クラフトビールで町おこし ホップから育てて想定を超える350本が完売【愛媛発】

地域 旅と暮らし

さまざまな場所で作られ、まちおこしのアイテムとしても注目される「クラフトビール」が10月、愛媛県久万高原町でも新たに誕生。
今、なぜクラフトビールなのかを取材した。

なぜ今クラフトビールが注目される?その背景を聞いてみた

10月15日に開かれた「久万林業まつり」。久万高原町で、新たなクラフトビールがお披露目された。


クラフトビールを飲んだ人:
飲みやすい、おいしい

クラフトビールを飲んだ人:
おいしいです。久万高原ラガー


秋晴れのもと、冷たいビールでのどを潤す、至福の時間。
実は、日本のビール市場は、この10年で約4割減と年々縮小。酒の種類が増えたことなどもあり、「ビール離れ」に拍車がかかっている。

その一方、「クラフトビール」は、市場規模は小さいものの、国内の消費量は年々伸びてきている。
愛媛県内でも、神社が手がけた「邪」を払う「ジャバラ」のビールや、古民家カフェの地元産レモン入りビール、この夏も、大洲に南予で初めての醸造所ができるなど、趣向を凝らしたクラフトビールが続々お目見えしている。


では今、なぜクラフトビールが注目されるのか。
地域経済活性化のため、クラフトビールを研究している伊予銀行の長野雅彦さんに聞いた。

伊予銀行・長野雅彦さん:
もともとは、1994年に規制緩和の中で、製造量であるとか規制がとれまして、そこから急激に広まっていったんですけど

1994年に酒税法が改正され、ビールの製造免許取得に必要な年間最低製造量が2,000klから60klに引き下げられた。これにより、小規模な醸造所が参入しやすくなって、いわゆる「地ビール」ブームがやってきた。


伊予銀行・長野雅彦さん:
当時はまだ造りの安定性であるとか、消費者側の趣向の多様性がまだ少なかった時代であって、何年かしてブームが去ったんです。食の多様性だったり、製造の安定が進むことによって、クラフトビールという名前に変わって、独自性とか物語、この辺りを好んでたしなむ若年層が増えてきた部分が大きいかなと思います


さらに2018年には、これまで米や麦などに限られていた副原料に、香辛料や果実なども使えるように。“こだわり”や“特別感”が求められる今、「クラフトビール」は地域の特性を生かしやすい、まちおこしのアイテムとして注目されるようになったという。

「オール久万高原町」のクラフトビールで町おこしを

名護谷希恵アナウンサー:
ここ、何を育ててるんですか?

地域おこし協力隊・生島尚さん:
ビールに使うホップを育てています。このマツボックリのような花なんですけど、こちらがホップになります


「ホップ」は、ビールの香りや苦みのもととなる原料。
久万高原町では、このホップを自分たちの手で育て、新たなクラフトビールを作り出そうと、2022年、町内4つの農家が栽培に挑戦した。

地域おこし協力隊・生島尚さん:
全部はうまく育たなくて、ここの気候なのか土なのか、原因はわからないんですけど、枯れてしまった品種も2つ3つはあります。トライアンドエラーで


国内でのホップ栽培の主要産地は、北海道と東北4県。
商用としての栽培は、愛媛では初めてのことだという。

名護谷希慧アナウンサー:
かわいいですね、見た目がすごくきれいな明るい緑

地域おこし協力隊・生島尚さん:
この根元にある黄色いのが「ルプリン」という、ビールの香りとか苦みとかの元になる成分です


地域おこし協力隊の直木志乃さんと、協力隊OBの新名剛仁さんの2人が、今回のビール作りの発案者。

地域おこし協力隊・直木志乃さん:
ふたりともお酒が大好きで、ビール飲みたいねって言って

協力隊OB・新名剛仁さん:
無類のビール好きなんで。久万の中に昔、酒蔵がたくさんあったんですけど、今ひとつもなくなってしまって。やっぱり日本酒とかお酒の文化が欲しいなって声があったりとか


地域おこし協力隊・直木志乃さん:
(かつて酒蔵で)使ってた酒米を使うので、町の人たちが「あぁ、これ久万のお酒。懐かしい」っていうような思いで飲んでもらったらうれしいです

ビール造りは、松山市内のブリュワリーに委託。
かつて地酒に使われていた酒米「フクヒカリ」と、自分たちで育てたホップを、なんと7kgも。
予想を超える大収穫だ。


地域おこし協力隊・直木志乃さん:
あのあと(取材のあと)急成長して、皆さん全員にたくさんつけてもらって。4人の農家さんの全てのホップがそろったので、ふたつの意味で100%久万高原町産ホップになったかなと

米もホップも収穫し、オール久万高原町産のビールは、完成まであと少し。

待望の「久万高原ラガー」お披露目!町の活性化につながるか

仕込みから約2カ月後、10月15日、「久万林業まつり」にあわせて「久万高原ラガー」デビューの日を迎えた。

地域おこし協力隊・直木志乃さん:
わっ!かわいい!と思いました

酒米は、60%精米することで雑味を取り除き、久万産ホップの風味を生かした、さわやかな味わいに仕上がった。


クラフトビールを飲んだ人:
旅行に行った所々でクラフトビール買って帰るんですけどね、久万でできるんだって。すごく飲みやすいです

地元の人:
久万高原においしいビールがあるんぞって思ったら、ビール好きが来てくれるんやないかなって

久万高原がギュッと詰まった新しい味は、2日間で想定を超える350本が完売した。

地域おこし協力隊・生島尚さん:
形になるかわからない、手探りで始まった企画だったんですけど、まずホップがうまく育って、ちゃんとビールという形にしてくれたので、ものすごく感無量です

地域おこし協力隊・直木志乃さん:
予想以上というか、本当に来てくれるんだろうかっていうところで、最初、緊張があったんですけど、思ったより皆さん知ってくださってて、久万高原町がビールの、ホップの産地っていうふうになったらすごくいいなって思っています

自由なアイデアを形にできるクラフトビール。
その存在が町の活性化につながるか、注目される。

(テレビ愛媛)

(FNNプライムオンライン11月13日掲載。元記事はこちら

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