「壊れたお化け屋敷」築90年の旧郵便局舎 レトロな雰囲気のカフェに改修 子どもたちも集う場所に【福井発】

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福井・小浜市に3月、空き家を改修したカフェがオープンした。レトロな雰囲気が魅力だが、実はこの建物は「旧郵便局舎」を改修したもの。
曽祖父から受け継いだ局舎をカフェに改修した女性店主の思いを取材した。

小浜市中名田地区に3月9日、コミュニティーカフェ「金四郎」がオープンした。

郵便局舎を改修したカフェ「金四郎」
郵便局舎を改修したカフェ「金四郎」

もともとこの建物は、1936年(昭和11年)ごろに郵便局舎として建てられた。
外観をよく見ると、屋根瓦には郵便マーク、壁には夜間受付の窓口など、今も郵便局舎の面影を残している。

各所に見られる郵便局舎の名残
各所に見られる郵便局舎の名残

客の1人は、「みんなが集まれる場所を作ってくれてうれしい」と話す。

店主の吉村順子さん(40)は、「見た目ボロボロだったけど、レトロでかわいい。きれいによみがえったら魅力的になると思った」と話す。

多くの人に助けられ…旧郵便局舎をカフェに改修

吉村さんは、中名田地区で生まれ育った。2016年に父親が亡くなり、かつて曽祖父が郵便局長を務めていた局舎を受け継いだ。


ひいおじいちゃんの郵便局を何とか残したい…
吉村さんは、築約90年の古い局舎を令和の時代に新しく生まれ変わらせることを決意した。
「金四郎」という店名は、吉村さんの実家の屋号だ。

吉村順子さん:
私が生まれた時には、すでに郵便局の働きは終えていた。元郵便局と知らず、祖父母の離れだと思っていた。でも小さい時から、「周辺にはない、かわいい建物だな」と愛着を持っていた


建物を受け継いだ当時は、老朽化が激しく、改修は大がかりなものとなった。
改修費は約2,000万円。足りない分の300万円余りは、クラウドファンディングで支援金を募った。天井の解体などは、業者に頼らず、家族や知り合いの力を借りた。

改修費はクラウドファンディングも活用
改修費はクラウドファンディングも活用

吉村順子さん:
いろんな人に助けてもらい、こういうかたちになった。「直してくれてありがとう」と多くの人からの声をもらって、地域の人にとっても大事に思っていてくれた建物だと分かってうれしい

「お化け屋敷」と呼ばれた建物が…子供の評判も上々

吉村さんは、県外の大学卒業後、地元の高校で非常勤講師を務めていた。


地元で働く中、旧郵便局舎近くを通学路として歩く子供たちが、「壊れたお化け屋敷」と呼んでいることを知った。
吉村さんは、「子供たちに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになった」という。


改修したカフェには、子供たちが集まりやすいよう駄菓子を並べ、2階には自由に過ごせるスペースを設けた。

「和の雰囲気で落ち着く」と評判のスペース
「和の雰囲気で落ち着く」と評判のスペース

集まってくる子供たちからは、「来るのは2回目。和の雰囲気で落ち着く」と評判も上々だ。お化け屋敷と呼ぶ子供はもういない。

吉村順子さん:
いろんな人の力でよみがえった建物が、多くの人にとって大切な建物になってほしい。住んでいる人が、前よりちょっと楽しい、ここに住んでいて良かったなと思えるしくみを作りたい


オープンしたばかりで、まだ慣れない吉村さんを支えるのは家族だ。週末には、娘のはなさん(16)が率先して手伝う。
はなさんは、忙しそうに働く母親を見て「ちゃんとここまでやるパワーがすごいなと思う」と話す。

吉村さんを支える娘のはなさん
吉村さんを支える娘のはなさん

吉村さんが目指すのは、「金四郎テーマパーク」だ。
改修したカフェ周辺には、吉村さんが受け継いだ古い母屋など、まだ数棟が手つかずで残っている。そして、すでにこれらの建物も改修を始めている。


完成後は地域の人たちに開放し、店や交流スペースに生まれ変わらせてもらいたいとの構想を描いている。
吉村さんは「体が動く60歳くらいまでには何とか形にしたい」と、未来に向けて歩みを進めている。

曽祖父の時代から家族4代にわたって受け継がれてきた旧郵便局舎。


見た目も役割も変わったが、この建物には今再び、大勢の人が集い始めている。

(福井テレビ)

(FNNプライムオンライン4月23日掲載。元記事はこちら

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