“障スポ”出場支えたのは知的障害を持つコーチ 健常者と障害者の垣根を越え…「島根モデル」が目指す姿

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10月31日まで栃木県で開かれていた、全国障害者スポーツ大会。2030年に島根県、33年には鳥取県で開催されるこの大会に向けて、新たな枠組みで臨んだ島根県の陸上競技チーム。健常者と障害者の垣根を超えた挑戦に密着した。

障害者のスポーツ指導員 島根の障害者では初

10月29日から3日間、栃木県で開催された全国障害者スポーツ大会。「障スポ」と呼ばれるこの大会に、山陰両県からは10の競技に合わせて74人の選手が参加した。

安井亮コーチ:
線がありますよ


右手を介助者の肩に添え、左手に白杖を持って歩くのは、陸上競技に参加した島根県の拝上誠選手。拝上選手は、視野が狭くなり視力が低下する、進行性の難病網膜色素変性症を患っていて、明るさは分かるものの視力はわずかで、ひとりで歩くことが難しい状態だ。

拝上誠選手:
とっても心強いです。この前、出会ったばかりなんですけど親しみやすいというか


安井亮コーチ:
有り難いです。うれしいです

拝上さんに肩を貸しているのは、介助役でもあり、コーチでもある安井亮さん。知的障害を持つ安井コーチ。2022年、県内の障害者では初となる障害者のスポーツ指導員資格を取得。この大会に向けて、約3カ月前からペアを組み、拝上選手を支えている。


福島翔太郎先生:
こうやるの

試合前日、ストレッチで身体をほぐす拝上選手。アドバイスするのは、安井コーチが養護学校時代に陸上競技を教わった、福島翔太郎先生。

2人を見守るのは福島翔太郎先生
2人を見守るのは福島翔太郎先生

福島翔太郎先生:
技術的な事とか小難しいことは言いますが、基本は安井さんと拝上さんのペアに任せている

恩師が見守る中、ハンディのあるペアが互いをカバーし合う3人4脚のチームで、障スポの舞台に臨んだ。

互いのハンディ補い 2つの金メダル

試合当日。選手召集所に3人が姿を現した。

福島翔太郎先生:
じゃあ、頑張って来てください!

福島翔太郎先生が2人を送り出す
福島翔太郎先生が2人を送り出す

――安井さんは付いて入るの?

安井亮コーチ:
はい。この介助ゼッケンがあるので付いて入ります。行ってきます!


拝上選手と安井コーチは一心同体。ひとつ目の出場種目、50mのスタート地点。上下赤いユニホーム姿が拝上選手。安井コーチは、拝上選手にスタートラインの場所やゴールの方向を伝える。


拝上選手はトップでゴール。そこへ安井コーチが駆けつけた。

安井亮コーチ:
新記録!


拝上誠選手:
大会新記録出ました。全力尽くしました。(安井)亮くんのおかげです

7秒79のタイムは大会新記録。自己記録を0.1秒更新する好成績に。3人から笑顔がこぼれた。

好成績に笑顔
好成績に笑顔

そして、もう一つの出場種目、砲丸投げでも安井コーチと拝上選手は一緒。スタンドから見守る福島先生のアドバイスを伝えるのも、安井コーチの役割。この種目も自己ベストを更新する好記録で優勝。見事2つの金メダルを獲得することができた。

見事メダルを獲得した
見事メダルを獲得した

拝上誠選手:
このメダルはどんな感じなの?

安井亮コーチ:
中に年号が書いてある。外は木でできている


拝上誠選手:
とても充実した大会になった。(安井)亮くんには感謝している

安井亮コーチ:
拝上さんが良いパフォーマンスができて良かった

互いのハンディを補うことでつかみ取った金メダル。ふたりを見守ってきた先生は…

福島翔太郎先生:
すごく力になれたと思う。これが当たり前になっていくと素晴らしい。島根モデルとして


健常者、障害者というカテゴリーに関係なく互いに助け合うチーム。2030年「障スポ」の島根モデルは、彼らのような姿なのかもしれない。

(TSKさんいん中央テレビ)

(FNNプライムオンライン11月5日掲載。元記事はこちら

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