高級食材「トラフグ」を北海道の"山あい"で養殖…温泉活用して温度管理 町おこしへ高まる期待
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これから旬の時期を迎える高級魚フグ。そのトラフグが北海道の、それも山あいの地区で養殖されている。
一体なぜなのか。マチの新たな挑戦に迫った。
コリコリとした食感が醍醐味の「ふぐ刺し」。ぷりっぷりの身がたまらない「ふぐちり」。冬の代表的な味覚だ。
このトラフグが養殖されているのは海ではなく、北海道内陸部の北見市の水槽の中だ。
夢風泉 工藤 平史 社長:
だいぶ大きくなってきましたね
養殖に使われているのは、なんと温泉。温泉育ちのトラフグが誕生したワケとは?
温泉を有効活用して北海道で「トラフグ養殖」
高級魚トラフグが養殖されているのは、北見市の奥座敷と呼ばれる温根湯(おんねゆ)温泉の日帰り温泉施設の一画だ。
夢風泉 工藤 平史 社長:
豊富な温泉が余剰資源になっていた。それを有効活用しようと、トラフグの養殖を始めた
フグが泳ぐ水槽には、温泉水に人工の海水を混ぜて循環させている。
なぜ温泉を利用しているのだろうか?
夢風泉 工藤 平史 社長:
フグの養殖に適している水温は20℃前後。温泉の熱を使って水温を一定にできれば、暖房費を削減し資源の活用ができる
このあたりは、冬はマイナス20℃を下回ることも。温泉を利用して温度管理を行うことで寒冷地の、それも陸上でのフグの養殖が可能となった。
2021年5月に稚魚を水槽へ放流。当初25gほどだったが、すでに400gを超えている。
夢風泉 工藤 平史 社長:
出荷時は約1kgになる。成長が半分ほど進んだ段階
障害のある人の就労支援の場としても活用されていて、週に1度エサを与えたり、水槽の清掃をしたりしている。
就労支援の利用者:
愛着がわいてくる。何回か通っていると成長が見られて、大きくなったなというのがわかる
養殖を始めたのには、温泉の活用のほかにもう一つ理由があった。
「町おこし」にも高まる期待
温根湯温泉がある留辺蘂(るべしべ)地区は、北見市と合併する前の1960年には約2万人の住民がいたが、現在は5500人ほど。
地区唯一の高校は2023年度に生徒募集を停止するなど、過疎化が進んでいる。
留辺蘂地区の住民:
少しでも企業ができて勤め先が増えて、人口が戻ってくればいいなという希望はあります
さらに、コロナ禍で温根湯温泉を訪れる観光客が激減。苦境が続くなか、何とか「町おこし」をとトラフグの養殖を取り入れたのだ。
モデルケースとなったのは、海に面していない栃木県の那珂川町だ。約10年前から温泉を利用した養殖を始めた。
那珂川町 企画財政課 露久保 一さん:
那珂川町の2020年度のふるさと納税額は約4000万円。約7割の返礼品が『温泉トラフグ』に関連したもの。那珂川町の活性化の一翼を担っている
北見市の温根湯温泉でのトラフグ養殖は、2022年の夏ごろに初出荷を予定している。
夢風泉 工藤 平史 社長:
地元の温泉旅館や飲食店、札幌市や東京などの大消費地にも、地域資源のサンプルとして活用できたらと思っている
雇用を創出したり、ふるさと納税の返礼品にしたりして、地域の活性化につなげていく考えだ。山あいの温泉地で始まった新たな挑戦に注目だ。
(北海道文化放送)
(FNNプライムオンライン12月20日掲載。元記事はこちら)
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