どこから来て、何でできているの?子どもの学びと世界を広げる“コーヒー粘土” 廃棄物をアップサイクル

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私たちの“これから”を明るく照らす、SDGsなアクションに迫る「#ミライにα」。子ども達が香りに誘われて、遠い国に思いをはせる教材に迫った。

学びに一役 香りで興味が広がる“コーヒー粘土”


クマさんに、ウサギさん、カタツムリまで…!この日、子どもたちは大好きな粘土遊びで、思い思いのものを作っていた。

しかしこの粘土、少し、何かが違う。包装を開けた瞬間、「あ~、なんかいいにおいする!」という子も。

この粘土は、ドトールコーヒーと、数多くの知育教材の開発を手がけるGakkenが共同開発したもので、軽くて扱いやすい上に、甘く香ばしい香りがするのが特徴だ。
秘密は、粘土に混ざった茶色の粒にある。


ドトールコーヒー 商品本部 担当者:
コーヒーの生産工程の中で出てくる「チャフ」という廃棄物を、今でも肥料とか堆肥にして100%リサイクルはしているんですけれども、他のものに何か利用できないかいろいろ模索していた中、粘土に混ぜて使えるということが分かった

ドトールコーヒーの関西工場(兵庫・加東市)。香ばしく焙煎(ばいせん)されたコーヒー豆は、次に「粉砕」の工程へ送られる。ここで発生するのが「チャフ」と呼ばれる、豆(種子)の外側を覆う、薄い皮だ。


この工場では、1日に約16キロ発生するというチャフ。粘土にアップサイクルし、コーヒー香る、地球に優しい粘土ができた。

「Gakkenこどもえん(東京・品川区)」でも、出来上がった粘土を使って遊ぶことに。子どもたちの反応は…?

先生:
コーヒーってどんなのか知ってる?

子ども:
コーヒー豆!

先生:
グルグルグルって回して・・・

子ども:
つぶしてコーヒーにする

先生:
その時に、お豆って皮がついてるでしょ?その皮だったり、グルグルグルって回したときに使えなくなっちゃうところ、なんかもったいないなっていうので…

先生から“粘土のひみつ”を教えてもらうと、さっそく興味が広がった様子。


包装を開ける子どもたち。「なんかいいにおいする!…コーヒーの香り!」と声が上がった。
「じいじが飲んでる、おじいちゃんが飲んでる」「冷たいのもあって、熱いのもある…」と、身近だけれど“大人のもの”であるコーヒーに触れ、子どもたちも興味津々だ。

実は教育現場ではまだ少ないという、「SDGsに触れる教材」として期待されている。

Gakkenこどもえん・上水流果奈 先生:
いつもと違う匂いがする、それで「面白い」と(SDGsを)身近に感じることができたり、もっと興味が広がって、いろんなものを調べてみたり。そういうことにもつながると思う


Gakken 幼児教育事業部・高橋 充さん:
現場の先生方からも、どうやってSDGsを子どもたちにわかりやすく伝えていくかは悩みごとだ、とは伺っていた。子どもたちが楽しみながら、リサイクルや食べ物の大切さについて感じてもらえるような教材は、またつくっていきたい

教育現場の声が生きた、コーヒー香る粘土。
次世代を担う子どもたちが「地球への優しさ」に、学びを広げる。

“どこから来て、何でできている?”考え広がる世界 使用後にも特徴を

Live News αでは、日本総合研究所のシニアスペシャリスト・村上芽(むらかみ・めぐむ)さんに、話を聞いた。


内田嶺衣奈キャスター:
今回の試み、SDGsに詳しい村上さんの目にはどのように映っていますか?

日本総合研究所 シニアスペシャリスト・村上芽さん:
コーヒー粘土は、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」に貢献できる取組みです。
使われている「チャフ」という微粉はすでに使い道があり、「廃棄物を減らす」という意味で追加的な効果があるわけではありませんが、コーヒーの微粉が粘土に生まれ変わることによって、新たな役割ができています。
粘土細工というのは子供たちに人気のある工作だと思いますが、香りがついたり、新しい素材だということで、粘土の時間がより楽しいものになるということが期待できます

ーー遊びの中に学びがある。子どもたちの成長にとって、大切なことですよね
特徴的なのは、子どもたちが遊びに使っているものが「どこから来ている」「なにからできている」と考えるきっかけになることです。これは企業経営で言えば、サプライチェーン上の環境や社会問題を考える、ということと根っこは同じです。
この取り組みで使われるコーヒー豆は、約20か国から調達されているということです。中南米ではグアテマラやコロンビア、アジアではインドネシア、アフリカ大陸ではエチオピアなど、ということで、粘土遊びをする年頃の子どもたちにとっては、普段あまり聞いたことのない国が多いと思います。
コーヒーがどこから来ているのかを考えたり、「聞いたことのある国の名前」が増えるだけでも、子どもたちの世界を広げてくれると思います


ーー今回の試みを、SDGsなアクションとしてもう一段引き上げるとしたらどのようなことが考えられる?
少し想像を広げると、子どもたちが遊び終わった後の粘土がどうなるのかな、ということが気になりました。
粘土は燃やすゴミとして処分する自治体が多いようですが、値段も高く、子供たちが長く使い続けられるとか、コーヒーかす以外の部分も含めて全部土に還るとか、そういう新しい特徴が出てくるとより良いかと思います

内田嶺衣奈キャスター:
香りというのは記憶に残りやすいようですし、それだけ身近なものからSDGSを学ぶきっかけが得られるのは素敵な取り組みだと感じました

(「Live News α」2022年11月3日 放送分より)

(FNNプライムオンライン11月4日掲載。元記事はこちら

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