伝統工芸品「尾張仏具」工房の3代目が続ける時代に合わせた試行錯誤 アクセサリーで歴史ある技術を未来へ

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愛知県の伝統工芸品「尾張仏具」。時代の変化で需要が減る中、歴史ある技術を未来に残すため、試行錯誤を続ける若き職人がいる。

アクセサリーを通じて仏具の伝統技術を身近に感じてほしい

細かいうろこまで再現された魚のネクタイピンや、名古屋名物・金のしゃちほこのピンバッジ…。


これらの金属製のアクセサリーは、名古屋に古くから根付く伝統的な技術が生かされている。


作っているのは野依祐月さん(31)。祖父の代から続く尾張仏具の工房「ノヨリ」の3代目だ。


野依祐月さん:
(作っているのは)お寺の一般のお客さまが入られる所と、お坊さんが入られる所の間の障子に付く金具になります。今「シベ打ち」っていうのをやってて、葉っぱの葉脈を打っている作業。根元から葉の先端に向けて線を細く打っていかなきゃいけないので、ちょっと傾けたりして調整をしてます

ノヨリが代々手掛けるのは、仏具をきらびやかに装飾する「錺(かざり)金具」という部品。何種類もの鏨(たがね)を使い分け、小さな模様をひとつひとつ銅の板に刻む緻密な作業だ。


愛知県は寺の数が日本一多く、昔から京都と並ぶ仏具の一大産地だが、時代の変化で需要は減る一方。なんとか尾張仏具の伝統の技を残したいと、ノヨリが始めたのがアクセサリーの製作だった。


特に人気なのは、魚をデザインしたピンバッジやブローチなどのシリーズ「nanako」。


かわいらしい名前だが、錺金具の模様の一種で、魚の卵のように小さな丸が連なっている「魚々子(ななこ)」が由来。

野依祐月さん:
もともと、女性にかわいいと思ってもらって男性にプレゼントしたくなるものというのをテーマで、魚の顔とかもかわいくデザインされたものを作っていたんですけど。クマノミを入れたりだとか認知度の高い魚も加えていって、今はどんどん展開しています


目を引くのはデザインの繊細さ。カニやタコの細い足は糸鋸で慎重に切り出し、エビフライの衣は細かい凹凸までリアルに再現。金シャチの鱗もひとつひとつ手作業で彫っている。


伝統の尾張仏具の技を知ってもらいたいと、この「nanako」をメインに、若者や家族連れも多く集まる東京のイベントに出展することを決めた。

野依祐月さん:
新しいものに興味がある方だったりとか、掘り出し物ないかなって探しに来る方だったりとか、そういう方のツボにはまったらすごくうれしいなと

品川駅近くの会場で開かれたイベント。伝統工芸品だけでなく雑貨やアパレルなども集まった新感覚の蚤の市に、多くの人が訪れた。


アクセサリーの価格は約6000円から2万円前後。決して安くはないが、2日間で13個がお客さんの手に渡った。


購入した男性(40代):
作っている工程とかがすごいこだわってるというか、すごい細かいことをしていて惹かれて…

購入した女性(20代):
伝統的ながら若干モダンな感じもして、シンプルだけど映えるかなと。素敵な文化だと思うのでいろんな形で展開していって、そういうものに触れる機会が多くなればいいなと思います

まずは尾張仏具を身近に感じてほしいという祐月さんの思いは、しっかりと届いたようだ。


野依祐月さん:
私とか父が「これは伝統工芸品です!すごいんです!」っていくら言っても残るものではないと思うので、こういうイベントに出たりして商品を見てもらって、尾張仏具ってこういう技術はやっぱりすごいから残していった方がいいんじゃないかって、周りが思ってくれることが一番大事じゃないかなと思います

(東海テレビ)

(FNNプライムオンライン1月15日掲載。元記事はこちら

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