「三原やっさタコ」ブランド推進中に”不漁”の逆風 地元の漁師や飲食店に打撃【広島発】

地域 経済・ビジネス

広島県三原市特産のマダコ。身が締まって足が太く、適度な歯ごたえと味の濃さが特徴だ。三原のタコは2014年にブランド化され、タコ料理を看板メニューに掲げる地元の飲食店も少なくない。ところが、2022年の水揚げ量は過去最少となる見込みで、漁師が頭を抱える事態に…。不漁の現状とその余波を取材した。

例年の半分以下で「涙が出そうな顔に」

11月4日の早朝、三原市古浜の港に一隻の船が戻ってきた。


船内のいけすから出てきたのは三原名物のタコ。

三原の海域で漁獲されたマダコ
三原の海域で漁獲されたマダコ

漁師たちは「最低よ」などと嘆き、肩を落としていた。

漁獲されたタコを船内のいけすからバケツへ移す漁師たち
漁獲されたタコを船内のいけすからバケツへ移す漁師たち

漁師:
全然、捕れん。少ないね。例年なら70~80キロは捕れるんじゃないかね。今日は30キロくらい。もう半分以下よね


三原市漁協の濵松照行 組合長は「漁業者は涙が出そうというような顔になっていますよ」と話す。

水揚げ量は過去最少へ 漁の厄介者も

三原のタコは2014年、地元の「三原やっさ祭り」にちなみ「三原やっさタコ」と名付けてブランド化された。関東の高級ホテルで出されるなど順調に販路を拡大してきたが、かつてない逆風が吹いている。


2022年の水揚げ量は9月末時点で10.8トン。ピーク時の2016年と比べ、3分の1しかない。このペースだと、2022年は過去最少を更新する見込みだ。


三原市漁協・濵松照行 組合長:
非常に打撃が大きいです。「三原やっさタコ」を世に出そうと一生懸命協力してくれた皆さんを困らせたくないのですが、皆さんに無理を言っているような状態です。相手が買いたくても、ほしい数量を買っていただけない


不漁の原因は特定できていないが、漁協は「西日本豪雨があった2018年以降、潮の流れが変わり、海に十分な栄養が行き届いていないことが関係しているのではないか」と考えている。


さらに、釣り客の”置き土産”が漁の邪魔に…


大量に保管されているのは、海中のタコつぼや網に引っかかり置き去りにされた”ルアー”だ。この半年ほどで見つかった数、なんと約300個。広島県内で「タコ釣り」は禁止されている行為ではないが、釣り糸が切れて放置された釣り客のルアーが漁業者の負担になっている。漁協の濵松組合長は「ルアーが手にかかったり、網に引っかかってなかなか取れない」と話す。

タコ不足で看板メニュー提供できず

タコの不漁で、地元の飲食店にも影響が出ている。こちらは、三原市内にある老舗のうどん店。

三原のタコ天が人気の「手打ちうどん おかめ」
三原のタコ天が人気の「手打ちうどん おかめ」

店の入り口には「三原やっさタコが品不足のため、本日はタコのメニューが提供できない」という貼り紙が…。


たこ天うどん、たこ天丼など「三原やっさタコ」を使ったメニューが売りだが、2022年7月からは週に1、2回ほどしかタコを入荷できていないという。


手打ちうどん おかめ・武田敏彦さん:
こんなことは今までなかったです。「今日はタコがないです」と言ったら、そのまま帰るお客さんも中にはいますからね。タコが食べたくて遠方から来るお客さんも多いので、気の毒だな、悪いなあと思います


水温が下がる冬場はタコの身が引き締まっておいしくなるので、さらに需要が高まると予想される。


三原市漁協・濵松照行 組合長:
お客さんが必要な量を供給できるように、早く大漁になってほしい。そういう時期が来るのを望んでいますけどね…


消費者のニーズに応えたくても応えられない状況が、いつまで続くのか。ブランド化を進め軌道に乗り始めた「三原やっさタコ」の不漁に、関係者たちは頭を悩ませている。

(テレビ新広島)

(FNNプライムオンライン11月9日掲載。元記事はこちら

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