牛乳もとうとう値上げ…ケーキ店も「ため息」 クリスマスケーキの値段はいくらに?【大阪発】

経済・ビジネス

円安や仕入れ価格の高騰による値上げが続く中、1日から生活に身近な「牛乳」が値上げされることになった。クリスマスが近づく中、これまでに値上がりしたチョコレートや小麦粉に加えて乳製品の価格も値上がり。ケーキ店からは悲鳴が上がっている。

牛乳値上げの背景は

記者リポート:
きのうまで248円だった牛乳1リットルが、きょうからは268円に値上がりしています


大阪のスーパーでは仕入れ価格の上昇に伴い、販売価格の引き上げを余儀なくされた。

フレッシュマートアオイ 昭和町店 石上一隆店長:
うちとしては、毎日使われる商品になるので、値段が高いとお客さんが離れていってしまうんじゃないかなということで、非常に心配しています


客:
なんか値上げばっかりで…(牛乳は)必要なものですので、やっぱり仕方ないかな

 

 

3年7カ月ぶりとなる「牛乳」の値上げ。その背景をメーカーに尋ねた。

毎日牛乳 安田雅人 販売部長:
非常に生産者さんの生活を圧迫しているという部分で、今回、価格の改定を決断しました


ウクライナ情勢の影響や歯止めがかからない急激な円安により、エサ代が高騰。国内の酪農経営を巡る環境が、とても厳しい状況になっているという。

酪農家:
2021年から今までで、(餌代が)倍くらいまで上がっています。かなり苦しいなという状態です


牧場では、餌代を抑えるために量を減らすなどの対応を取っているそうだが、これ以上減らすと乳量や牛の健康にも関わってくるといいます。

酪農家:
この状態が来年も続いたら、もうみんな半分以上(の酪農家)がいなくなると思う

値上げに次ぐ値上げ 街のケーキ店もため息

乳製品の値上げの直撃を受けているのが、街のケーキ屋さんだ。大阪市福島区の手作りケーキ専門店「シェフ トルティエ」では… 


オーナーシェフ 井上勝彦さん:
バブル(崩壊)もサブプライムローン(リーマンショック)もジャブくらいでしたけど、今回は完全に“顔面ストレート”ですね

ケーキに欠かせない「生クリーム」の値上げが一番痛いと話します。もちろんベースは牛乳。こちらで使っている生クリームは、1リットルにつき50円の値上げとなりました。


また、牛乳も…

オーナーシェフ 井上勝彦さん:
生クリームと牛乳で炊くんです、ガナッシュっていうチョコレート・スイーツ。1台(ホール)500円は値段が上がってる


チョコレートと小麦粉はことし2回値上げし、それぞれおよそ1割高くなったため、「原価」はケーキ1切れにつき50円上がっている。

しかし、これは、牛乳が値上がりする「前」の話。すでに10月、ケーキ1切れの値段を10円~20円上げたため、これ以上は上げづらいという。


妻・みつえさん:
35年店やってるんですけど、初めてだと思います。これだけ全部上がるのは。本当に

オーナーシェフ 井上勝彦さん:
だから今、ケーキの“1個買い”ってのが多いです、前はなかったですけど


そうした中、これからやってくるクリスマス。しかし、今年のクリスマスケーキの値段がまだ決められない。

妻・みつえさん:
今度分かんないです、イチゴがね…

オーナーシェフ 井上勝彦さん:
一番怖いのはイチゴ。イチゴは本当に怖いですね、あれがいくら上がるかやな


12月に入ってくる国産のイチゴは2021年、クリスマス直前に普段の4倍近くまで高騰した。今年の上げ幅は、想像もつかない。


妻・みつえさん:
抑えていきたいとは思ってます、値段

オーナーシェフ 井上勝彦さん:
まあ、皆さん今辛抱しどころだから…

妻・みつえさん:
辛抱しどころって、もっと上がるかも分からへんよ

オーナーシェフ 井上勝彦さん:
しゃーないやん。やるしかないです


私たちの辛抱は、どこまで続くのか。

値上げのスピードに追い付いていない「賃上げ」

家計を圧迫する連日の値上げ。11月は833品目、2023年には2000品目以上で値上げが予定されている。関西テレビの神崎デスクは、問題は値上げのスピードに賃上げが追い付いていないことだと指摘する。

関西テレビ 神崎博デスク:
連日の値上げですが、一方、エバラの焼き肉のたれが32年ぶり、オロナミンCが25年ぶりなど、数十年単位でデフレが続き、値上げできなかったものもあるんです。やっと今価格が上げられて、そうなると企業の収益が回復する。企業に利益が出れば、従業員の給料も上がるんですが、実際はそこにタイムラグがあるんです。自民党の幹部に取材したところ、今の物価高に給料が追い付くまでに1~3年かかると。この間を政府がどう支援するかがポイントです


材料費などが上がっている中での商品価格見直しなので、従業員の給料に反映することができる企業がどこまであるかといったところだが、実際に、私たちの給料は値上げに全く追い付いていない。

物価変動の影響を差し引いて算出した「実質賃金指数」は、5カ月連続でマイナスとなっている。これは、このところの物価上昇に賃金の上昇が追い付いていないということを意味していて、私たちの暮らしが苦しくなっていることが分かる。

岸田首相も、「最優先は物価上昇に合わせた賃上げ。来年の春闘が天王山」と意気込みを語っている。


実際に、2023年の春闘で給料は上がるのか。報道ランナーに出演する経済学者の安田洋祐教授は、難しいという見解だ。

大阪大学大学院 安田洋祐教授:
春闘で給料を上げるとなるとベースアップになるので、今一時的に上げるのではなく、将来にわたってずっと高い基準に変わってしまう。そこまで業績のいい企業がたくさんあるかというと、やはり先行き不透明なので…なかなか上げにくいという背景があると思います。


大阪大学大学院 安田洋祐教授:
アメリカやヨーロッパで賃金が上がっているのは、ある程度コロナが収まって、景気が良くなってきたから。日本の場合は、値上がりの原因が円安や原材料費の高騰で、海外から入ってくるもののコストが上がっていることがインフレになっている。そもそも賃金を上げるための利益が上がりにくい構造にあるので、タイムラグはかなりあるんじゃないかなと思います


(Q.円安の影響で、日本で製造して輸出する一部の企業はもうかっていますよね?)
大阪大学大学院 安田洋祐教授:
そういうところは積極的に賃上げをして、少しでもこの痛みを免れる労働者を増やしてほしいと思います。彼らが消費することで、景気も少しずつ上向くはずなので

(関西テレビ「報道ランナー」2022年11月1日放送

(FNNプライムオンライン11月5日掲載。元記事はこちら

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