鹿児島で進む国防の動き 無人機配備・米軍の訓練移転計画…専門家に聞く“今とこれから”

社会 安保・防衛

鹿児島県内では、海上自衛隊鹿屋航空基地への米軍の無人偵察機の一時配備や、西之表市・馬毛島への米軍の訓練移転計画が進んでいる。なぜ鹿児島で国防の動きが活発なのか。2人の専門家の話から、国防の今とこれからを考える。

鹿児島県内で加速する国防の動き

種子島の西、約10kmの海上に浮かぶ西之表市の馬毛島。


アメリカ軍の訓練移転計画と自衛隊施設の整備計画が進む中、島の東に位置する葉山港では、着々と水深を掘り進める工事が進んでいる。

安楽遥記者:
しゅんせつ工事が進む葉山港では、港に大きな台船が停泊していて作業している様子がうかがえます


2018年の映像と2022年の馬毛島を比較してみると、2018年は更地だった場所には建物が並び、機材や重機などが多く置かれている。
さらに、2018年には木々が生えていた場所が、通路のようになっている。防衛省が7月から始めた外周道路の工事とみられる。

島の南東部には伐採され通路のようになった跡も
島の南東部には伐採され通路のようになった跡も

安楽遥記者:
島の南東部には海に沿って木が伐採され、土がむき出しになり、重機が通ったような跡も見られます

2022年に入り加速する鹿児島県内での国防の動き。


海上自衛隊鹿屋航空基地では、11月にもアメリカ軍の無人偵察機「MQ9」が配備される見込みで、8月には、陸上自衛隊奄美駐屯地で日米共同訓練も実施された。

鹿児島の国防 2人の専門家の見方は

なぜ、これほどまでに国防の計画が進められるのか?
元陸上自衛隊員で、安全保障が専門の日本大学危機管理学部の吉富望教授は、鹿児島の地理的特徴を指摘する。


日本大学危機管理学部・吉富望教授:
中国に焦点を当てれば、台湾に近く、尖閣諸島を含む南西諸島が、対立と分断の最前線ということになってくる

海洋進出を進める中国に対抗するため、進む国防の計画。


吉富教授は、馬毛島で計画されるアメリカ軍の訓練や自衛隊施設の整備は近年、中国の艦艇の通過が確認されている大隅海峡へのけん制につながり、海上自衛隊鹿屋航空基地への無人機配備で、効果的に中国軍の情報が収集できるようになると話す。

日本大学危機管理学部・吉富望教授:
日本のみならず、世界の中の民主主義国家群を守る上で大きな意義がある

一方で、アメリカ軍がいることで攻撃されるリスクが高まると懸念するのは、アメリカ軍の基地問題に詳しい沖縄国際大学の前泊博盛教授だ。


沖縄国際大学・前泊博盛教授:
ウクライナ情勢を見て分かると思うが、ウクライナで一番最初に攻撃されたのはどこかというと、軍事施設。北朝鮮のミサイル部隊は、部隊名そのものが「在日米軍基地を攻撃する部隊」という名前もついているぐらい。そういう意味では、在日米軍基地があることが日本の安全保障上、むしろリスクが高まっている時代


今回、無人偵察機が一時配備される鹿屋航空基地では、最大で200人のアメリカ軍関係者が駐留する。鹿児島県内でアメリカ軍が駐留するのは、初めてのことだ。

一時配備の意義は認めるものの、自身も自衛隊に所属していた吉富教授は、アメリカ軍との連携の難しさを課題に挙げる。


日本大学危機管理学部・吉富望教授:
(アメリカ軍は)部隊の運用に関わる情報とかは、同盟国といえどもかなり高度の機密に属するので出してくれない。防衛省としても出せない。米軍が教えてくれない

一方、前泊教授は、沖縄県でのアメリカ軍の事例を踏まえ、事故や事件があったときに備え、鹿屋市が国やアメリカ軍と取り決めを結ぶことが重要と強調する。


沖縄国際大学・前泊博盛教授:
想定される被害や現状回復を含めて、取り決めをしっかりしておくことが必要だと思います

無人偵察機の運用も開始されるが…

11月中にも鹿屋航空基地で運用が始まる見込みの無人偵察機。11月5日には、住民向けのデモフライトが行われた。


アメリカ空軍第319遠征偵察中隊 アレクサンダー・ケリー司令官:
鹿屋でのMQ9の運用は1年間で、365日を超えることはありません

“1年間に限った運用”と強調するアメリカ軍だが、立場の違う2人の専門家は、この点については共通の疑問を呈す。


沖縄国際大学・前泊博盛教授:
1年受け入れるということは、ずっと受け入れるということを意味している


日本大学危機管理学部・吉富望教授:
地域の情報収集ということで言うと、1年で終わっては意味がない。鹿屋にそのままいるか分からないが、この地域で情報収集を強化するという意味からは、何らかの新しい取り組みを米軍としても行うのではないか


世界情勢が緊迫する中で、着々と進行する鹿児島での国防計画。
防衛省は、馬毛島でも2022年度中の基地本体の着工を目指している。

押し寄せる国防の波。その正体を見極めながら、これからの鹿児島のあり方を考え続けることが今、私たちに求められている。

(鹿児島テレビ)

(FNNプライムオンライン11月14日掲載。元記事はこちら

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