日韓関係改善へ意欲の尹大統領…今度こそ信用できるのか?日韓・朝鮮半島の今後を展望

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今回のBSフジLIVE「プライムニュース」では、2023年の日韓関係・朝鮮半島情勢を展望した。いわゆる元徴用工をめぐる問題の解決に道は開けるのか。高まり続ける北朝鮮の核ミサイルの脅威に日韓はどう連携して向き合うのか。日韓関係・朝鮮半島情勢に詳しいゲストを迎え議論した。

“元徴用工”問題 日本は韓国の「謝罪と寄付」要求に応じるべきか


新美有加キャスター:
いわゆる元徴用工をめぐる問題に関し、裁判で差し押さえられている日本企業の資産の現金化問題がある。1月12日、韓国は解決策を議論する公開討論会を開いた。今後、韓国政府は解決策を発表する見通しだが、韓国での受け止めは。

陳昌洙(チン・チャンス) 世宗研究所日本研究センター長:
国民に対し透明性を高めながら制度化するプロセスが進んでいる。今までの政権のようにエリート外交官が密室で交渉するのではなく、被害者の声を取り入れて交渉を進めていくと。その結果は、やっぱり日本がどのぐらい譲歩してくれるのかによる。

反町理キャスター:
来ましたね。

陳昌洙 世宗研究所日本研究センター長
陳昌洙 世宗研究所日本研究センター長

陳昌洙 世宗研究所日本研究センター長:
韓国が官民協議会を通じて出している5つの結論のうち、日本がやることが2つある。ひとつは、被害者の声に応じた被告企業の謝罪。もうひとつは、被告企業が財団に何らかの形の寄付をすること。

反町理キャスター:
今回日本側が、韓国側の求めに応じる方向性をとるべきかどうか。

木宮正史 東京大学大学院教授:
この問題は1965年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決したというのが筋。だが韓国の司法はそれとは違う判断を出し、国内世論も不満を持っている。それを前提に尹政権が解決策を模索しているのは真摯な努力だと思う。日本で心配されているのは、野党に政権交代したら全く違ってしまうのではないかということ。それを防ぐためにも、日本の企業は2つの意味で応じるのがよいのではと思う。ひとつは、当該企業が今後も韓国の中で経済活動をしていく上での配慮。もうひとつは、韓国ではこの企業のことを「戦犯企業」と言っている。全く間違った認識と思うが、それを言わせないためにも、ある程度非公式な謝罪や自発的な拠出を考えてもいいのでは。義務はないが、道義的な責任は果たした方がいい。

木宮正史 東京大学大学院教授
木宮正史 東京大学大学院教授

反町理キャスター:
それで「戦犯企業」と呼ばれなくなるのか。公式の謝罪をしろ、あるいはもっと多い額を拠出しろとハードルを上げてくるリスク、僕は100%あると思う。それの繰り返しだった。

武田良太 日韓議員連盟幹事長:
2015年の日韓合意の約束がまだ守られていないことは、尹政権の方々は受けとめている。ここは尹大統領を信じていかなければ次のステップに進まない。尹大統領は、日韓関係の問題を内政に利用することはあってはならないと明確に打ち出した。これをした大統領を、私は今までに知らない。政権スタートの段階で示したことは評価されるべき。


新美有加キャスター:
現在有力視されている解決策は、韓国企業などが政府が設けている「日帝強制動員被害者支援財団」に寄付をし、財団が日本企業の賠償金を肩代わりする案。一方、原告側は日本企業の出資と日本政府・企業の謝罪を求めている。これが採用されたとしても、本当に最後になるのか。

陳昌洙 世宗研究所日本研究センター長:
感情の問題はそうはならない。だから、それが政治的な争点にならないようマネジメントするのが一番重要。財団が肩代わりすることにも不満が多く、韓国側は厳しい環境の中でやる。日本側が一緒に手を組んでやらなければ、これからもう話し合いができない。

新美有加キャスター:
他の政権になり、支持率が欲しいときにまた蒸し返して違う裁判が起きたりしないか、という不安はどうしても残るのでは。

木宮正史 東京大学大学院教授:
時効の問題があり、無制限に請求は出てこない。それから韓国政府は、今後こういう訴訟は提起できないようにして財団で受け持つという立法措置を考えている。良好な日韓関係による双方の利益を双方の政治家や国民がある程度享受できれば、政権交代してもいきなり逆のことを打ち出すのは非常に難しくなると思う。

レーダー照射問題が未解決のまま、関係改善はできるのか


反町理キャスター:
2018年12月20日、日本の海上自衛隊のP-1哨戒機に対して、韓国の駆逐艦が火器管制レーダーを照射した。これがどれほどの敵対的な意味を持つのかという点が、当時の日韓間で大激論になった。佐藤正久自民党外交部会長は番組出演時に、尹政権がいかに関係改善に前向きでもこの問題がなくなるわけではなく、事実を明らかにすることが大事だと発言。

