2023年新型コロナは“普通の病気”に?「5類」見直し巡る水面下の攻防

社会

“ようやく”始まった「2類・5類」見直し議論

12月9日、政府と専門家らが集まる「新型コロナ分科会」で、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが議論の一つとして上がった。

現在、新型コロナは、緊急事態宣言下での行動制限を実施することが可能となる「新型インフルエンザ等対策特別措置法(特措法)」の対象疾患であるとともに、感染症法上の「2類相当」に分類されている。「2類相当」とは、重症化リスクや感染力が高い結核やSARS(重症急性呼吸器症候群)に近い感染症を指す。その場合、診察や入院は一部の指定医療機関に限定される。

この分類を季節性インフルエンザと同じ「5類」、もしくは「5類相当」に引き下げることも視野に入れた見直しの議論が始まった。この「5類相当」とはいわば“普通の病気”のことだ。


分科会の尾身茂会長によると、9日の会合ではこの分類見直しについて“かなり活発な議論”が展開されたという。「結論の前に、新型コロナの特徴、評価を十分行った上で、今の措置の何を削除してもいいのか、何を維持すべきか、社会経済を回していくためにはどんな準備が必要かをまず議論すべき」と振り返り、あくまで2類・5類見直し議論のキックオフであると強調している。

実際、尾身会長は1ヶ月前の11月11日、「(2類・5類見直しの議論をする)時期がいずれ来ると思うが、今ではない」と、分類見直しの議論は時期尚早との意見だった。

そのため、表面上12月に入り分類見直しの議論が活発化したように見えるが、ある政府関係者は「水面下ではずっと話していた」と話す。表面化した理由については「夏の『第7波』の感染や重症者数が思っていたより多くなかったことで議論が一気に進んでいる」というのだ。

また、新型コロナの分類を5類に引き下げるべきと考える分科会のメンバーの一人に話を聞くと「医療逼迫を抑えるためには早く5類相当まで引き下げ、コロナ患者の特別扱いをやめて一般医療機関でも受け入れられるようにすべき」「年内にある程度の結論を出したかったが、このまま何も決まらず、ズルズルと年末年始に突入してしまう」とこぼしていた。

分科会の医療系のメンバーからは「重症度については確かに低くなっているが、感染力についてはむしろ高くなっている」「インフルエンザと同じだというのは現段階では少し早いのではないか」との声が出ていて、見直しの議論は平行線。なかなか進まないのが現状のようだ。

2023年には“普通の病気”に

コロナを“普通の病気”にするべきかどうか?

分類の議論は2023年に持ち越されるが、その着地点について、ある政府関係者は「来年は5類、5類相当に見直されるでしょう」と予見する。また、ある財務省関係者は「国が負担する金も、もうきつい。5類相当にしてワクチンや治療費などを自己負担にすべき」と語る。厚労省、内閣官房でも、医療関係の有識者に気を使いながらも、見直しを進めていく方針だ。

5類相当に見直すためには、感染症法の法律上の定義にしたがって議論を進める必要がある。病原性や感染力、今後の変異の可能性などを分析し、どのように医療で受け止めていくことが考えられるか、厚労省を中心に議論が進んでいくだろう。

5類相当になれば政府の新型コロナ対策本部はなくなり、コロナ対策の顔だった尾身会長率いる分科会も解散になる可能性が高い。ある政府関係者は「3月までには分科会の枠組みを変える方向で検討が始まっている」と話す。

さらに、早ければ2023年秋には「感染症危機管理庁」が新たに立ち上がる見通しで、これまで厚労省と内閣官房にまたがっていた部門が統合される予定だ。

「ゼロコロナ」緩和の中国では感染者増加

コロナを”普通の病気”扱いにすると、人々が油断して感染が拡大するのでは…と不安を抱く人もいるだろう。ゼロコロナ政策を緩和した途端に感染者が急増し、工場が止まるなどの影響が出ている中国の様子を見ればなおさらだ。

「ゼロコロナ」緩和で薬局前には解熱剤を求める長蛇の列(中国・上海市)
「ゼロコロナ」緩和で薬局前には解熱剤を求める長蛇の列(中国・上海市)

だが、政府関係者は「その(中国のようになる)心配は全くない」と断言する。中国は2、3年分の自粛を一気に解放したことで感染が増えているが、日本は段階的に緩和していること。また、ワクチンの摂取率や抗体の高さなどが中国の状況と大きく違うというのが理由だ。

2023年「5類相当」で生活どう変わる

では、2023年に新型コロナが5類、もしくは5類相当に引き下げられた場合、何が変わるのか。

1)「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」などの外出自粛要請がなくなる
2)全額公費負担だった検査や入院、治療費が原則自己負担に
3)一般の医療機関でもコロナ患者の受け入れが可能に

2点目については、私たちの家計に大きな影響がある。金銭的な問題で受診を控える人も出ることが予想される。そのため、日本医師会の釜萢敏常任理事は「公費の対応を大幅にやめることは反対。5類というより適切な対応方法を“新たに組み直す”のが適切」と、提案している。

3点目については、一般の医療機関でも感染対策を新たにとる必要が出てくる。分科会のメンバーの一人は「分科会の医療系の先生達は、院内感染を恐れていて、5類への引き下げで一般の医療機関の仕様を変えないといけないのを嫌っている」と、医療系委員が反対する理由の一つだと説明している。

国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されてからまもなく丸3年。2023年は日本の新型コロナ政策のターニングポイントになりそうだ。

(執筆:フジテレビ経済部・井出光)

(FNNプライムオンライン1月2日掲載。元記事はこちら

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