングで、どれだけ引き上げていくのか頭を悩ませている状態なんですね。ここで参考になるのが、リーマンショック後の反省なんです」

三田キャスター「リーマンショック後ではどんな反省があったんでしょうか?」

馬渕氏「リーマンショック後のアメリカでは、経済再生のため現在と同じゼロ金利が行われていましたが、当時のFRBのバーナンキ議長は、市場の想定よりも早く緩和の縮小を示したため、マーケットが混乱するバーナンキ・ショックが起きました。こうした過去の教訓から、FRBは市場との対話を重視していて、急速な金融引き締めを今、否定していますので、今のところ、アメリカに加え日本でも市場に安心感が広がっています」

三田キャスター「アメリカの金融政策は転換の節目を迎えることになりましたが、景気の悪化や市場の動揺を起こさずに正常化を進めることができるのか、そして日本の円安の行方も注目されます」

(FNNプライムオンライン11月4日掲載。元記事はこちら

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