星野リゾートが長崎初進出「リゾート再生請負人」代表に聞いた流儀と戦略【長崎発】

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長崎県にある雲仙温泉街の中心部に、2022年11月25日に「界雲仙」が開業する。建物や内装に、長崎ならではの「和華蘭文化」を取り入れ、51の客室を備えていて、運営するのは、星野佳路代表が率いる「星野リゾート」だ。
県内初進出に向けてどんな戦略を持っているのか、星野代表に聞いた。

バブル崩壊後に各地のホテルを再建「リゾート再生請負人」

創業108年の星野リゾートの代表、星野佳路さん。
「リゾート再生請負人」として、バブル経済崩壊後に各地のホテルを再建、2022年10月末現在では国内・海外あわせて60の施設を運営している。

提供:星野リゾート
提供:星野リゾート

ーー今回雲仙初進出だが、改めて温泉の魅力とは?

星野リゾート・星野佳路代表:
日本の温泉旅館は、すばらしい日本文化のテーマパーク。地域で違った旅館があることが、世界の人たちも評価し始めているし、それは日本人にとっても大事なこと。その地域らしい温泉旅館を作っていくということはこれから重要なテーマ

ーー雲仙温泉の魅力は?

星野リゾート・星野佳路代表
雲仙地獄という、地球の熱を間近に感じられるような国立公園になっている素晴らしい場所。日本文化でありながら、西洋文化の影響を強く受けた歴史の中で培ってきたあり方というのがあると思う。


明治時代、外国人の避暑地として発展した雲仙。日本初の国立公園に位置し、2009年には世界ジオパークにも認定された。
しかし、小浜温泉を含む、雲仙市の宿泊者数は年々減少していて、新型コロナの影響を受け、最近は年間30万人を下回っている。
「集客」という雲仙全体の課題に対して、これから参入する星野リゾートは、独自の考え方で対応しようとしている。


星野リゾート・星野佳路代表:
最初に、切磋琢磨があると思う。競い合うことで施設が強くなる。雲仙温泉としての情報発信面は、どうやって協力しあえるかということを考える2つが大事。


ーー雲仙の商圏・ターゲットは?

星野リゾート・星野佳路代表:
これからの観光産業の長期的な競争力を考えた時には、ターゲットは限定しない方がいい。オフシーズンのない観光地はない。年間を通していかにお客さんの維持をするか。

「苔さんぽ」や「苔ガール」も…星野リゾートの“提案力”

星野リゾートの最大の強みは、地域の魅力を読み解き体験やサービスに変換する「提案力」だ。


青森県の奥入瀬にあるホテルでは、紅葉シーズンにだけ宿泊客が殺到。
赤字だったほかの季節の集客方法を探る中、目を付けたのが日本有数の種類を誇る、奥入瀬の「苔」だった。「苔さんぽ」や「苔ガール」という、独特の世界観を数年にわたって提案し、春や夏にも安定して予約が入るようになった。

ーー魅力は作って発信していくもの?

星野リゾート・星野佳路代表:
魅力は確かに作っていくもの。そこが、私が一番得意な部分。最終的には1週間単位で違う魅力を作り、そして年々それを改善していく。5年後10年後に年間を通して集客できているねという形を作るのがポイント。集客したいシーズンに新しい魅力を出していくことが大事だし、来てもらうためのコンテンツを現地で準備する。これの繰り返し、積み重ねが「強い観光地」、「強い施設」になると私は思う。


ーー友人が遊びに来た時は自分がいいと思った所に連れて行く。そのホテル版?

星野リゾート・星野佳路代表:
友人が来た時に、行きたい店なんて言ってくれない。こっちが連れて行きたいところに連れて行く。これが、ご当地自慢の基本的な発想。それが、観光事業を伸ばす方法だと思う。

大切なのは“地域と向き合う原点回帰”

新型コロナの感染拡大により、旅行需要は国際的にかつてない程、落ち込んだ。
しかし、水際対策が大幅に緩和されたいま、日本の観光地に求められるのは、世界の旅行トレンドの源になっている、欧米とオーストラリアの人たちへの情報発信。そして、「地域と向き合う原点回帰」だと、星野さんは考える。


星野リゾート・星野佳路代表:
コロナから学ぶことは沢山あるが、私たちはコロナ禍において、マイクロツーリズムという取り組みに大成功した2時間圏内の人に、高くリピートしてもらう観光地になるのは大事な視点。マイクロツーリズムをしっかり集客する仕組みを作りながら、関西関東からも来てもらう仕組みを持ち、かつ将来の成長セグメントとして、今伸びているインバウンドもしっかり伸ばしてもらうようにする。それで年間を通して集客する。どうやって幅広いマーケットに刺さりながら、しなやかで強い観光地を作っていけるかが大事な視点だと思う。地元の人が楽しめるようにするのが大事。そこをしっかりやっておけば次に何が起きても、売り上げを確保できる基盤を持っておけると思う。


星野リゾートは、洗練された施設や料理が印象的だが、一番の魅力は、現地のスタッフが実感した地域の良さをサービスにつなげるソフト力にある。「界雲仙」も開業に向けて、独自のイベントを考案している。
星野リゾートは、国内・海外への発信力を生かして、「雲仙」のブランド力を上げることで地域、そして自らの施設を強くしていこうとしている。星野流のおもてなしを提供する界雲仙は、11月25日に開業する。

(テレビ長崎)

(FNNプライムオンライン11月5日掲載。元記事はこちら

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