“失明”や“顔面まひ”も! 「帯状疱疹」がコロナ禍で急増 “4万円ワクチン”なら90%予防可能

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とうの昔、子どもの頃に治ったと思った病気。
しかし、そのウイルスは体内でずっと生きていた。そして、大人になってから再び暴れ出し、「帯状疱疹」を発症させてしまう。
しかも、“失明”や“難聴”のリスクさえ…。

目の近くの「帯状疱疹」では失明することも!

「ピリピリ」「ズキズキ」「焼けつくような痛み」…「帯状疱疹」は、激しい痛みを伴う皮膚の疾患だ。


重症化すると後遺症も残る、やっかいな病気である。
その「帯状疱疹」が、コロナ禍で世界的に急増しているという。
もともと中高年に多い疾患だったが、近年は20~40代の若年層にも増えている。


「帯状疱疹」の症状は人によって異なるが、ブツブツ、斑点、水ぶくれが帯状に出てくる。服が触れるだけでも強い痛みがあったり、夜も眠れない状態になる場合もある。

そして、身体のどこに症状が出るかに注意が必要だ。
「帯状疱疹」が目の近くに出ると、視力低下を招くことがある。場合によっては失明することもあり得る。
また、顔面神経で発症すれば顔面まひを、耳近くの聴神経にかかれば難聴をひき起こすことも少なくない。

コロナ禍で世界的に急増…その理由は

コロナ禍で「帯状疱疹」が若年層にも増加したとされているが、その理由は何だろうか。


新型コロナ・ワクチンを接種した後に「帯状疱疹」を発症した症例が報告されたこともあり、その関連性に関心が集まっていた。
しかし、11月に、米国医師会発行の専門誌に掲載された論文では、データ解析の結果、「新型コロナ・ワクチンによる帯状疱疹の増加は認められない」と結論づけている。


「帯状疱疹」増加に影響を与えたのは、ワクチンではなく、むしろコロナ禍に生じた心理的ストレスであろう。
と言うのも、ストレス等による免疫力低下が、「帯状疱疹」の引き金になるからだ。

水ぼうそうの子ども
水ぼうそうの子ども

「帯状疱疹」の原因は、多くの人が子どもの頃に感染した「水ぼうそう」のウイルスである。
実は、水ぼうそうが治っても、そのウイルスは完全に体から排除出来た訳ではない。


ウイルスは神経の奥深くに潜り込み、再度暴れ出す好機をずっと待っているのだ。
そして、加齢や疲労、ストレスなどによって免疫力が低下すると、神経に潜んでいたウイルスが再び目覚めて暴れだし、今度は「帯状疱疹」を発症することになる。

長いコロナ禍で、感染への不安、収入の減少、テレワーク等による生活スタイルの激変…これらは非常に大きなストレスになる。
また、外出や会食など人との交流も長らく制限され、ストレス発散も難しくなっていた。
若い層にも、「帯状疱疹」のリスクが高まる状況が続いていた。
「帯状疱疹」は、ストレスに苦しむ心のSOSでもあるのだ。

予防効果50%を選ぶのか、90%を選ぶのか…2種類のワクチン

しかし「帯状疱疹」には対抗策がある。対象は50歳以上となるが、予防ワクチンがあるのだ。
ワクチンには2種類ある。
1つは「生ワクチン」と呼ばれる、子どもの水ぼうそう予防ワクチンと同じもので、皮下注射を1回行う。
保険適用はされず、費用は8000~9000円。予防効果は、おおよそ50%程度。
しかし一番の懸念は、予防効果が5年程で落ちてくることだ。また、高齢になればなるほど効果が乏しくなり、後遺症への効果は不明だ。
「50%」という予防効果への評価も難しいところ。


もう1つは、最近できた「不活化ワクチン」と呼ばれる、筋肉注射を行う「シングリックス」というワクチン。
2か月間隔で2回接種しなければならないが、予防効果は90%以上と非常に高い。後遺症も高率に予防できる。
そして、接種から9年たっても、免疫が十分に維持できているのが確認されている。
ただ、こちらは費用がそれなりにかかる。
1回あたり大体2万円程度で、2回接種が必要なので、併せて4万円超となってしまう。

どちらを選ぶのかは、費用と予防効果、持続期間を考慮しての個人の選択となる。
自治体によっては、高齢者などの帯状疱疹ワクチン接種に助成金を出しているところもある。
いずれにしても、特に50代以上の方は「帯状疱疹」の予防接種について、前向きに検討される方がいいだろう。

(かなまち慈優クリニック 院長・医学博士 高山 哲朗)

(FNNプライムオンライン1月4日掲載。元記事はこちら

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