”名もなき空手家”たちの存在 沖縄発祥「空手」の世界的普及 背景には“礼節”【沖縄発】

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沖縄が誇る「空手」の普及には「船越義珍」をはじめ、世界に空手を広めたとされる有名な空手家の存在がある。一方、海外へ飛びたった沖縄の「移民」も、すそ野を広げた要因の一つではないかと考えられている。ある研究で、多くの「名もなき空手家」たちの存在が浮かび上がった。

現地新聞に記された足跡

2022年10月25日の「空手の日」に合わせて行われた「奉納演武」
沖縄を代表する重鎮たちが繰り出す技がいにしえから受け継がれてきた伝統と修練までの月日を感じさせる。


空手発祥の地・沖縄を象徴する施設「沖縄空手会館」。2022年11月の「世界のウチナーンチュ大会」に合わせて企画展が開かれている。
企画展のテーマは「移民と空手」。ハワイやフィリピンなどで発刊されていた「邦字新聞」に掲載された「空手」に関する記事がまとめられている。


沖縄県空手振興課 仲村顕さん:
スタンフォード大学のデータベースで確か見ることができるんですよ。これはアルゼンチンの邦字新聞


沖縄テレビ 嘉数鉄太郎ディレクター:
ウチナーンチュだけというよりは日本人コミュニティー?

沖縄県空手振興課 仲村顕さん:
これが全体。琉球三線と空手。当時、ここまで広告を出すのはなかなか珍しいと思います


“空手の技を習得した移民の存在”

沖縄の空手がどのように本土へ、そして世界へ広がったのかを研究している仲村顕さん。
空手を世界に広めた空手家の一人、舩越義珍が記した書籍と明治時代の新聞、そして海外移民の間で読まれていた邦字新聞など読み比べ史実を裏付ける調査を続けている。


沖縄県空手振興課 仲村顕さん:
早い例だと、1906年とか、それぐらいの時期から、移民が移民先で、空手の演武をしたりする活動が、資料として見えてきます


沖縄県空手振興課 仲村顕さん:
実際のところ、沖縄は多くの移民を海外に輩出していっているんですけど、その中には空手を嗜んでいる、空手の技を習得した移民もやはりいたわけです

1988年OTV放送番組より 当時のナレーション:
辺土名道場は今マドリッドでも有数の空手道場の地位を築いている。スペインはヨーロッパの中でも空手人口の多い国で、道場の数はマドリッドの中でも200を超えるという。

1988年放送 沖縄発 われら地球人 ヨーロッパ編 ~情熱の国で広がるウチナー空手~
1988年放送 沖縄発 われら地球人 ヨーロッパ編 ~情熱の国で広がるウチナー空手~

“礼節”が世界で受け入れられる

長く、世界のウチナーンチュ達を取材してきた元沖縄テレビアナウンサーの前原信一さんは、空手発祥の地「沖縄」と認められた背景には海外で伝統空手を広めた先人たちの努力があったと振り振り返る。

元沖縄テレビアナウンサー 前原信一さん:
世界の中の空手というと、競技空手とか、組手とか、そういうのを中心にした空手のイメージだったんですけど。


元沖縄テレビアナウンサー 前原信一さん:
沖縄の空手はそこに沖縄の伝統空手、つまり礼儀とか、そういうのを重んじる、沖縄固有の伝統的な空手を根付かせてきた。それがヨーロッパや、アメリカの人達にも逆に、沖縄の空手の良さというのが受け入れられてきた


多くの外国人空手愛好家が沖縄へ

フランスの空手家 カトリーヌ・ベルナルさん:
私は空手について論文を書きたい。


先人たちが広めた空手のルーツを探るため、毎年多くの外国人空手愛好家が沖縄を訪れる。

この日、空手会館を訪れたのはフランス人のカトリーヌさん。
空手歴はなんと40年、かつてはフランス代表にもなった事があるそうだ。


沖縄テレビ 嘉数ディレクター:
得意な形を教えて下さい

フランスの空手家 カトリーヌ・ベルナルさん:
得意な形は雲手(ウンシュー)松濤館の形、雲手


彼女がフランスで学んだ空手は沖縄を代表する空手家の一人船越義珍を開祖とする流派だ。


沖縄県空手振興課 仲村顕さん:
「空手に先手無し」の一番古い(資料)、船越義珍先生が、この言葉を言ったとか、作ったとか解釈されていますよね?これは違う。


フランスの空手家 カトリーヌ・ベルナルさん:
違う?船越義珍先生じゃない?

沖縄県空手振興課 仲村顕さん:
船越義珍は(師匠の)安里安恒から聞いて書いている。安里安恒が昔からと言っているから、船越義珍のことではない。昔から言われている。日本語的に言うと、詠み人知らずなんです


フランスの空手家 カトリーヌ・ベルナルさん:
すごく良かったです。嬉しいです。(空手の資料を)たくさん見つけた。

「名もなき空手家」たちにより空手愛好家は世界で1億3000万人に

心を磨き礼節を重んじる沖縄の空手。
2022年では空手愛好家は世界に約1億3000万人もいると言われている。


世界へ空手が広まったのは海を渡った「名もなき空手家たち」の存在があったからこそ。


仲村さんは、移民の歴史や、日常を切り取った古い新聞記事にそのカギが隠されていると、地道な調査にロマンを感じている。

沖縄県空手振興課 仲村顕さん:
(空手が)世界に広まっているのが、非常に特徴的な事であって、一番、県民の間に知られてよい、認識されていい事だと思う。空白の歴史というのを少しでも埋める、埋めていけるように作業を続けていきたい

(沖縄テレビ)

(FNNプライムオンライン11月15日掲載。元記事はこちら

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