コーヒーかすや消費できない牛乳がオシャレに生まれ変わる 若手デザイナー開発の新素材「カフェオレベース」

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“ゴミ箱ではなく、素材箱”。
そんな発想で、ゴミとされたモノの価値をデザインの力で変える、若手デザイナーの取り組みに迫った。

コーヒーかすと消費できない牛乳から新素材開発 若手デザイナーの挑戦

瀬戸内海に浮かぶ島にある、「カフェ デ コスタリカ」(山口県・周防大島)。


穏やかな海を眺めながらゆったりと過ごせる店内を、優しく照らすランプシェード。その原点は、この店の挽き立てを丁寧に抽出したコーヒーから出る、本来ならばゴミとされてきた“コーヒーかす”だった。


「いれ終わったコーヒーが、お湯を通した瞬間にゴミになる。もっとコーヒーかすに価値を感じてもらうように、何かに作り替えるという意味でアップサイクルしようかなって」と話すのは、名古屋市で素材デザイナーとして活動する村上結輝(ゆうき)さん(24)。


自身の生活から出るコーヒーのかすに、消費できない牛乳から加工して抽出された接着剤を組み合わせ、“カフェオレベース”という新たな素材を開発した。


その素材によって、コーヒーかすが、花瓶や植木鉢・ランプシェードといったインテリアグッズに生まれ変わったのだ。


焙煎度合いや挽く細かさの違いによって色味も異なり、一つ一つが個性あふれる作品に仕上がっている。自然素材で構成されているため、最後は土に還せるというのも特徴だ。

素材デザイナー・村上結輝さん:
コーヒーかすに価値があるって思ってもらったら、「じゃあ捨てないで取っておこう」とか、捨てるとしても「この一杯を大切に飲もう」とか。
気持ちが変わるだけで、もっとみんなの生活がゆっくりと変わっていくと思っている。

そして、村上さんの取り組みに注目したのが、各地のカフェだった。
名古屋市のカフェ「THE CUPS」では、自身の店舗から出た袋一杯のコーヒーかすを、植木鉢として利用していた。


THE CUPS 櫻庭大輔 代表:
自分の店から出たコーヒーの出がらしを使った植木鉢の植物って、すごく感慨深いものがあります。コーヒー店としてまた別の付加価値がつけられるのかなと思います。

ゴミとされたモノの価値を、デザインの力で変える。

廃棄された石膏ボードから新素材を開発
廃棄された石膏ボードから新素材を開発

コーヒーかす以外にも、廃棄された石膏ボードから建築用の新たな素材を開発するなど、“ゴミの新たな行き場”を模索する村上さん。

村上さんが中心となって展開しているアップサイクルコミュニティ「上回転研究所」では日々、若者から企業が集まり、廃材に対しての価値観を変えるきっかけを創出する場となっている。


素材デザイナー・村上結輝さん:
(ゴミを)ゴミという以外の気持ちで見ることで、いろんな人がゴミじゃないものに作り替えていく未来を作っていきたいと思っている。ゴミという概念をなくす。
ゴミ箱じゃなくて素材箱、じゃあ次に何に使おうかなって楽しみながらそこに入れている箱になれば、面白い世界になるんじゃないかなと思っています。 

デザインで暮らしが変わる ユーザーにとって価値あるものにできるかが鍵

「Live News α」では、マーケティングや消費者行動を研究されている、一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子(すずき さとこ)さんに話を聞いた。

内田嶺衣奈 キャスター:
今回の試み、どうご覧になりますか?


一橋ビジネススクール 准教授・鈴木智子さん:
デザインと聞くと、製品のスタイルや造形など、見た目のことを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし本来デザインとは、人・ユーザー・社会にとって価値のある目的を見出し、それを実現するものごとを計画し形にする、一連の創造的行為のことを指します。もちろん見た目の造形は大切ですが、でもそれはデザインの一つの要素に過ぎないんです。

例えば、VTRにあったランプシェードは姿カタチが「おしゃれ」であることに加え、「コーヒーかす」を生まれ変わらせたという、この創造的なプロセスにこそ価値があります。
SDGsの取り組みを一過性のものでなく、社会に根付かせるためには、デザインが果たす力は大きいです。

内田嶺衣奈 キャスター:
デザインによって私たちの暮らしが変わった、というケースはあるのでしょうか? 

一橋ビジネススクール 准教授・鈴木智子さん:
アップルのiMacやiPhoneなどは初心者にとってもわかりやすく、暮らしの中にある問題を解決するツールとして支持され、実際に私たちの生活を大きく変えました。その創造者であるスティーブ・ジョブズはデザインの定義について、こう話しています。
「見た目や使い心地だけではありません。デザインとは、それがどのように機能するか、ということです」
つまり、生活の中に、どう溶け込み、どんな役割を果たすか、このことが大切になります。


内田嶺衣奈 キャスター:
このデザインの力を生かして、SDGsを社会に根付かせるためのポイントは? 

一橋ビジネススクール 准教授・鈴木智子さん:
いいことをやっているという心の満足で終わらせずに、ユーザーにとって価値あるものにデザインできるかどうかが鍵になります。

ゴミはロス問題の原因でなく、新たなビジネスの可能性である。こう私たちの認識が変わるような取り組みが今後増えていくことに期待したいです。

内田嶺衣奈 キャスター:
SDGへの関心が低い方でも、素敵なデザインを入り口に環境意識が高まることが期待できるように思います。たとえ小さなアクションでも、それが重なれば、社会を動かす力になるかもしれません。

(「Live News α」2023年1月10日放送分より)

(FNNプライムオンライン1月11日掲載。元記事はこちら

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