「高齢で避難あきらめた」…44階建てタワマン火災で400人避難 火災対策は?日頃から「二方向避難」の確認を

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東京・品川区にある44階建てのタワーマンションで6月13日早朝、火災が発生。住人の証言から、タワマンならではの避難の難しさが明らかになりました。

「あまり経験しないから怖い」44階建てのタワマン火災


13日午前5時ごろ、東京・品川区の広場に集まった、多くの人たち。そして、多くの消防車も。


火災があった品川区東五反田のタワーマンションは44階建てで、外から見ると、火災があった18階部分のベランダが黒くすすけています。マンションには約700世帯が住んでいて、400人近くの住人が外に避難しました。
住人に話を聞くと、「あんまり経験しないから怖いですね」「もう少し煙とか出ていたら、避難ルートがなかった」の声が…。



このマンションがあるのは、JR五反田駅から徒歩数分。マンションの下の階にはクリニックやスーパーなどが入っており、利便性が高いことが分かります


また、JR山手線の五反田駅と、開発が進む大崎駅の中間に位置。新幹線などが停車する品川駅へのアクセスも便利な場所にあります。

地元の不動産業者は、このマンションについて…


地元の不動産会社:
1LDKから3LDK。20万から高いところだと家賃40~50万円する物件。買うともう、1億2000~3000万円ぐらいが平均じゃないですかね。たぶん五反田の中では一番高いんじゃないかなと思います

「高齢で避難諦めた…」高層階の住人は火元の下の階まで階段で

火は1時間半ほどで消し止められましたが、火元に住む30代の女性など、男女4人が煙を吸うなどして病院に搬送されました。

44階建ての高層住宅からの避難。果たしてスムーズに行われたのでしょうか。マンションの外に避難した39階の住人は…

39階に住む人:
自動のアラームが鳴るので、それが鳴り響いていて、目が覚めたって感じですね


Q.エレベーターは動いていた?
その時は動いてなかったですね。火事のある階(18階)の1個下の階まで階段で下りて、17階からエレベーターで降りたっていう感じですね。階段で下りる時に、その現場の階に近づくにつれ、ちょっと臭いがしてきたんで、これは怖いなというふうに思いました

火元となった18階より上の階の住人は、17階まで階段で下りて、そこからエレベーターで下に降りたといいます。30階に住んでいるという70代の女性は、階段での避難について…


30階に住む人(70代):
今まで30階は景色がいいなと思っていましたけど、年寄りには高層階はきついなって初めて思いました

そして、高層階に住む高齢者の中には、火事だと知りながら避難しなかった人もいました。


39階に住む人:
廊下にまで、煙の臭いが来ていましたが、年をとっているし、犬も飼っているので、避難をあきらめました

また、こんな証言も…


24階に住む人:
一応避難しました。階段に密集するとかえって危ないと思いましたが、そこまで避難している人はいませんでした

避難の呼びかけから数分で「安全が確保された」とアナウンスがあったということで、避難しなかった人も多かったようです。

火元はベランダ…電子レンジや室外機が燃える

警視庁によると、出火した18階の部屋のベランダには、エアコンの室外機が2台あり、その間にコンセントに繋がれていない電子レンジが置かれていました。


この電子レンジと、室外機2台のほか、ベランダの柵に立てかけられた折りたたみ自転車が燃えたということです。

今回の火災について、元東京消防庁・麻布消防署長の坂口隆夫さんに話を聞きました。


元東京消防庁 麻布消防署長・坂口隆夫 氏:
出火場所がベランダと言われていますよね。ですから、部屋の中の火災と違って、激しく炎が吹き出ているような印象はなかったですね。部屋の中は燃えるものがたくさんありますから、可燃物に延焼拡大していく。ベランダの場合には、ベランダに置いてあるものだけが燃えてしまえば、部屋の中まで火が入らなければ、そんなに大きな火災になるということはないわけです

ベランダにはスプリンクラーの設置義務なし 今後の課題は?

今回大きな被害は出ませんでしたが、タワーマンションの火災対策はどうなっているのでしょうか。


まず、高層マンションでの火災はどのくらい起きているのか。2020年度の東京都のデータを見ると、高層マンション(高さ10階以上)で起きた火災は195件、うち、11階以上から出火が61件と、少なくない印象です。主な出火原因として、ガスコンロ、放火、たばこ、電気ストーブなどが挙げられています。

一方で、タワーマンションは火災対策もしっかりしているといいます。具体的に見てみると、11階建て以上のマンションでは、火災が発生した時に自動的に水をまいて消火するスプリンクラーや、非常用エレベーターの設置が義務付けられています。さらに15階建て以上のマンションでは、特別避難階段(=排煙設備や防火扉などを備え、火災が起きた際にも煙が入らない安全な階段のこと)の設置が義務づけられています。

ではなぜ今回は、スプリンクラーがついているはずの18階で、スプリンクラーが作動しなかったのでしょうか。
その理由は、今回の出火場所がベランダだということ。ベランダにはスプリンクラーの設置義務はありません。なぜ、ベランダにはスプリンクラーの設置義務がないのでしょうか?


元東京消防庁 麻布消防署長・坂口隆夫 氏:
ベランダから出火することは少ないと思います。マンション火災で多いのは部屋の中での出火です。火災の種になるものがベランダにはそんなにないわけです。火を使うということもないので、少ないと思います

坂口さんによると、ベランダから出火することは少ないため、スプリンクラーの設置義務はないのだといいます。

タワマン避難は落ち着いて「二方向避難」が重要

ではもし、タワーマンションで火災に遭遇した場合はどうすればよいのでしょうか。

坂口氏は、「高層になればなるほど、消防法、建築基準と法令の基準が非常に厳しい。特に日本の法律は厳しく規制しています。ある面では非常にタワーマンションは安全です。ですから、落ち着いて行動するということが非常に重要です」と指摘します。その上で、具体的な避難については…

元東京消防庁 麻布消防署長・坂口隆夫 氏:
マンションの避難というのは、二方向避難というのができるようになっています。基本は階段から避難できます。しかし、階段は煙で覆われると使えなくなります。
その場合はベランダに出て、ベランダから隣のベランダに、隔て板を破って 避難する。そのベランダのどこかには避難ハッチというものがついていて、開けると避難はしごが入っています。それを降ろして下の階のベランダに避難する、そういうことを繰り返していくと、地上まで避難できるのです。ですから、この二方向避難ができるということを住んでいる方は確認しておく必要があります

事前に避難経路を確認しておくことが、非常に重要だということです。

(めざまし8 6月14日)

(FNNプライムオンライン6月14日掲載。元記事はこちら

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