武田良太 日韓議員連盟幹事長:
レーダー照射は当然あってはならないこと。ただ、いろいろな問題と安全保障問題を切り離すことは大事で、徴用工問題と結びつけることはあってはならない。北朝鮮の軍事的な脅威が増す中、日韓にすきま風が吹いて得するのは日韓ではない。

陳昌洙 世宗研究所日本研究センター長:
レーザーを照射したのか、していないのかということも重要だが、それを政治化させたことがもっと重要。水面下で話して決着をつければよかったが、結局は政治化させて国民を対立させることになった。

反町理キャスター:
問題を公表して世論を刺激した日本政府が悪いと聞こえる。違いますよね。あのとき、日本側も公表するかどうかものすごく迷ったはず。

武田良太 日韓議員連盟幹事長
武田良太 日韓議員連盟幹事長

武田良太 日韓議員連盟幹事長:
レーザー照射は、理由の如何を問わず言語道断。紛争、戦争は突拍子もないところから始まる可能性もあり、絶対にあってはならない。その見識を持った上で、だが人間が作るコミュニティというのはそれぞれが価値観を持っており、いろいろな中でまとめあげていくのが政治的作業。本質を見極めた上で対応していかなければいけない。

反町理キャスター:
もう一点。5月に広島サミットがあり、尹大統領を招待するかどうかという観測が出ている。いわゆる徴用工の問題やその他の懸案事項で、解決に向かう動きが始まっているのが大前提だと思うが。

武田良太 日韓議員連盟幹事長:
インド太平洋の平和と安定に結びつけるために、さまざまなアイデアを出していくことはよいのでは。ひとつの問題がまだ解決されないから全てがストップするということはあってはならず、一方では動きながら、しかし大局観に立って国同士がなさねばならない仕事をすることが重要。

尹大統領がアメリカとの核共有に言及、その真意は


新美有加キャスター:
安全保障をめぐる日韓の連携について。北朝鮮の2023年の目標は「戦術核兵器の大量生産を目指し、核弾頭を飛躍的に増やす」。尹大統領は朝鮮日報のインタビューで「韓米が共有する情報を土台に、核戦力の運用に関する計画はもちろん、演習と訓練・作戦を共に行うという概念に発展させれば、事実上核共有に劣らない実効的な方法になる」とアメリカとの核共有に言及。

陳昌洙 世宗研究所日本研究センター長:
2022年に北朝鮮がミサイルを発射する事件が41回あり、韓国は危機感を持っている。保守政権の尹大統領は、安保にもっとコミットする気持ちが出ている。だが核共有は簡単にはできない。今までの拡大抑止の約束を現実に見える形にしたいということ。

木宮正史 東京大学大学院教授:
韓国の直近の世論調査では、大体7割ほどの人が韓国も核武装すべきだと答えている。だが韓国は米韓同盟のもとで核不拡散体制の中に組み込まれており、核武装にリアリティはない。ただ尹政権は強硬な国内世論を意識せねばならず、こういう発言が出ていると理解している。


反町理キャスター:
日韓議連ではなく国防関係の議員としての武田さんへの質問。日本においても、アメリカの拡大抑止のプロセスや具体的な内容について、公表はせずとも日米の政府間などで議論すべきだという話について、どうお感じに?

武田良太 日韓議員連盟幹事長:
有事のときは一国で対応するのではなく共同作戦になる。やはり日米韓で、またインドなどの国々にもしっかりチームに入ってもらい、有事のときの各国の役割分担を決めることが大事。しっかりとした協議機関をつくりながら進めていけばいい。

日本の反撃能力行使に「韓国との協議・同意」が必要なのか?


新美有加キャスター:
日本が安保3文書に反撃能力の保有を明記した際の韓国外務省の反応は「地域の平和と安定に寄与する方向で透明に行われるべき。朝鮮半島の安全保障や韓国の国益に重大な影響を及ぼす事案は、事前に韓国との緊密な協議及び同意が必要」というもの。

武田良太 日韓議員連盟幹事長:
日本も国民の生命と国の領域を守るという責務があり、これを果たすための防衛力を備える権利を持っている。しっかり理解し合うこと。また訳し方というのは複雑なので、その文章だけで韓国側の意図を断定するのは控えなければ。だが緊密な協議は当然必要で、ごく自然なことだと思う。

反町理キャスター:
例えば北朝鮮に対して日本が反撃能力を行使するとき、事前に緊密な協議をして韓国の同意を得なくちゃいけないのか。これは日本独自の防衛の話。

武田良太 日韓議員連盟幹事長:
同意と許可は違う。日本が有事に差しかかったとき、韓国が反対する可能性はないと思う。安全保障の問題は仮想の話に答えられないのが当たり前。ただし、あらゆる可能性について対応策を考えていくのが、政治の場でも現場でも重要なこと。

木宮正史 東京大学大学院教授:
韓国の中で、日本の反撃能力や防衛3文書に警戒する声はある。尹政権としても、批判を念頭に置きながらも日米韓の安保協力を進めていくため、一定の理解を示さなければいけない。折衷的な表現になっている側面があると思う。

(BSフジLIVE「プライムニュース」1月11日放送)

(FNNプライムオンライン1月13日掲載。元記事はこちら

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