“りんごのシュークリーム”も 「亘理町と歩むカフェ」目指す 地域おこし協力隊員の思い【宮城発】

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震災で大きな被害を受けた宮城県亘理町の荒浜地区に10月、特産の果物を使ったスイーツが楽しめるカフェがオープンした。手掛けたのは地域おこし協力隊として2021年、移住した料理人。人々が「つながれる場所」を作りたいと日々、奮闘している。

地域に根付き、地元の人が憩える場所に

宮城県亘理町荒浜地区。こちらの一角に10月22日、「シーカフェ」がオープンした。コンテナを利用して作られたこのカフェには、スイーツを手作りし販売する菓子工房も併設されている。


店が建つこの場所は11年前、東日本大震災の津波で大きな被害を受け、現在は居住ができない「災害危険区域」に指定されている。

この場所に賑わいの拠点を作ろうと、町はまちづくり事業の提案を民間企業などから募集。選定された多賀城市の企業がプロジェクトを立ち上げ、宮城県内外からの地域おこし協力隊とともに、一帯の整備に取り組んでいる。


プロジェクトに参加する一人、松本啓佑さん(43)。松本さんは大手飲食店のメニュー開発にも携わる料理人で、今回のプロジェクトでは飲食店エリア全体を任されている。


松本啓佑さん:
不安と期待と…ありきたりですけど

 

 

松本さんは、震災から2年後の2013年、石巻市で水産加工会社の立ち上げに携わるため、宮城県にやってきた。さまざまな思いを抱えてプロジェクトに参加している。

松本啓佑さん:
僕自身は宮城県で被災をしていなくて、もっともっと悲しい思いをした人たちってたくさんいて、その方たちと同じ気持ちになることはもちろんできないし、分かりますと言うこともできないが、自分ができることで寄り添うこと・伴走することはできるのかなと思った

 

 

地域に根付き、地元の人が憩える場所に。松本さんは、この場所にそう願いを込めている。

松本啓佑さん:
一番大事にしたいのは地元の人が足を運んでくれること。そこで滞在してもらってその時間を共有できることのほうが重要に感じています。まさしくこのカフェやこのエリアがその拠点になったらいいなと


この日、松本さんはカフェで出す商品のヒントを得に、地元のリンゴ農家を訪ねた。

松本啓佑さん:
ここ全部「ふじ」ですか?

リンゴ農家 結城翔太さん:
ここら辺は「ふじ」ですね

松本啓佑さん:
なんか長いこと料理やっていた人間でも初めて聞く品種ってあるので、それをお店でお客さんにリンゴの種類も感じてもらえるような構成にしていけたら

リンゴ農家 結城翔太さん:
例えばパイとかでも品種ごとに変えるのもおもしろいかも


地元の特産品を商品として提供したいと考えている松本さん。農家も松本さんに大きな期待を寄せている。

リンゴ農家結城翔太さん:
亘理だとイチゴが有名なんですけど、リンゴって農家はいるけど市場に出てないんですよ、亘理のリンゴって。ここら辺の農家はみんな直売所で販売しちゃうのでおいしいと言ってもらえるけど知名度はない。松本さんにはどんどん亘理のリンゴをPRしてもらいたい

亘理町に人がつながる場所を

いよいよ迎えたオープンの日。続々とお客さんがやってきた。この日、カフェでは亘理で採れたイチゴをふんだんに使った「いちごのトースト」や…結城さんの畑で採れた「リンゴのシュークリーム」など。町の特産の果物を使ったデザートも販売され、訪れた人はおいしそうに味わっていた。


来店客
うん!おいしいです!すごくおしゃれで木の感じとか素敵だなと思いました。また来たいと思います

亘理町出身の来店客:
小さいときの風景があって、震災があって。一瞬で被害に遭って、そこからきょうこの姿を見ると、なんかまたちょっと考えるものがあるというか。昔の風景とこれから未来は明るい方向に変わっていくのかなと思いました

松本啓佑さん:
人が集まる場所。地元の人もそうですし、県外の人も。とにかく人が集まってコミュニケーションをとって、人と人が交わりあっていくような、そんな場所になっていければ。よりこれから長くここでお店を続けていくことによって、僕たちが亘理町の人となり、関わりを深くしていって、その時に変化を楽しんでいただけるように頑張っていきたいと思います


(仙台放送)
 

(FNNプライムオンライン11月5日掲載。元記事はこちら

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