3年ぶりに復活「長岡まつり大花火大会」 観客へ感謝の“サプライズ” 困難乗り越えた花火師の思い【新潟発】

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8月2日・3日に開催された長岡まつり大花火大会。
ウイルス禍に苦しんできた花火師たちは、3年ぶりの打ち上げを担い、観客を感動に包んだ。そこには「花火の力」を信じる思いがあった。

相次いだ花火大会中止…売上は大幅減・従業員との別れも

8月3日午後11時、2日間にわたる打ち上げを終えたばかりの花火師。疲れ切っていた一方で、大規模な大会を無事に終えた達成感にも浸っているようだった。

小千谷煙火興業 瀬沼輝明 社長:
日本全国の花火大会のベンチマーク(目標)にもなると思う。なので、そういうプレッシャーとも戦っていた

小千谷煙火工業 瀬沼輝明 社長
小千谷煙火工業 瀬沼輝明 社長

花火師の取り組みが実質的に始まったのは、長岡まつり大花火大会3年ぶりの開催が決まった4月のこと。

小千谷煙火興業 瀬沼輝明 社長:
打ち上げられる機会をつくっていただいて、うれしいしかない

こう喜びを口にしたのは、小千谷煙火興業の4代目・瀬沼輝明さん。
小千谷煙火興業は、長岡花火を担う花火会社6社のうちの一つ。明治20年ごろ創業の老舗で、国内で2社しかない三尺玉を作る会社としても知られている。

小千谷煙火興業
小千谷煙火興業

ウイルス禍で花火大会の中止が相次ぎ、火薬庫ではその三尺玉をはじめ、3万発~4万発もの花火玉が行き場を失っていた。

相次いだ花火大会中止
相次いだ花火大会中止

在庫は大量に
在庫は大量に

小千谷煙火興業​ 瀬沼輝明 社長:
私は花火玉を“子ども”と呼んでいる。「よく待ったね」という感じ。そんな話をすると泣けてくるけど

会社の売上は2020年、例年の5%にまで減少。さらに従業員との切ない別れも経験した。

小千谷煙火興業 瀬沼輝明 社長:
3人、4人くらい辞めた。「私がいるせいで瀬沼という所が傾くのであれば、進んで辞めさせてもらいます」と。お互い望んではなかったし、複雑だった

退職した従業員も
退職した従業員も

中止続いた花火大会が復活 夏本番に向け大きな手応え

復活への槌音が響いたのは、打ち上げ花火の季節が始まった6月。

小千谷煙火興業 星昌秀 工場長:
久しぶりの大きな現場なので、安全に無事に花火大会を終えられればいい

小千谷煙火興業 星昌秀 工場長
小千谷煙火興業 星昌秀 工場長

小千谷市の妙高寺は3年ぶりに奉納花火を開催。小千谷煙火興業は、この奉納花火をウイルス禍前まで、毎年夏の最初に打ち上げていた。

小千谷煙火興業 瀬沼輝明 社長:
日常を取り戻すきっかけになってくれればいい。本当に

ふだん通り、無線で打ち上げ現場に指示を出し、進行を管理した瀬沼さん。色とりどりの花火が夜空を照らしたこの日、瀬沼さんは確かな手応えを感じていた。

打ち上げを指示する瀬沼さん
打ち上げを指示する瀬沼さん

小千谷煙火興業 瀬沼輝明 社長:
まずは、何事もなく無事に上がったのが幸先良いなと思った。これから暑い夏に向かっていけるという希望をもらった

小千谷市・妙高寺の奉納花火
小千谷市・妙高寺の奉納花火

そして、6月下旬には初めて開催された花火大会も担当。訪れた人に、打ち上げ花火の魅力を改めて感じさせた。

小千谷煙火興業 瀬沼輝明 社長:
ウイルス禍の1年目、花火はいらないものなんじゃないかと思った。衣食住、全然関係ないから。でも、潤いになったり、次に向かう力になったり、慰められたり…花火は絶やしてはいけないものだと思う


「平和」「感謝の気持ち」…花火に込めた様々な思い

この日、長岡花火最大の呼び物について進展があった。画面に映し出されたのは、復興祈願花火「フェニックス」の案。
小千谷煙火工業は例年、県内の2社とフェニックスの案を出し合い、改良を続けている。2022年は青と黄色を使ってウクライナとの連帯を示し、世界の平和を願う思いを表現することに。

復興祈願花火「フェニックス」案
復興祈願花火「フェニックス」案

(Q.フェニックスに込めた思いは?)
小千谷煙火興業 瀬沼輝明 社長:

やっぱり平和、世界平和だけ。戦争なんて愚かな人間のさがでしかない


打ち上げ準備と並行して、水面下で新たな取り組みが急ピッチで進められていた。

長岡煙火協会 石田章 会長:
「新しい花火」に関して、より具体的なものを検討したい。曲のデモ音源をいただいて参りましたので

議論されたのは、新しい音楽付きの花火。

小千谷煙火興業 瀬沼輝明 社長:
1社の筒が100本あったら、100本同時に上げる。ドーンと

そのねらいとは…

長岡煙火協会 石田章 会長:
3年間、皆さんからご支援をいただいていたので、その恩返しというか、感謝の気持ちを込めてサプライズの花火を企画した

長岡煙火協会 石田章 会長
長岡煙火協会 石田章 会長

3年ぶりに打ち上がった長岡花火 観客から感謝の声も

そして迎えた本番。フェニックスが3年ぶりに長岡の夜空を舞い、サプライズ花火が大会に新たな彩りを加え、観客からは花火師へ感謝の思いも示された。

長岡まつり大花火大会
長岡まつり大花火大会

花火師への感謝を表す光
花火師への感謝を表す光

観客:
感動する長岡花火、本当に感謝している。本当に素晴らしくて長岡の誇りだと思う


小千谷煙火興業 瀬沼輝明 社長:
待っていてくれるお客さんがいる。みんなの力でお客さんの期待に応える花火を作って、お客さんがその花火を見て「また、あしたから頑張ろう」と思ってくれれば、それだけでOK。それがうれしい


3年ぶりの長岡花火を通じて、花火の持つ力を実感した花火師。夜空だけでなく、観客の心も彩る花火を打ち上げ続ける。

(NST新潟総合テレビ)

(FNNプライムオンライン8月13日掲載。元記事はこちら

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