「米政府は岸田首相をハト派だと思っていたが...」

政治・外交


自民党の佐藤正久元外務副大臣は15日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、訪米した岸田文雄首相がバイデン政権から異例の厚遇を受けたことについて、米政府が日本の反撃能力保有や防衛費増額を歓迎しているためとの認識を示した。

佐藤氏は「(バイデン政権は)中国を相当意識して演出している。日本の安全保障3文書、(防衛)能力の抜本的強化、防衛費増額は、日米同盟が新たなステージに入ったことを裏付けるものだと米国は見ている」と評価した。

また、「米国は岸田首相をハト派だと思っていたが、北方領土問題を抱えるロシアに対し、米国と同様の厳しい制裁を課し、欧州にエネルギーを融通した。中国、ロシア、北朝鮮という強権国家に3正面で対するときに、日本が通常なら10年かかる安保3文書を1年でまとめ反撃能力を含め役割を増すのは地域の安定にとりありがたい。(米政府は)岸田首相はここまでやるのかと非常に歓迎している」と説明した。

一方、緊密な関係をアピールした日米首脳会談について、立憲民主党の小川淳也前政調会長は「どこまで米国と心中するような国になっていくのかは、冷静な思いや気持ちを持っていてほしい」と述べた。「日本は太平洋国家であると同時にアジア国家でもある。貿易や国の近さを考えても、米中対立を日中の対立に持ち込んでいいはずがない」と語った。

米国の有力シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」が台湾有事の可能性をめぐり、中国の台湾制圧は失敗するものの日米双方に甚大な被害が出るとの独自のシミュレーション結果を公表したことについて、小川氏は「日本の取るべき道は基本的には(米軍の)後方支援だ」と話した。

これに関し、番組コメンテーターの橋下徹氏(弁護士、元大阪府知事)が「日本が尖閣諸島を守らなければならないときに、米軍は後方支援だけでいいということか」と指摘。小川氏は有事を招かないための外交努力が重要だとの認識を強調した。

以下、番組での主なやりとり。

梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
にこやかな日米両首脳の表情が非常に印象的だった。日米首脳会談後に発表された共同声明では「防衛力の抜本的な強化」「外交的取り組み強化」での日本の果敢なリーダーシップを称賛。また、両首脳は「日本の反撃能力の開発や効果的な運用について協力を強化するよう閣僚に指示した」という。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
バイデン大統領は岸田首相を「真のリーダーであり真の友人だ」とまで褒め上げた。岸田首相の肩に手を置いてホワイトハウスのローズガーデンの横を歩くなど、かなり親密な関係をアピールした。米国の厚遇ぶりの背景には何があるのか。
            
佐藤正久氏(自民党前外交部会長、元外務副大臣):
バイデン大統領が岸田首相の肩に手を乗せ並んで歩いたのは、中国を相当意識して演出しているのだと思う。日本の安保3文書、それにともなう能力の抜本的強化、防衛費増額は、日米同盟が新たなステージに入ったことを裏付けるものだと米国は見ている。私はそう思っていないが、米国は岸田首相をハト派だと思っていた。ハト派だと思っていた岸田首相が、北方領土問題を抱えるロシアのウクライナ侵略に対して、米国と同じくらいの厳しい制裁を課し、欧州へエネルギーを融通した。(岸田首相は)ここまでやるのかと。普通なら10年くらいかかる安保3文書の取りまとめをこの1年でやり、反撃能力まで含めて日本の役割を増した。米国にとっては、核ミサイルを持った強権国家のロシア、北朝鮮、中国に3正面で対するときに、日本が役割を増やしてくれることは地域の安定にとり極めてありがたいことだ。(米国は)岸田首相ははここまでやるのかと非常に歓迎をしている。

小川淳也氏(立憲民主党前政調会長):
当面、良好な関係を演出して日米関係の安定、ひいては世界の安定を表現したことは結構なことだが、ここで顔に出す必要まではないにしても、どこまで米国と心中するような国になっていくのかということでは、冷静な思い、気持ちを持っていてほしい。日本は太平洋国家であると同時にアジア国家でもある。貿易や国の近さを考えても、米中対立をそのまま日中の対立に持ち込んでいいはずがない。頭半分ではきちんと日本の国益を考え、米国とどこまで心中する気でそれを演出するのかということについては冷静な目を持っていてほしいと願っている。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
経済と安全保障を分けて考えて、安全保障面では米国と心中する気持ちがなければ、米国も心中してくれないのではないか。距離をとりながら、いざという時には命をかけて守ってくれなんて、米軍や自衛隊としてそれはないのではないか。

佐藤氏:
現場で一番大事なのはリスクを共有してくれるかどうか、仲間かどうかという部分だ。同盟は3つの価値観を共有しないとダメだ。それは「価値観の共有」「負担の共有」、一番難しいのは「リスクの共有」。これは軍だけなく、普通の経済社会活動でも同じだ。リスクを本当に共有してくれる仲間かどうか。それが軍、あるいは現場にとって一番の肝だ。

小川氏:
日本のとるべき道は基本は後方支援だ。そのうえで米国と連携して対応するのが基本筋だ。単独で中立を守るとか、あるいは単独で介入して軍事行動に出るとかということは逆に考えにくい。
            
橋下氏:
では、日本の安全保障のために、日本が何かをやらなければいけないという時には、米国にも後方支援をしてもらうだけでいいということか。
(小川氏は)今、日本は後方支援が原則だと言った。では、日本が尖閣諸島を守らなければいけない時に米国は後方支援だけでいいということか。

小川氏:
いやいやいやいや。

佐藤氏:
小川さんの言うこともよくわかるが、冷静な議論は行われてきた。抑止力を高める時に日本単独でやったほうがいいのか、あるいは米国単独でやったほうがいいのか、日米両方ともそういう能力を持った方がいいのか。これは反撃能力に置き換えてもらえばいいが、日本単独の反撃能力、今までのように米国に全部任せた反撃能力、日米が連携した反撃能力。相手にとってどれが嫌かというと、やはり単独でもできるし、日米共同でもできるという能力を持った方が嫌に決まっている。そういう抑止力向上の観点から今回、反撃能力を日米で連携して強化しようとなった。抑止のための能力を日米共同で高めるという冷静な議論の延長でいまやっているということはご理解いただきたい。

(FNNプライムオンライン1月15日掲載。元記事はこちら

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