多くの“人命”を奪った痛ましい事故 韓国・ソウルで起こった「群集雪崩」を専門家が解説【大阪発】

社会

10月29日に韓国・ソウルで起きた大規模な転倒事故。日本人2人を含む150人以上が死亡した「最悪の雑踏事故」となった。現場では、人が密集したときに起きる雪崩のような転倒事故「群集雪崩」が起こったとみられている。その要因と防止法を、群集安全学を研究する関西大学の川口寿裕教授に聞いた。

何が引き金? 群集雪崩

(Q:群集雪崩はどのように起こるのですか?)
川口寿裕教授:
密集した中で前後左右の人と完全に密着し、自分1人の力ではなく隣の人にもたれかかっている状態で、その相手がしゃがんだり転倒したりすると、つっかえ棒が外れたようにその方向に倒れ込みます。これが群集雪崩です。1人がしゃがむと、周りの全員が一斉にその方向に倒れ込んで、さらにその周りの人が倒れ込んで…と連鎖的に起こり、すり鉢状に転倒が広がるのが、群集雪崩と呼ばれる事故です


(Q.“超過密状態”は、ただ立っているだけでも、横の人物から200キロほどの圧力がかかっているといいますが…)
川口寿裕教授:
状況にもよります。“200キロ”という数字は、2001年の明石歩道橋事故の際、歩道橋の両サイドに金属製の手すりがありました。この手すりが人の圧力でぐにゃっと曲がっていたんです。手すりを曲げるのにどれだけの力が必要なのかを計算したところ、1人あたり約200キロという数字が出ました。今回も同じかは分かりませんが…

(Q.現場が「つまずきやすい坂道」だったことも、群集雪崩の要因ですか?)
川口寿裕教授:

勾配の坂道であればまだいいんですが、映像で見る限り凸凹というか、勾配が急に変わるような場所がありそうです。今回は主に坂を下る方が多かったと考えられます。下り坂から急に平坦な道に差し掛かった場合、下り坂のつもりで足を出すと、自分が考えているより先に足が地面についてしまう。周りがよく見えている状況であれば何も問題はないのですが、これだけの密集状態では足元が見えない。思いがけないタイミングで足が地面につくことで、つまずいてしまうということが考えられます


(Q.現場はごみやコスプレのグッズが散乱していて、つまずくものが無数にあったようですね
?)
川口寿裕教授:

横に段差もありますし、つまずく要因はいろいろあったと思います

群集雪崩を防ぐには

(Q.群集雪崩を防ぐため、川口教授は混雑が発生しそうな場所の「入り口」での立ち入り規制が重要と考えられていますね)
川口寿裕教授:
今回の事故では、身動きの取れない、自分が危ない状態でも、後ろからどんどん人が押し寄せてきたという声が出ていました。実際に、真ん中でものすごく危険な高密度の状態になっていても、入り口にはその情報が伝わっていないんです。今回の現場では路地の真ん中あたりに警備員を配置して、「この辺りが混雑してきたから、一時的に入場規制して路地に人が入らないように」と、連携を取りながら規制することが大事だったと感じています


ハロウィーン当日 大阪・ミナミでは

 事故を防ぐために、ミナミでは最大200人での警備体制が敷かれていた。人が滞留しやすいという戎橋の中央には、両側に配置された警察官が「写真撮影の禁止」を呼び掛け、立ち止まらないよう常に注意していた。


戎橋には幅の狭いスロープもあるため、韓国と同様の事故が起こらないよう、より警戒を強めているということだ。

また、御堂筋を通る人が興味を持って立ち寄るのを防ぐため、戎橋に目張りの幕を張るなど、人が流入しないような工夫も施されている。


(Q.ミナミの状況はどうみられますか?)
川口寿裕教授:
映像を見る限り、この程度の人の数であれば危険はないと感じます。ただ、前日は結構な人出だったようなので、警察が注意していたように、撮影などで立ち止まると人が滞留しやすい。十分に注意する必要があると感じます。

(関西テレビ「報道ランナー」2022年10月31日放送)

(FNNプライムオンライン11月5日掲載。元記事はこちら

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