託された制作途中の「天井画」 135枚の天井板に“親子3代”で描き上げる【富山発】

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富山・射水市の「瑞鳳山 雲光寺」で、約40年前に制作途中となっていた本堂の壁画と天井画を、寺を継いだ女性住職が自ら筆を取り「今は亡き、祖父と父との約束を果たしたい」と奮闘。残る天井画を完成させた。

約束を果たすため、教員を退職

射水市にある「瑞鳳山 雲光寺」。500年余りの歴史を持つ浄土真宗本願寺派の寺院。

500年余りの歴史
500年余りの歴史

18代住職、宮原和香さん。59歳で亡くなった父親の跡を継ぎ、高校の美術教員と住職という二足のわらじで活動していたが、ずっと心にあった長年の夢を果たすため、5年前に教員を早期退職した。


ずっと心にあった長年の夢…それは、本堂の壁画と天井画を描き上げること。亡き祖父、父と交わした約束だ。

雲光寺18代住職 宮原和香さん:
正面の壁面は多分、全部祖父だと思う。天井は父が描いていた


本堂の中でも、仏様をまつる内陣は柔らかな色合いの壁画と天井画で彩られている。和香さんが小学生のころ、親鸞聖人700回忌の大法要に向け、画家だった祖父と父が手がけた。


雲光寺18代住職 宮原和香さん:
小学生だったので、いつも見てた。とにかくうらやましくて、いいなぁ、わたしも描きたいなと思っていた


ところがある日、内陣の白い壁を数カ所残したまま足場が撤去された。祖父は、同じ画家を夢見ていた和香さんに、内陣の壁画の仕上げ、そして一般の人たちが参拝する外陣の壁画や天井画を託した。


雲光寺18代住職 宮原和香さん:
お寺はいっぱいあるけど、親子3代で描いたというのは聞いたことがないから。あとは任せたぞみたいな感じで。祖父との約束を果たさなきゃっていうのはあった


美大を卒業し、美術教員として画家として活動していた和香さんは、2人が残した内陣の白壁に世界観を壊さないよう、天女や雲を。


また、一般の人たちが参拝する外陣の大きな白壁にも、ハスの一生や鳥などを描いた。


そして今回、残る外陣の天井画を完成させるため、クラウドファンディングで資金を集めた。


天井裏にたまっていたチリやホコリ、ハクビシンの糞の掃除や補修を終え、8月末、ようやく下書きにこぎつけた。

足場解体までに…作業は急ピッチ

描くのは、寺の名前から一文字とった瑞雲と光。135枚の天井板全体を使って1枚の絵を描くことにした。


雲光寺18代住職 宮原和香さん:
どこを描いてるかわかるような、わからないような…


足場で全体が見渡せないため、作業は手探り。
足場解体の期限となる10月初めに間に合うよう、急ピッチで作業を進めた。


下書きを始めて1週間。再び寺を訪ねると、天井は青に彩られていた。立ちっぱなしの作業は体にこたえるため、作業は1日およそ4時間と決めている。


雲光寺18代住職 宮原和香さん:
足の裏のマメが、ちょっと増えた。みなさんが集いやすければいい。訪れて壁画もあわせて見ていただけたらうれしい。守っていきたい


3代で彩る本堂。祖父からの思いが、時を超えて受け継がれる。

そして、ついに天井画が完成

雲光寺18代住職 宮原和香さん:
ようやく完成しました


135枚の天井板に描かれた、青い空に浮かぶ瑞雲と光。瑞雲から差し込む光の筋を強調するため、本堂の入り口側は、あえて使う色を少なくし、自然なグラデーションになるよう色を塗ったという。


雲光寺18代住職 宮原和香さん:
ようやく完成したなっていうのと、月並みな言い方になるけど、本当に感無量っていう感じ。成し遂げたって気持ち。完成したときに父と祖父に完成したよって報告した


制作の途中、外に出て空を見上げたとき、鮮やかなオレンジ色の雲が目に入り、そのままの色を再現したという。


雲光寺18代住職 宮原和香さん:
瑞雲はいいことの兆し。ここで手を合わせていただいて、極楽浄土がこんな感じだと思ってもらえたらうれしい。小さいお寺だが、ここまで続いてきてるので、わたしにできることはしていきたい


1人で大変な作業だったと思うが、宮原さんは描くことが楽しくて、まったく苦にならなかったそう。また、クラウドファンディングによる資金集めは、かつての教え子からの支援もあったとのこと。

天井画は、この後、報恩講で門信徒にお披露目された。

(富山テレビ)

(FNNプライムオンライン11月8日掲載。元記事はこちら

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