危険な“巨大観音像”が全国に…老朽化で住民悲鳴「負の遺産」 10年放置の内部は?解体・修繕に“億単位”費用

社会

住宅街にそびえ立つ巨大な観音像。ありがたい存在のはずだが、近隣住民からは…。

近隣住民:
壊れて倒れたりすると、ちょっと怖い。

近隣住民:
もう20年くらいほったらかしだよ。負の遺産だわ。


管理が行き届かず、「負の遺産」と言われるまでに。
観音像の中は、壁や天井が剥がれ落ち、危険な状態になっていた。

実は、管理不足が招く“危険な観音像”は全国各地にある。
街のシンボルが一変し、厄介もの扱い。危険な観音像の実態を取材した。

バブル期に300億円で建設 老朽化で住民不安

取材班が向かったのは、石川・加賀市の住宅街。住民から不安の声があがっていたのが、住宅の間にそびえ立つ観音像。

石川・加賀市
石川・加賀市

JR加賀温泉駅のすぐ近くにある、高さ73mの「加賀大観音」だ。


この観音像は1988年、バブル期に不動産実業家が建てたもの。遊園地やホテルなどの施設もあって、総工費は約300億円といわれた。

1988年、バブル期に不動産実業家が建てたもの
1988年、バブル期に不動産実業家が建てたもの

当時は、年間50万人の観光客で賑わう人気スポットだった。
しかし、バブルの崩壊とともに会社が倒産。レジャー施設は閉鎖された。


その後、施設の権利を誰が引き継ぐかをめぐり争いがおきたものの、一向に決まらず。施設はそのまま放置され、老朽化が進んだ。

施設の権利を引き継ぐ争いがおきたが決まらず、施設はそのまま放置され老朽化
施設の権利を引き継ぐ争いがおきたが決まらず、施設はそのまま放置され老朽化

そして、現在は…。


取材班:
全部、窓ガラスが割られてしまっています。

老朽化が深刻なのは施設だけではない。住民からは不安の声が聞かれた。

「街の繁栄にはいいかなと思っていたけど…」
「街の繁栄にはいいかなと思っていたけど…」

近隣住民:
この街の繁栄にはいいかなと思っていましたけど。地震とかが起きた時に、壊れて倒れたりするとちょっと怖い。

近隣住民:
デメリットばっかり。メンテナンス、何もしてないもん。

「もう20年くらいほったらかし」
「もう20年くらいほったらかし」

近隣住民:
もう20年くらいほったらかしだよ。負の遺産だわ。


“負の遺産”とまで呼ばれる巨大観音像。実は10年以上にわたって、必要なメンテナンスができていないという。

10年放置…観音像の中はどうなっている?

現在も、一部 拝観が可能だということで、観音像の中へ入ってみると…。

現在も一部が拝観可能 観音像の中へ
現在も一部が拝観可能 観音像の中へ

たくさんの仏像が並んでいた。2階から上は拝観停止となっているそうだが、関係者の許可をもらって上る。


取材班:
うわ、真っ暗。


電気が通っておらず、真っ暗。さらに床には…。

剥がれた床のタイル
剥がれた床のタイル

取材班:
床が剥がれてしまっています。こちらに剥がれたタイルが積まれています。


奥に進むと、天井が大きく崩れて、中の骨組みが見える状態になっていた。


最上階の展望台では、窓の格子や割れた蛍光灯が床に散乱。

窓の格子
窓の格子

割れた蛍光灯が床に
割れた蛍光灯が床に

景色を一望できる窓の近くは…。


取材班:
外から中に続くように、大きくヒビが入ってしまっています。


さらに外側を確認してみると…。


取材班:
あ、ここ見てください!観音像の外壁、崩れています。


よく見ると、外壁が剥がれ落ちているところがあった。


老朽化が進む観音像。これからどうなるのだろうか。


関係者によると、2022年に入って、ようやく施設の代表者争いに決着がつき、今後は解体も含めた再開発を前向きに検討しているという。

高さ100mの巨大像 税金約9億円で解体へ

管理ができなくなってしまった観音像は他にも。


取材リポート:
高さ25m、重さ40トンもある仏像が倒れています。


2018年には、沖縄市で高さ25mの観音像が台風により転倒。


4年が経過した今も、再建されていない。

そして、兵庫・淡路島にある「世界平和大観音像」。


取材班:
目の前に全体像が見えました。かなり大きくて存在感があります。

1982年に建てられ、多いときには1日4000人もの観光客で賑わった
1982年に建てられ、多いときには1日4000人もの観光客で賑わった

大阪湾を見下ろすように建つ、高さ100mの観音像だ。
1982年に建てられ、多いときには1日4000人もの観光客で賑わった。
しかし、所有者が亡くなり事態は一変。

展望台の床部分
展望台の床部分

取材班:
展望台の床部分。コンクリートが剥がれ落ちて、中の鉄筋がむき出しになっています。

台風で外壁は剥がれ落ち…
台風で外壁は剥がれ落ち…

台風で外壁が剥がれ落ちるなど、危険な状態に。


そして、2021年に国の税金約8億8000万円を使っての解体が決まった。

あれから約1年半、現在はどうなっているのか?観音像のある淡路島へ向かった。

解体決定から約1年半 再び淡路島へ
解体決定から約1年半 再び淡路島へ

取材班:
今は巨大観音像見えません!

以前、この場所から観音像が見えたが…
以前、この場所から観音像が見えたが…


以前、この場所から見えた観音像は解体作業が進み、なくなっていた。解体完了が近づく観音像に近隣住民は…。

「我々としては迷惑なものでしかない」
「我々としては迷惑なものでしかない」

近隣住民:
できた当時はもうシンボル的なものだったけど、管理できなくなってからは逆に我々としては迷惑なものでしかない。解体の話がで出てきてから、ホッとした感じ。


修繕費に約1億5000万円「いつまで管理できるか不安」

管理不足により、危険な物へ一変する観音像。では、適切な管理をするにはどれくらいの費用がかかるのか?


千葉・富津市にある高さ56mの「東京湾観音」は、2018前に修繕工事を専門の業者に委託。その額は…。


東京湾観音 藤平佐市郎支配人:
ざっくり1億5000万円。


2018年の工事費用は約1億5000万円。


東京湾観音 藤平佐市郎支配人:
足場を組んでというような工事(をしてる)。子孫が一生懸命、なんとか100年持たせようと頑張っている。

足場を組んで作業
足場を組んで作業

こうした修繕工事を過去に4回も行ってきたが、それでもこれから先の不安があるという。

「プロに検査、対処してもらわないと維持できない」
「プロに検査、対処してもらわないと維持できない」

東京湾観音 藤平佐市郎支配人:
大きいがゆえに限界はありますよね。個人、日常の掃除の範囲でできる管理ではないので、プロに検査、対処してもらわないと維持できない。きちんとした費用捻出ができる力があるかどうかが問題になってくると思う。いつまで管理できるか不安。

「いつまで管理できるか不安」
「いつまで管理できるか不安」

その大きさから、管理も難しいとされる巨大観音像。周囲に危険が及ばないよう適切な管理が求められる。

(「イット!」12月19日放送)

(FNNプライムオンライン1月2日掲載。元記事はこちら

https://www.fnn.jp/

[© Fuji News Network, Inc. All rights reserved.]

FNNニュース