伝統文化”刺しゅう”で…アフガニスタン女性の生活支えたい 市民団体「EJAAD」の取り組み【大阪発】

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イスラム主義組織・タリバンの政権下にあるアフガニスタンで、学校に通えない・仕事もできない女性たちがいる。
そんな”教育や仕事の自由を奪われた”女性たちを、アフガニスタンの伝統文化「刺しゅう」を通じて支援する大阪の市民団体の取り組みを取材した。

アフガンの女性支援する市民団体 架け橋となるのは”刺しゅう”

共同代表の筒井百合子さんとジェニファー・ヘンベストさんは、”女性の人権”が軽視されているアフガニスタンの実情を知り、2017年に大阪・豊中市を拠点とする市民団体「EJAAD(エジャード)」を立ち上げ、アフガニスタンの女性たちを支援する活動を始めた。

2022年6月、EJAADにアフガニスタンからたくさんの刺しゅう作品が届いた。
早速、活動の拠点となっている国際交流の会とよなか(TIFA)で、仕分け作業が始まった。

「EJAAD」共同代表 筒井百合子さん:
よー届いたなーこれ!


「EJAAD」共同代表 ジェニファー・ヘンベストさん:
やっと届いた!

筒井さんも笑顔で拍手する。


事務所にいるみんなに見せるように、刺しゅうを手に取ったジェニファーさんは、「これはすごいわ!とっても綺麗でしょ?小さな鏡が入ってるわ、素敵じゃない?」と話した。
「EJAAD」の事務所宛てに、アフガニスタンから送られてきた荷物の中には、アフガニスタンの女性たちが作った刺しゅう作品が300点以上も入っていた。
タリバン政権下での混乱で、郵便などのインフラが滞り、半年かけてようやく大阪にたどり着いた。


刺しゅうは、机の上に、作った人の名前ごとに丁寧に並べられている。


EJAAD・筒井さん:
作った人(アフガニスタン女性)の名前が中に書かれているので、それごとで分けて、これは何ドル、これは何ドルって、出来とかによって値段を付けてトータルして、まずはお金を送ってあげようと思うんです。(現地の女性たちは)収入が欲しいんですよ、今、仕事がないしね。食べ物にも困ってるから


タリバン政権下で自由に仕事したり、教育受けられない…アフガンの女性たち 

2021年8月に、アフガニスタンでイスラム主義組織・タリバンが暫定政権を樹立すると、国内情勢は更に悪化した。
特に影響を受けたのは、元々弱い立場にあった女性たちだった。
仕事をすることや教育を受ける自由すらなくなった。


「EJAAD」は、アフガニスタンの女性たちが作った刺しゅうを日本で売り、その売上を送金することで、生活を支援している。
アフガニスタンでは、刺しゅうは女性たちの間で代々受け継がれてきた”伝統文化”だ。


支援を受けている女性の1人、ヘナさん(仮名)。

ヘナさん(仮名):
私たちは、お母さんが作る刺しゅうを見て技法を習います。文化の一つとして、お母さんやおばあちゃんから教わるんです。収入をもらうと、私たちは生活に必要なものを買いに行きます。日本に刺しゅうを送ることができて、とても嬉しいです


アフガニスタンの女性たちの刺繍について、「EJAAD」のジェニファーさんは…

EJAAD・ジェニファーさん:
刺しゅうにはそれぞれ物語があります。歴史もあり、(アフガニスタンでは)女性にしかできない仕事でもあります。とても美しい芸術作品で、様々なポテンシャル(将来の可能性)を持っていると思います


EJAAD・筒井さん:
女性が手に職をつけて、社会で独立して生きていくのは(アフガニスタンでは)あまりないですよね。刺しゅうの腕を磨いて、これを仕事にしたいとか、もっと勉強したい、英語もしたいというように(アフガニスタンの女性たちが)いろんな希望を持っているということも分かりました


EJAAD・ジェニファーさん:
(支援活動を)前向きにやっていこう!そうよ、そうでないと、私たちが泣きたくなるくらい、ひどい状況に彼女たちは置かれているのです。でも彼女たちは泣いてなんかいません


