治療法が存在しない難病ALSと闘う男性「オレは生きてもいいの?」 残された家族と過ごす時間【岡山発】

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全身の筋肉が衰え、やがて死に至る難病「ALS」と闘う男性が岡山・倉敷市にいる。ALSと診断された「人生最悪の日」から4年が経った今、残された時間と向き合う男性の姿を追った。

突然訪れた「人生最悪の日」

2018年11月7日の日記:
嫌な予感的中。はぐらかされてたけど、ALSだったぽい。人生最悪の日だ...


2018年11月、「人生最悪の日」となったあの日から、早くも4年が経った。
倉敷市の直樹さん(43)。日ごとに進行する病気と向き合い続けている。


ALS、筋萎縮性側索硬化症。全身の筋肉が次第に動かなくなる原因不明の病気で、発症後3年から5年で自発呼吸ができなくなり、やがて死に至る。治療法はない。


直樹さん(2021年7月):
右手が握手する時に痛くて。握手の相手の人に、力が入っていないと言われたのが最初


直樹さん(2022年5月​):
日々どんどん悪くなっていって、きのうできたことが、きょうはできなくなるとか


直樹さん(2022年10月​​):
だんだん生きていても良いのか、自問自答することが増えてきた

診断から4年。残された命を意識する中で、毎日の日課としている日記には、誰にも言えない葛藤がつづられていた。


2022年9月30日の日記:
最近ホントに生きる価値がないように思える。オレは生きてもいいの?

息子への“後ろめたい気持ち”

長男・樹くん:
たっちゃんが押してあげるから、大丈夫


長男・樹くんは、直樹さんがALSと診断された頃に生まれた。父親の病気について、少しずつ理解していて、病気の進行で、できないことが増える父親とは対照的に、できることが増えてきている。

直樹さん:
体がおかしい

妻・弥佳さん:
体がおかしい?痛い?お灸しようか?


この日、直樹さんは、朝からALS特有の筋肉や関節の痛みに苦しんでいた。

直樹さん:
準備

妻・弥佳さん:
準備できる?


それでも、どうしても行きたい場所があった。それは、樹くんの運動会。

直樹さん:
楽しみ。不安、脱線するんじゃないか

運動会のフィナーレは、親子そろって音楽に合わせて踊る、樹くんが楽しみにしていた種目。直樹さんが車いすで参加しようとするも…。

長男・樹くん:
ママがいい


妻・弥佳さん:
ママがいいの?パパじゃなくていい?

直樹さん:
一緒にやりたい。後ろめたい気持ちもある。どうしようもないから、うちはうちと思い込むようにした


「今できることを一生懸命」

「happyバースデー、おめでとう!」


樹くんは4歳に、次男の颯くんは2歳になった。一家は、久しぶりの笑顔に包まれる一方で、来年の誕生日にはどれほど病気が進行しているのか、不安も募る。

次男・颯くん:
(袋を手渡し)開けてパパ

直樹さん:
開けられない


直樹さん:
僕らにとっても親になって4年。これから5年目になる。今は親らしいことはできない。今できることを一生懸命やっていけたらと思う


2022年10月24日の日記:
今日は樹と颯の誕生日会。最高の会になったね。賑やかだったから幸せも倍増。また来年も同じようにできたらいいな…


過ぎ去る時間に抗うことはできない。だからこそ直樹さんたちは今、この瞬間を大切にして生きている。

(岡山放送)

(FNNプライムオンライン11月14日掲載。元記事はこちら

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