防衛費43兆円…最優先すべきは何か? 重鎮・山崎拓氏「戦争はどんなことがあっても避けるべき」

政治・外交

政府は安保3文書を閣議決定し、相手国の発射基地などを攻撃する“反撃能力”の保有を明記。アメリカ製の巡航ミサイルトマホークの購入などにともない、防衛費の予算は、現在のGDP比1%から2%に倍増させる方針だ。


2023年度から5年間の防衛費は、総額で43兆円にも及ぶ見通しとなっている。

“43兆円”防衛費に重鎮からも疑問の声

岸田文雄首相 記者会見(2022年12月16日):
わが国の安保政策の大きな転換点にあたって、われわれが未来の世代に責任を果たすために、国民の皆さまのご協力をあらためてお願い申し上げます


今後の日本を左右する大きな決断を下した岸田首相。その決断に、政界の重鎮からは疑問の声が上がった。

自民党元副総裁・山崎拓氏(取材日・2022年12月20日):
岸田さんのような外交がわかる人が、なぜ、防衛に関して党内世論に押されて、ぼんと踏み切ったのかということは非常に残念に思う


自民党の元副総裁、山崎拓氏(86)。かつて防衛庁長官も務めた山崎氏は、今回の反撃能力の明記を危惧する1人だ。

自民党元副総裁・山崎拓氏(取材日・2022年12月20日):
防衛政策の転換だと思う。日本の防衛政策は、憲法9条下、けして軍事大国にならず、専守防衛に徹するということ。(今回の政策は)抑止力という名目ではあるが、敵基地攻撃能力を持つということは、決して軍事大国にならず、専守防衛に徹するという大原則からすると、専守防衛のカテゴリーを超える


そして山崎氏は、今後、防衛費が倍増よりもさらに増大する可能性も指摘する。

自民党元副総裁・山崎拓氏(取材日・2022年12月20日):
今の防衛費、5兆4,000億円が倍になる。あるいは、それが11兆、12兆になるかもしれない。公共事業を削るとか、文教科学振興費を削るとか、社会保障費を削るとか、そういう議論が当然出てくる


トマホーク配備については…。

自民党元副総裁・山崎拓氏(取材日・2022年12月20日):
トマホークを輸入して配備して、相手国、この場合は北朝鮮と中国でしょうけど、それを見て思いとどまるという前提ですよね、まあその効果はあるかもしれないが、寧ろ従来通り、日米同盟、安保体制によって、日本の国の安全を守っていくと。日本独自にトマホークを輸入して、日本の安全と防衛を確立するということのみで言ったら、そこには無理がある


度重なる北朝鮮のミサイル発射については…。

自民党元副総裁・山崎拓氏(取材日・2022年12月20日):
北朝鮮が日本に侵攻する理由はない。ミサイルを飛ばすデモンストレーションはやっているが、朝鮮半島の統一問題があって北朝鮮はミサイルを撃っている。もちろん日本とかつての朝鮮との歴史上の確執もあるが、北朝鮮はそれが原因でミサイルを撃っているわけではなく、あくまで“38度線”が問題。在韓米軍と韓国軍の合同演習があると、それに対して(38度線以北への侵攻は認めないという)サインを送っているという状況なので、日本に対して攻めようという意思はない。ただ、日本にも米軍基地があるので、それを北朝鮮はにらんでいる

中国に対しては…。

自民党元副総裁・山崎拓氏(取材日・2022年12月20日):
中国は世界第2の軍事大国。日本を遥かに超える軍事力を持っている。日本が仮に43兆円の防衛費強化をしても全然、間尺に合わない。軍事力的には中国の方が遥かに大きい。そうした理由から、中国が反発するというのはおよそ考えにくい。ただ、台湾海峡で衝突があると、それはひいては米軍との衝突になって、在日米軍が動く。米中が衝突すれば日本が巻き込まれるというのは、シナリオ的には有り得ると思う

日本の将来のために、いま、最優先すべきこととは…。

自民党元副総裁・山崎拓氏(取材日・2022年12月20日):
増税で苦しむのは一般国民。目先の軍事的脅威に照準を合して、軍事大国になることは控えた方がいい

そして最後に山崎氏は、こう語った。

自民党元副総裁・山崎拓氏(取材日・2022年12月20日):
戦争を知らない世代になってしまった。僕らは間接的に戦争を知っている。僕は満州で生まれて中国から引き揚げてきた人間であるし、小学生まで戦時下で空襲にも遭った。戦争がいかに悲惨なものであるか。無駄に国民の生命を奪ってしまう。命ほど大事なものはない。戦争はどんなことがあっても避けるべき。もっと外交をちゃんとする方が大事

(テレビ西日本)

(FNNプライムオンライン1月5日掲載。元記事はこちら

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