展示会での販売に向けて…丁寧に”刺しゅう”チェック 

販売に向けて、筒井さんとジェニファーさんは、届いた刺しゅうの作品を一つ一つ丁寧に確認している。
ジェニファーさんは、刺しゅうが施されたポーチを手に持って、ジッパーの開け閉めを確認する。

EJAAD・ジェニファーさん:
(この刺しゅうは)ジッパーが問題ね、もっと質の良いジッパーがないかしら、どうしましょう


刺しゅう作品をチェックすると、中には商品として売るのが難しいものもある。

EJAAD・筒井さん:
(届くまで)半年くらい行方不明になり、色んなところで税関で全部1個ずつチェックされたりした中で、(刺しゅうが施されたポーチの)裏にカビのようなものが入って、洗っても取れないんです。無駄にはしたくない。せっかく作った刺しゅうなので

どうにか販売できないかと考えた筒井さんは…

EJAAD・筒井さん:
何とか商品化して、使っていただけるような形にしようと思って。これはこういう(新たなデザインの)バッグにしてみたらどうかなって


ジェニファーさんの教え子たちも…アフガンの女性たち支援

「EJAAD」の活動には、ジェニファーさんが美術の講師を勤める学校の生徒たちも参加している。
郵便のインフラなどが滞ってしまい、刺しゅうが届かなかった半年間、生徒たちはチャームを作って売ることで寄付金を募り、アフガニスタン女性たちの支援を続けた。

生徒:
できる貢献を続けていきたいなと思ってて。アフガニスタンの人達の教育の支援や希望になってたらいいなって思ってます

生徒:
直接は会ったことないし、見たことないけど、助けになったらいいなと思って頑張ってます


ようやく”刺しゅう展示会”開催 アフガンの女性たちの”明るい未来”願って

大阪・箕面市で、アフガニスタンの”刺しゅう”イベントが行われた。
ようやく開催できた展示会だ。

EJAAD・筒井さん:
EJAADだけじゃあ、一般の人、分からないよね。“アフガニスタン女性支援プロジェクト”って書いて


EJAAD・ジェニファーさん:
かばんはここにかける?…ほらこんな感じで


展示会の10日前に、アフガニスタン東部で大きな地震が起き、国はさらなる混乱に陥った。
刺しゅうを作る女性たちに被害はなかったが、復興のための募金箱を設置した。
お手伝いに来てくれた受付の女の子たちが呼びかける。
「アフガニスタンを助けてください!」「寄付をお願いします!商品を買ってアフガニスタンを助けてください!」


展示会に来たお客さん:
アフガニスタンの女性たちが作ってるの?糸も全部?

EJAAD・筒井さん:
はい!

次々と購入してくれるお客さんたちがいて、会場中に「ありがとうございます!」という声が響き渡る。
この日だけで約60点の刺しゅう作品が、訪れた人の手に渡った。


購入した人:
ただ寄付をするだけじゃなくて、そういうお仕事の場を作って差し上げるのも大事ですし、素晴らしいなって思いました

購入した人:
女性の自立が、アフガニスタンでは大変な時代になってきてしまったので、色んな形でサポートできればなと思ってます


ジェニファーさんと筒井さんは、アフガン女性の生活を支え、自立を少しでも助ける自分たちの活動の”意義”について話す。

EJAAD・ジェニファーさん:
困難な状況から、目をそらしてしまう人はたくさんいます。でも、私たちは寄り添うことを呼び掛けているんです

EJAAD・筒井さん:
女性のエンパワーメント(=自立支援)だけじゃなくて、刺しゅうという物があるので、すごく分かりやすいし、今の活動を発展させていけたらなと思います


国際社会では、「ウクライナ支援」や「コロナ対策」への関心が中心となっているが、他にも、世界にはさまざまな問題がある。


アフガニスタンの女性たちに“明るい未来”が訪れることを願って、「EJAAD」の人々はこれからも活動を続ける。

刺しゅう作品はEJAADのホームページまたは豊中のカフェ・サパナで購入できる。
(※売り切れ次第終了) 

(2022年7月20日放送)

(FNNプライムオンライン8月13日掲載。元記事はこちら

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