ウクライナからの避難家族と学生が歌う「ミィ・ザ・ミール(私たちは平和のために)」【広島発】

社会

ロシアによる軍事侵攻の終結を願い、ウクライナで歌われている曲がある。言葉の壁を越え、学生たちがこの歌に挑戦した。指導を手伝ったのは、戦禍を逃れ広島県福山に避難している女性だ。戦争終結を願う歌声に、女性は涙を見せた。

子供と日本に避難して5か月


アンナ・セメネンコさんの歌:
♪ 私たちに平和な空が必要 青い青い明るい明るい世界には きょうもあなたが必要


祖国から遠い日本に避難して5か月。戦争の早期終結、そしてウクライナにいる家族との再会を信じ歌うその声は静かに響き渡った。曲名はウクライナ語で「ミィザミール」=「私たちは平和のために」。


この曲は2014年に起きたロシアのクリミア侵攻の後に作られたもので、今回の軍事侵攻後戦争の終結を願ってウクライナ国内で広く歌われているという。


福山市立大学・大庭三枝准教授:
(学生に対して)違う言葉だけど一生懸命真似して歌ってみましょう。しっかり真似すること、相手の文化に自分を近づけることが大事

福山市立大学 大庭三枝准教授
福山市立大学 大庭三枝准教授

福山市立大学の大庭三枝准教授はユネスコの協力機関、OMEP=世界幼児教育保育機構の日本委員会の理事を務めていて、ウクライナのメンバーからこの曲が届いた。


大庭三枝准教授:
OMEPウクライナの会長が今、ウクライナの子どもたちが置かれている状況を世界に発信したいということで、この歌が届いた。ミサイルの飛んでこない空、そして平和な安全な空が欲しいということが歌詞に込められている

大庭准教授
大庭准教授

「この曲を歌いたい」学生からの声 

この曲を聞いた学生から歌いたいと声があがり、大庭さんがウクライナから避難しているアンナさんに協力を依頼。アンナさんは大学を訪れ学生たちにウクライナ語の発音や翻訳を指導している。


Q ブドウの味はどう?甘い?酸っぱい?
アンナ・セメネンコさん:
すごく美味しかった。甘いです

9月にはぶどう狩りを体験
9月にはぶどう狩りを体験

アンナさんは6月に、ウクライナから長女のエヴァちゃん、次女のソフィアちゃんと3人で福山市に避難してきた。夫・アンドリューさんはいまもウクライナにいる。


身の回りなど生活を地域でサポート

大庭さんは休みの日にアンナさんの家を訪れ、日用品の差し入れなどしている。この日は知り合いから譲り受けた子ども服を持参。


大庭三枝准教授:
おお、いいじゃない
アンナ・セメネンコさん:
すごいすごいかわいいね


一方、お姉ちゃんのエヴァちゃんは…


パンダのシャツが気に入ったようです。

 

 

大庭三枝准教授:
アンナさん家族は着の身着のままで逃れてきたから、そして子どもは大きくなりますよね。困っていることあれば遠慮なく言ってもらえるとうれしい。私たちにできることをサポートしたい


家賃や光熱費などの生活費は福山市から支援を受けていて、食材は近くの業務スーパーで購入し毎食自炊している。

 

アンナ・セメネンコさん:
卵はオムレツとか作る。豆腐好きですね
Q:どうやって食べる?
醤油とこれ、鰹節


日本食が大好きなエヴァちゃんとソフィアちゃん。中でも一番のお気に入りは納豆。

 

 

アンナ・セメネンコさん:
2人が納豆食べるのびっくりした!
Q:日本人でも納豆嫌いな人はいるが?
私はそれがよくわかる、だから私もびっくりしました

エヴァちゃん、ソフィアちゃんは納豆が大好き
エヴァちゃん、ソフィアちゃんは納豆が大好き

アンナ・セメネンコさん:
日本にきて5か月くらい。時の流れの速さに本当にびっくりします。歌の先生や学生、とても感じがよかった。日本に友達が少ないので、大学のみなさんともっとお話して、友達を探したいです


学生らが練習の成果を披露

そして学生たちが歌の収録をする日、アンナさん一家が大学に…


大庭准教授:
ありがとう、よく来てくれました。

 

 

練習が始まる。

歌の先生:
きょうも平和であってほしいと、ウクライナの人たちはすごく切望しているわけだから、「トレーバー(必要)」の部分をもっと力強くいきたいところだと思うの


その様子を見つめるアンナさん。

 

アンナ・セメネンコさん:
すごく発音も勉強していたから本当にすばらしい。

アンナ・セメネンコさん
アンナ・セメネンコさん

大庭准教授:
一緒に歌いません?


アンナ・セメネンコさん:
みなさん上手だから。でも私しばらく音楽から離れているので

 

 

歌うのをためらうアンナさん、しかしメロディが始まると…

歌い始めるアンナさん
歌い始めるアンナさん

悲しい歌詞に祖国への思いが…

アンナ・セメネンコさん:
子供たちは突然大人になり、私たちのところに戦争がやって来た。歌詞がすごく悲しい。私は日本語でうまく言えない


言葉を詰まらせるアンナさん、涙が止まらなくなった。

アンナ・セメネンコさん:
みなさんの歌を撮ってウクライナに送ると、この歌はすごく有名になると思います


準備も整い、いよいよ本番。


♫「ミィザミール=私たちは平和のために」
列になって子鶴たちの手紙が羽を広げ空に飛んでいく。
母の祈りが聞こえる自分たちの平和の国のためそして輝く金色の小麦畑…
世界は急に怒りに染まった。


子供たちは突然大人になり私たちのところに戦争がやって来た。


私たちには平和な空が必要


青い青い明るい明るい世界には、きょうもあなたが必要

収録は無事終了。

 

声楽の先生:
みんなすごいね。頑張ったね。


練習を積み重ね言葉の壁を乗り越えた生徒たちは…

 

学生A:
元のウクライナの普通の当たり前の生活ができるように早く戻ってほしい


学生B:
音楽は言語関係なく繋がることができる1つなので、みんなが平和を考えるきっかけになればいい


福山市立大学・大庭三枝准教授:
アンナさんの涙が全てを物語っていると思います。

福山市立大学 大庭三枝准教授
福山市立大学 大庭三枝准教授

大庭准教授:
アンナさんは教員免許とピアノの先生の免許を持っているので、とても教え方が良かった。何よりもウクライナ語を教えるという誇りがあったように思います。


大庭准教授:
ウクライナの子どもたちの、子どもたち時代が奪われているということを理解し、歌に込めてくれたので、学生たちは、とてもよく頑張ってくれたと思います


ユニセフによると、ウクライナ国内で数千の学校が損傷または破壊された。安全で再開が可能と判断された学校は60%未満。人道支援を必要としている子どもの数はウクライナ国内で300万人、避難先の難民受け入れ国で220万人以上とのことだ。

(テレビ新広島)

(FNNプライムオンライン11月15日掲載。元記事はこちら

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